被覆貫通型活線接続器およびその取付用工具の開発・導入について
〜更なる作業に伴う停電の減少、作業の安全性向上、工事コストの低減を図る〜

平成15年10月24日

 当社はこのたび、配電線に使用している全ての絶縁電線に容易に接続できる被覆貫通型活線接続器ならびに取付用工具を開発し、全営業所に導入しました。

 今回開発した活線接続器は、配電線工事の際、お客さまの停電を極力回避するため、別ルートでの通電を行うバイパスケーブル等の工事用機材を、通電状態のまま電線に接続するために使用するものであり、電線の材質、形状等が異なる全ての配電用絶縁電線に対応できる被覆貫通型の活線接続器は、全国でも初めて開発、導入されるものです。

 当社ではこれまで、配電線工事に伴う停電の減少を図るため、通電した電線に作業員が直接触れて作業する「直接活線工法*1」や、工事用機材を用いて作業に伴う停電範囲をなるべく最小限に抑える「無停電工法*2」を活用し、お客さまサービスレベルの向上を図ってまいりました。さらに、平成13年度からは通電された電線に直接触れず、絶縁棒等を使用して作業する「間接活線工法*3」を全面導入し、作業の安全性向上、作業環境の改善および作業の効率化にも努めてまいりました。

 こうした「間接活線工法」や「無停電工法」において、工事用機材を電線に接続する場合、電線の被覆を剥ぎ取り、専用の接続器を介して取り付ける必要があります。しかし、配電線には、材質や形状等が異なる約40種類にもおよぶ電線がさまざまな形態で施設されていることから、電線種類や施設状況によっては、工事用機材の取り付けに必要な被覆の剥ぎ取りができず、お客さまの理解を得ながら停電して作業したり、やむを得ず「直接活線工法」により作業を行う状況にありました。

 こうした状況を踏まえ、さらなる作業に伴う停電の減少と作業の安全性向上等を図ることを目的に、全ての配電用絶縁電線に容易に取り付け可能な活線接続器の開発に取り組んでまいりましたが、今般、被覆貫通型活線接続器ならびにその取付用工具として「トルクリミッタ」を開発、導入したものです。

 今回開発した被覆貫通型活線接続器は、高い耐久性と大電流にも耐えられる二枚刃型形状の電極を持つことが特徴で、これにより、電線の芯線の損傷を極力低減するとともに、絶縁被覆の形状や芯線の太さ、素材にかかわらず電線の被覆を剥ぎ取ることなく被覆の上から接続器を取り付けることができます。

 また、同時に開発した「トルクリミッタ」は、間接活線工法で電線に接続器を取り付ける際、締め付ける力を最適値に自動調整するために使用するもので、新たなトルク管理構造を開発・採用しているのが特徴で、高い耐久性を保ちつつ、トルク管理を高精度に行えることから、接続する際の接触不良や芯線への影響を軽減することが可能となります。

 これらの工具を活用することによる効果としては、以下の点が挙げられます。

●「作業に伴う停電の減少」
   作業個所を停電して実施していた工事についても、間接活線工法や無停電工法での施工が可能となり、作業に伴う停電の減少、停電範囲の縮小が可能となります。

●「作業の安全性向上」
   配電線工事において限定的に適用していた「直接活線工法」のほとんどを「間接活線工法」で施工することが可能となることから、作業員の保護具の着用や電線への防具の装着が不要となる等、作業の安全性や作業環境の更なる向上が図られます。

●「工事コストの低減」
   無停電工法において、工事設備が簡略化でき、使用する工事用機材を減少することが可能となるため、コストの低減が図られます。

●「作業の効率化」
   絶縁被覆の剥ぎ取り等の作業工程が不要となったことから、作業時間の短縮が図られます。

 なお、被覆貫通型活線接続器およびトルクリミッタの概要については、別添のとおりです。

*1 直接活線工法・・・ 作業員が保護具を着用したうえ、電線に防具を装着して、通電した高圧線に直接触れて作業を行う工法
*2 無停電工法・・・・・ 工事用機材を使用し、お客さまを極力停電させず、作業個所のみを停電させて作業を行う工法
*3 間接活線工法・・・ 絶縁棒および先端工具を使用し、直接電線の通電部分に触れず、活線近接範囲外から作業を行う工法

以上