新型高圧応急用電源車の開発・実用化について
〜無線を利用した無停電切替システムの採用により電源車の適用範囲を拡大〜

平成16年10月6日

 当社はこのほど、株式会社アイチコーポレーション(本社:埼玉県上尾市大字領家字山下1152−10)ならびに株式会社明電舎(本社:東京都中央区日本橋箱崎町36−2)と共同で、新型の高圧応急用電源車を開発しました。

 高圧応急用電源車(以下、「電源車」)は、自然災害などによる停電事故の発生時や、設備保守等のために高圧配電線の通電を停止して作業を行う場合などに、高圧配電線に接続し、応急送電を行うもので、当社では災害復旧の迅速化およびお客さまサービスの向上などの観点から、昭和61年より各営業所に順次導入しております。

 電源車の使用にあたっては、高圧配電線を流れる電気(以下、「商用電源」)と電源車との切替えを無停電で行っておりますが、その際、お客さまの電気のご使用に影響を与えないよう、商用電源と電源車の電圧や周波数などの電気的条件を一致(同期という)させる必要があります。

 これまで当社が使用してきた電源車は、商用電源との同期調整などを電源車内部で行う方式となっており、電源車内部に、商用電源を引き込むためのバイパス回路を構成する必要がありました。
 この方式では、電源車の駐車場所が、区分開閉器(配電線の電気の流れを入り・切りするスイッチ)が設置されている電柱付近に限定されるとともに、道路の交通状況や水害による道路の冠水などによって、目的とする場所に電源車を駐車できない場合には、これに伴い停電範囲が拡大することが課題となっていました。
 また、電源車の接続のために多くの機材を必要としており、事前準備作業に時間を要していました。
 さらには、電源車内部で同期調整を行うため、電源車には様々な装置等が装備されています。このため、最近の電源車の大容量化と相俟って、電源車の重量が小型普通貨物車輌の限度である8トンに迫り、工具や資機材を全く積載できないという課題もありました。

 今回開発した新型の電源車は、これらの課題を全て解決するもので、最大の特徴は、これまで電源車内部にバイパス回路を構成して行っていた同期調整などを、無線を利用して行うことができるという点です。
 具体的には、配電線側に、商用電源の電気的条件を検定するための装置である「同期制御装置」を取り付け、同期調整に必要なデータを本装置と電源車との間で無線により送受信することになります。
 こうした無線の利用により、電源車の設置場所に関する制約がなくなり、電源車の適用範囲が大幅に拡大するとともに、電源車を高圧配電線に接続するための機材・工事が大幅に削減されます。また、電源車内部にバイパス回路を構成するための装置・機材が不要となることから、電源車の重量が約400kg軽量化されます。

 こうした新型の電源車の導入により、当社としては、停電発生時における電源車による復旧が迅速化されるとともに、これまで水害などで電源車の乗り入れができなかった地域にも電源車による送電が可能となり、お客さまサービスの一層の向上が図られるものと考えております。
 また、電源車を高圧配電線に接続するための機材・工事が大幅に削減することにより、関連する工事費の低減に繋がるものと期待しております。

 新型高圧応急用電源車については、既に今年8月に2台導入しておりますが、これを皮切りとして、今後、順次導入を拡大していくこととしております。

以上

添付資料1:新型高圧応急用電源車(外観)
添付資料2:新型高圧応急用電源車の開発・実用化について
添付資料3:高圧応急用電源車での作業状況(新旧比較)