1月定例社長記者会見概要

平成16年1月29日

 本日は、今年最初の会見でありますので、私からは、電力自由化への対応をはじめとする今年の経営の主要課題と施策について、お話しさせていただきます。

 また、そのこととも一部関連いたしますが、自己株式を使った株式交換により、東北インテリジェント通信株式会社を100%子会社化することについても、ご説明いたします。

○今年の経営展開にあたっての主要施策について

 電力自由化については、ここ一年の間に、自由化拡大の構図、全体像やその具体的なスケジュールについて段々と先が見えるようになってまいりました。

 このため、今年は、このような自由化の進展を念頭に、対応策を着実に進めてまいりたいと考えており、当社にとって大変重要な年になると考えております。

 電力自由化に係るこれまでの動きを振り返りますと、昨年6月に通常国会で電気事業法の改正案が可決・成立し、これに伴い、発送電一貫体制を前提とした、自由化範囲の段階的拡大が、その実施時期を含めて確定いたしました。

 また、この電気事業法の改正を踏まえ、昨年9月に再開された総合資源エネルギー調査会の電気事業分科会では、広域的な競争を促進するための卸電力取引所の創設や、振替料金の廃止に伴う検討が進められております。

 これにより、当社が、今後、新しい制度に対する課題にどのように取り組むべきか明確になってきております。

 自由化範囲の拡大について申しあげますと、これまで自由化の対象としていた契約電力 2,000kW以上のお客さまは、当社の販売電力量で20数%を占めておりましたが、今年4月に500kW以上に自由化範囲が拡大されると約40%に、また、来年4月に50kW以上まで自由化されると全体の60%強が自由化の対象となります。

 これにより、電力の自由化は、平成7年の卸電力入札制度の導入、平成12年の2,000kW以上の大口のお客さまの自由化という2つの局面を経て、新しい段階に入ったことになります。

 このように競争環境はスピードを増して変化しており、一段と厳しくなってきております。

 こうした中、当社では、第二期中期計画が今年度で終わることから、現在、平成16年度から平成18年度の3年間を実行年度とする第三期中期計画、つまり7年目から9年目の計画の策定を進めているところです。

 この中で、柱となる主要施策を項目で挙げると、まず、「収益拡大への取り組み」があります。

 今までは費用の削減といった効率化に力を入れておりましたが、今後は収益の拡大に取り組みたいと考えております。収益の拡大は収入の減少を抑えるという対策も含んでおります。

 二番目は「企業信頼度向上への取り組み」であります。これは一昨年の原子力問題からいろいろな経験をしたことによるものです。

 三番目は「当社企業グループ全体の事業推進体制の強化」であります。

 企業グループはお互いの関係を保ちながら事業展開しておりますが、アンバランスにならないように、グループ全体の力を発揮しながら事業を展開してまいりたいと考えております。

 まず、第一の「収益拡大への取り組み」について、これまでは、有利子負債の削減や設備工事費の抑制など、経営全般にわたる効率化に取り組むことで、コストダウンによる価格競争力の強化に力を集中し、着実に成果を挙げてきております。

 その結果として、一昨年、料金値下げを実施いたしました。

 このような取り組みは、今後とも継続・徹底してまいりますが、今年は、これに加えまして、全社的なマーケティング活動の実践などにより「収益拡大」という課題にも取り組んでまいりたいと考えております。

 改めて販売ということを考えてみますと、お客さまが何を求めているのかを把握することが大事です。

 お客さまに喜ばれるエネルギーサービスの提供を一過性ではなく永続的に行っていくため、既存の枠にとらわれない斬新なアイディアと知恵を結集し、お客さまのご要望にいち早くお応えしていく活動を進め、その結果として収益の拡大へと繋いでまいりたいと考えております。

 二点目の「企業信頼度向上への取り組み」についてですが、企業信頼度の向上は、企業としての存立基盤に係るものと認識しており、まさに事業活動の原点と言うべきものであります。このため、今年は、企業倫理の徹底と法令の遵守はもちろんのこと、公平で透明性の高い事業運営に、より一層力を注ぐ年にしてまいりたいと考えております。

 また、当社事業活動を通じた地域社会への貢献活動、ベンチャー企業の創出など地域における産業創造への支援活動といった地域の活性化にも積極的に取り組みます。

 一方では、エネルギーセキュリティの確保や地球環境問題等への対応も着実に進め、地域からの信頼をこれまで以上に強固なものにできればと考えております。

 三点目は、「当社企業グループの全体としての事業推進体制の強化」という課題であります。

 今後、一層厳しくなる経営環境の中で、当社企業グループがこれからも持続的に、しかも成長し続けていくことが基本的な目標ですが、グループ各社の連携を一層強化し、お互いに連携し、支え合いながら総合力を発揮し得る体制づくりを今年は進めてまいりたいと考えております。

 当社は、平成12年に策定した「ビジョン2010」におきまして、事業展開の方向性として「企業グループの価値向上」を掲げておりますが、これを念頭に、今年は、企業グループが持っている経営資源を最大限活用しながら、電気事業を中核とするコア領域を重点的に強化し、また、その周辺領域については、収益性を重視した、自立性の高い事業を展開できるようにすることで、企業グループ全体を、統合する力と自立する力を併せ持つことができるような体制にしてまいりたいと考えております。

 以上が今年一年の経営展開にあたっての主要施策でありますが、この主要施策を核とした平成16年度の中期経営方針の概要については、来月の会見でお知らせしたいと考えております。

○東北インテリジェント通信の100%子会社化について

 それでは、次に、東北インテリジェント通信株式会社の100%子会社化について、ご説明させていただきます。

 当社は、これまでも、情報システム系の事業会社3社、東北コンピュータサービス、東北情報ネットワークサービス、東北オー・エー・サービスの3社を合併し、「東北インフォメーション・システムズ株式会社」という1つの会社に事業統合するなど、情報通信分野の事業会社における経営基盤の充実、さらには市場競争力の強化などの施策を行ってまいりました。

 しかしながら、この情報通信分野におきましては、技術革新が実に早く、迅速に新しい事業を展開していかなければならないなど、競争が激しい業界であります。

 今後は、さらなる競争の激化が予想されることから、企業グループとしての連携を一層強化し、なるべく身軽にすることで環境変化に対応していけるよう、事業推進体制を強化していくことが求められておりました。

 このため、今回、「東北インテリジェント通信株式会社」を当社の100%子会社にすることにしたものです。

 これにより、経営環境の変化に対し、迅速な意思決定ができるようになるなど、経営の機動性と自由度が格段に高まることとなります。

 また、情報通信分野におきまして、企業グループとしての統一した事業戦略のもとで、より一層収益性を重視した事業を展開するという観点からも妥当と判断いたしました。

 今後のスケジュールなど詳細については、別紙のとおりですが、100%子会社化については、自己株式を使った株式交換により実施する手続きとしており、本日、当社と東北インテリジェント通信の間で株式交換契約を締結しております。

 なお、今回割り当てる当社の自己株式については、昨年11月までに東京証券取引所において市場買付けなどの手法により取得し、金庫株として保有していた自己株式を活用することとしております。

 最後になりますが、当社がこれからの競争を勝ち抜いていくためには、お客さまや地域の皆さまからの信頼が何よりも不可欠であります。

 今年一年、様々なことが起こると思いますが、変革を恐れることなく、競争の本格化に対する備えを着実に進めていきます。

 これまで当社におきまして営々と受け継がれてきた「地域社会との共栄」という企業理念を、大事にしながら、今後とも、地域とともに成長する企業でありたいと考えております。

 本日、私からは以上です