女川原子力発電所1号機における原子炉再循環配管のひびに関する
改良型超音波探傷試験による測定および実測結果について

平成15年7月15日

 当社、女川原子力発電所1号機(平成14年9月8日から第15回定期検査中)において、新たにひびの兆候が確認された原子炉再循環配管の6箇所の溶接継手部について、改良型超音波探傷試験(注)によるひびの測定を行うとともに、その精度確認のため、当該配管を切断してひびの実測を行いました。

(2月26日お知らせ済み)

 測定結果および実測結果について別紙のとおりまとまり、本日、原子力安全・保安院に報告しましたので、お知らせいたします。
 今回の結果から、当社としては、改良型超音波探傷試験により原子炉再循環配管のひびの有無を、従来の超音波探傷試験と同様に確認できること、加えて、ひびの深さ等について一定の精度で測定できると考えております。
 また、ひびの深さを実測した結果、全ての溶接継手部について必要厚さを満足していることを確認しております。
 なお、ひびの実測のために切断した配管は、全て新品に交換いたしました。

 今後、当社、東京電力および中部電力の3社で実施している改良型超音波探傷試験に関する調査結果は、国の原子力安全・保安部会「原子力発電設備の健全性評価等に関する小委員会」において評価される予定です。

以上

(注)改良型超音波探傷試験

(1)端部エコー法(横波斜角法および縦波斜角法による試験)
   横波斜角法は、横波の超音波速度が遅いため、小さい欠陥の検出に有効であり、縦波斜角法は、ひびの先端部分からの反射波の強度が大きくなるように、縦波の超音波を用いており、縦波の超音波は横波よりも減衰しにくいため、結晶粒が大きな溶接金属内にあるひびの検出に有効であるとされている。

(2)フェイズドアレイ法
   従来の超音波探傷試験は一個の超音波探触子を用いているが、フェイズドアレイ法では、複数の超音波探触子を用いており、超音波の角度を変えることにより、種々の形状のひびからの反射波を捉えることが出来る。

(3)2次クリーピング波法
   2次クリーピング波法は、配管の内表面に沿って超音波が伝搬するため、配管の内表面付近に開口部があるひびの検出に有効であるとされており、従来は、ひびの確認に用いられてきた。今回は、横波斜角法で確認されたひびについて、この2次クリーピング波法を用いてひびの長さを測定。

別紙1:女川原子力発電所1号機 原子炉再循環配管のひびに関する改良型超音波探傷試験による測定および実測結果について(概要)

別紙2:女川原子力発電所1号機 原子炉再循環配管 概要図

別紙3:女川原子力発電所1号機 原子炉再循環配管のひびに関する改良型超音波探傷試験による測定および実測結果 一覧表

参考:女川原子力発電所1号機 原子炉再循環配管のひびに関する改良型超音波探傷試験による測定および実測結果 一覧表