火力発電所の蒸気タービン部品に対する
高精度余寿命診断技術の開発について
〜主要部品の劣化評価に基づく最経済的な更新時期の設定により,設備運用コストを低減〜


平成15年9月30日

 当社は、このほど、火力発電所の蒸気タービン主要部品(車軸、車室、主要弁)の余寿命を、高精度かつ容易に診断することができる技術を開発しました。

 この余寿命診断技術は、蒸気タービンの廃棄部品を使用して各種試験を行い、得られたデータを解析するなどして開発したもので、これにより、蒸気タービン主要部品に対する高精度な劣化評価と最経済的な更新時期の設定が可能となり、設備運用コストを大きく低減することができます。

 当社では、運転時間が20万時間を超える火力発電所が増えてきていることなどから、設備点検における自主保安の重視ならびに最経済的な設備運用の観点から、主要部品の劣化状態や余寿命をより一層正確に把握する必要がありました。
 このため、最適な補修や設備更新の実現に向け、経年化した火力発電所の余寿命診断技術を高精度化する研究を進めてきました。

 火力発電所の蒸気タービンの部品は、高温にさらされる表面と内部との温度差により熱応力等が作用して劣化しますが、高温条件下で経年化すると高温変形により熱応力が徐々に緩和されることとなります。

 今回開発した診断技術では、実際に20万時間以上使用した蒸気タービンの廃棄部品の各種試験結果から、応力緩和の特性など、経年化した部品の劣化進行を解析し、データ  ベース化していることが特徴となっています。

 また、このデータベースをもとに、いくつかのデータ(運転時間や起動回数等の運転条件、評価する部品がおかれている温度や応力等の力学条件、定期点検における部品の硬さの経年化データ)を入力することで、複雑な計算を要する部材の劣化評価を短時間で容易に行える評価プログラム(損傷評価システム)も開発しています。

 今回の診断技術は、火力発電所の蒸気タービンの主要部品を対象としていますが、今後は、火力発電所のその他部品への適用が可能となるようデータベースの拡充を行っていくこととしています。

 なお、今回開発した損傷評価システムの概要は別紙のとおりです。

以上