女川原子力発電所1号機 第15回定期検査の概要

 

1.定期検査の期間
  平成14年9月8日(日)〜平成15年8月26日(火) 353日間
(発電停止期間:平成14年9月8日〜平成15年7月29日 325日間)

2.主要な点検ならびに作業の結果
(1)
炉心シュラウドの点検
   原子力安全・保安院の指示に基づき点検を実施したところ、中間部リングおよび下部リングの溶接線近傍にひびが確認されました。このため、ひびの進展を考慮した炉心シュラウドの健全性評価を行い、国に対し報告しました。
 その結果、国の「原子力発電設備の健全性評価等に関する小委員会」より「現時点および5年後においても十分な構造強度を有しており、直ちに補修等の対策を講ずる必要はない」との評価を受けました。
 また、今後、現状のままで運転を継続するにあたり、国から発電用原子力設備技術基準特殊設計施設認可を受けております。
 炉心シュラウドのひびについては、今後、適切に点検を行い、ひびの進展状況を確認していくこととしております。

(2)
原子炉再循環配管の点検
   第12回(平成10年9月〜12月)および第14回(平成13年4月〜8月)定期検査において4箇所の原子炉再循環配管の溶接継手部にひびの兆候が認められたことから、当該配管の内面からの点検調査を行った結果、4箇所の溶接継手部にひびが確認されました。また、これら4箇所以外の全溶接継手部についても超音波探傷試験を実施したところ、6箇所の溶接継手部にひびの兆候が確認されました。
 このため、これら10箇所の溶接継手部については、今回の定期検査において全て新しい配管に交換しました。

(3)
原子炉圧力容器ノズルの改造
   応力腐食割れに対する予防保全の観点から、炉心スプレイノズルおよび予備ノズルを応力腐食割れに対して優れた材料へ取替えました。

(4)
残留熱除去系の蒸気凝縮配管の撤去
   平成14年5月13日付の原子力安全・保安院の指示に伴う再発防止策として,配管内に水素等の非凝縮性ガスが滞留しないように残留熱除去系の蒸気凝縮機能に係る配管を撤去しました。

(5)
制御棒駆動水圧系配管等ステンレス製配管の点検
   東京電力 福島第一原子力発電所3号機および4号機において発生した、制御棒駆動水圧系配管の塩化物に起因する応力腐食割れ事象に対する原子力安全・保安院の指示(平成14年11月27日付)に基づく点検を実施し、問題のないことを確認しました。

(6)
燃料集合体の取替え
   今回の定期検査期間中に368体ある燃料集合体のうち、80体を新燃料(9×9燃料)に取替えました。

(7)
制御棒駆動機構の点検
   89体ある制御棒駆動機構のうち、今回の定期検査では13体について分解点検を実施し、その健全性を確認しました。
 なお、分解点検の対象となる13体のうち、6体については予備品と取替えました。

(8)
出力領域計測装置の取替え
   20本ある出力領域モニタのうち、今回の定期検査では3本について取替えを実施しました。

(9)
主復水器細管の点検
   27,688本ある復水器細管全数について点検を実施し、健全性を確認しました。
 なお、予防保全の観点から41本の細管について施栓を行いました。

(10)
低圧タービン(B)のバランス調整
   7月23日に原子炉を起動し、発電再開に先立ち7月25日にタービンの調整運転を実施したところ、低圧タービン(B)の軸振動が警報設定値以下であるものの、通常の値より大きかったことから、今後の運転に慎重を期するため、タービンを停止し、タービンのバランス調整を行うこととしました。
 7月26日にタービンのバランス調整を行い、7月28日に原子炉を再起動後、タービンの軸振動等に問題がないことを確認しました。

(11)
地震発生に伴う点検
   5月26日および7月26日に発生した地震後、発電所全設備についてパトロールを実施し、特に問題のないことを確認しました。

以上