カザフスタンにおける下水汚泥等を活用したバイオガス発電事業
実現可能性調査の実施について
〜下水汚泥等の有機廃棄物を発電に有効利用、地球温暖化防止にも寄与〜

平成16年6月14日

 当社は、環境省の「クリーン開発メカニズム及び共同実施事業調査」(*)に応募しておりましたが、このたび採択されました。この「クリーン開発メカニズム及び共同実施事業調査」は、温室効果ガスの排出削減等に役立つプロジェクトの実現可能性調査(以下、「調査」)を実施するもので、環境省が平成11年度より毎年度公募しているものです。
 今回当社が実施する調査は「カザフスタンにおける下水汚泥等を活用したバイオガス発電事業化」(以下、「プロジェクト」)に関するものです。

 今回調査を実施するプロジェクトの具体的な内容は、同国にバイオガス発電技術を用いた3千kW級の発電設備を設置し、電力供給および熱供給を行うもので、燃料には下水汚泥等の有機廃棄物の発酵処理により発生するバイオガス(メタンガス)を利用することとしています。これにより同国の電力需給の改善や地域の環境改善が図られるとともに、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出削減も可能となります。また、プロジェクトには、発電事業による収益の他に温室効果ガスの排出削減クレジットが獲得できるというメリットが期待できます。
 今後、本プロジェクトの実現可能性が高い、同国の首都アスタナ市において調査を実施し、事業の採算性や温室効果ガスの排出削減効果など詳細について検討することとしております。なお、本調査の実施期間は、今後、環境省と調査の実施に係わる契約を締結した後から、平成17年3月までを予定しております。

 アスタナ市では、下水汚泥等の有機廃棄物を埋立により処分していますが、近年の都市化の進行により、下水処理施設周辺において臭気や景観を含めた環境問題が深刻化しています。さらに、埋立て処分された有機廃棄物が発酵して発生するメタンガスは、そのまま大気中に放出されている現状にありますが、メタンガスはCOの21倍もの温室効果があることから処理対策を図ることが喫緊の課題となっています。

以 上

「クリーン開発メカニズム及び共同実施事業調査」
  温室効果ガスの排出削減などに繋がると考えられるプロジェクトを公募し、実現可能性調査を実施するもの。京都メカニズムを活用したクリーン開発メカニズム事業や共同実施事業として有望なプロジェクトを発掘するとともに、これらに関するさまざまな知見等の蓄積を目的としている。

「クリーン開発メカニズム事業」
  先進国が開発途上国と共同で、開発途上国内で実施した温室効果ガスの排出削減プロジェクトにより生じた削減量について、先進国の削減量に充当する制度。

「共同実施事業」
  先進国同士が共同で実施した温室効果排出削減プロジェクトにより生じた削減量について、当事者間で分配する制度。


(参考)

バイオガス発電設備のイメージ図

カザフスタン共和国周辺図