3月定例社長記者会見概要

平成15年3月27日

 本日、私からは、平成15年度の供給計画の概要についてご説明させていただきます。

<平成15年度供給計画の基本的な考え方>

 「供給計画」は、毎年度、向こう10年間の電力需要想定と、それに基づく設備計画をまとめたものでありますが、初めに、平成15年度供給計画の基本的な考え方についてご説明させていただきます。

 ご承知のとおり、今年2月に、総合資源エネルギー調査会の電気事業分科会におきまして、電力市場の自由化の拡大をはじめといたします電気事業制度改革の大枠がまとめられ、今後とも電力市場における価格競争力の確保が当社における最大の経営課題となっております。

 このような中、今回の需要想定では、中長期的な経済情勢や省エネルギーの進展などを勘案し、昨年想定値を下回る電力需要になるものと想定いたしました。
 このため、今後の設備形成にあたりましては、安定供給と供給信頼度の確保を柱として、競争の進展や環境規制の強化、さらには需要の伸び悩みなど、事業環境の変化にも柔軟に対応できる、スリムで効率的な設備構築を目指すことを基本とした計画としております。

<想定需要>

 具体的には、まず、向こう10年間の想定需要については、平成13年度から24年度までの販売電力量の年平均増加率は1.3%、同じく8月最大電力については1.2%と見込んでおります。

 これを前回計画の最終年度の平成23年度断面で比較いたしますと、販売電力量では14億kWh、8月最大電力では32万kW、それぞれ前回計画を下回るものと想定しております。

 年平均増加率をみますと、販売電力量、8月最大電力ともに、前回計画を上回っておりますが、これは、今回計画の想定期間の初年度である平成13年度の実績が、夏場の気温が12年度よりも低かったことに加えまして、ITバブルの崩壊から生産水準が大きく低下したことなどにより、前回計画の想定期間の初年度である12年度の実績を下回ったことによるものであります。

 なお、平成13年度は、販売電力量は15年ぶりに前年割れとなり、最大電力も8年ぶりに記録更新がなかった年であります。


<電源開発計画>

 次に、電源開発計画については、一部火力の運転開始時期の大幅繰り延べを行うとともに、老朽化した火力の廃止を織り込んでおります。

 具体的に申し上げますと、能代火力3号機については、現時点で開発時期を明確にできない状況には変わりございませんが、供給計画上は、着工ならびに運転開始時期をともに「平成30年度以降」と表記いたしました。

 これは、現行制度の中では火力の長期入札電源を募集する場合の参考期間が向こう15年となっておりますが、少なくともこの期間は、能代火力3号機の開発時期を明確にできないということであります。

 また、上越共同火力については、昨年10月に、地元に対して、開発時期の繰り延べと開発主体の変更を申し入れたところでありますが、地元の皆さまの理解を全面的にいただいた状況にはなっていないことから、供給計画については、着工および運転開始時期の繰延べと開発主体の変更を申し入れていると注記しております。

 一方、発電設備の老朽化に伴う対応といたしまして、秋田火力1号機を平成15年12月に廃止する計画といたしました。秋田火力1号機(35万kW)は、昭和45年8月の運転開始から30年以上が経過し、設備の経年劣化が著しく進んでおりますことから、今後、これに伴う補修費の増加が見込まれます。

 また、燃料費の高い石油火力であり、今後の需給見通しからも、一定期間停止した後に、運転を再開するという可能性が極めて低いことから、このたび廃止することとしたものであります。

 なお、原子力の開発計画については、東通1号と巻1号は前回計画と同様といたしました。また、東通2号と浪江・小高地点については、立地地点の状況を踏まえ、それぞれ計画を1年繰り延べております。

<需給バランス>

 以上申し上げた需要想定と電源開発計画に基づく、8月最大電力需給バランスについては、向こう10年間の需給バランスをみますと、総じて妥当なレベルの供給予備率を確保しており、中長期的に安定した供給を行える見通しとなっております。今後は、自由化の進展や需要動向などを見極めながら、さらに柔軟な設備形成に努めてまいりたいと考えております。

<設備工事費>

 今後の設備投資にあたりましては、自由化範囲の拡大により、競争環境がますます厳しくなることが予想されることから、工事実施ニーズをゼロベースから見直して、必要なものだけに絞り込むとともに、現有設備の一層の効率運用や設計・工法の合理化など工事全般にわたる一層の効率化をはかり、徹底したコスト低減に努めていきたいと考えております。

 このため、設備工事費については、「平成15年度中期経営方針」において、従来目標を一段と深掘りして、「平成15年度から17年度の3か年平均で2,100億円以下に抑制」するという新たな目標を設定したところであり、平成15年度および16年度の工事費はこの目標を踏まえた水準といたしました。

 また、平成14年度の設備工事費については、推定実績ではありますが、工事内容の見直しや新技術の導入、さらには競争発注の活用等に努めたことにより、当初計画の2,335億円に比べて138億円の減となる2,197億円程度に抑制できるものと見込んでおります。

 なお、あわせて、これまでの経営効率化への取り組み状況と、「平成15年度中期経営方針」で掲げた主要定量目標などの達成に向けた今後の取り組みについて、「平成15年度 経営効率化への取り組み」として取りまとめております。

 本日、私からは以上であります。