女川原子力発電所における自主点検作業の適切性確保に
関する総点検調査の最終報告について

平成15年3月14日

 当社は本日、女川原子力発電所における自主点検作業の適切性確保に関する総点検調査について、昨年11月15日、12月25日に提出した中間報告およびそれ以降の調査状況を取りまとめた最終報告書を原子力安全・保安院に提出しました。

 総点検調査の結果、記録間の記載に矛盾や重要な情報の削除はなく、また法令等に基づく手続きについても、工事計画認可(届出)に関する手続きが適正に行われており、技術基準適合義務違反や通達等に基づく国への報告義務違反、虚偽報告は認められませんでした。

 なお、不正行為等には該当しませんが、工事報告書に添付される記録の一部に記載、捺印のもれや落丁など、文書管理上の不備が22件(中間報告での6件を含む)認められました。これらの事案に対しては、既に社内および工事施工会社も含め、文書管理の徹底を周知しています。
 また、定期検査・自主点検に係わる情報公開の範囲を拡大したことを踏まえ、前回の中間報告と同様に、情報公開の観点からトラブルに該当しない軽微な傷等が認められた事例も最終報告に盛り込んでいます。

 一方、自主点検作業が適切に実施されるための社内体制や不正防止策の確立に関する調査結果については、女川原子力発電所の自主点検作業は社内規程・基準類に基づき適切に実施されており、過去に国内で発生した原子力関連の不正事象を踏まえて策定した不正防止策等も着実に実施されていることを確認しました。

 また、今回の最終報告では東京電力株式会社の調査報告書(平成14年9月17日)および原子力安全規制法制検討小委員会中間報告(平成14年10月31日)の再発防止策を踏まえて、当社の現状を分析し課題の抽出を行い、「社会的安心の醸成」と「信頼回復に向けた適正な業務遂行」の視点から新たな不正防止策の取り組みについて整理しました。
 具体的には、「社会的安心の醸成」の取り組みとしては、社外第三者の活用策として設置した「原子力の安全と信頼に関する顧問会議」をこれまで3回開催するとともに、従来報告対象外だった軽度な事象も公表する定期検査時の新たな情報公開ルールに基づき、関係自治体への定期報告を実施しています。
 また、「信頼回復に向けた適正な業務遂行」の取り組みとしては、「業務システムの充実」と「風通しの良い職場風土の醸成」に大別し検討しました。「業務システムの充実」に向けた取り組みとしては、現在、考査室の原子力考査グループが第三者的視点から原子力監査を実施するとともに、本店、発電所および建設所にラインから独立した品質保証スタッフを配置していますが、品質保証活動の一層の充実を図るため、平成15年8月を目途に発電所および建設所に新たに「品質保証室(仮称)」を設置することとしました。また、機器の重要度や情報の種類に応じ適切な社内情報伝達ルールのさらなる明確化を図ります。
 「風通しの良い職場風土の醸成」に向けた取り組みとしては、すでに経営層によるメッセージ発信として各事業所での対話を実施したほか、「東北電力企業行動指針」の見直しや企業倫理相談窓口の設置など企業倫理・法令遵守への取り組みを強化することとしました。また、原子力部門と他部門との人材交流の強化や事業所間対話を実施します。

 今後は、これらの不正防止策に全社一丸となって取り組むとともに、技術的な安全はもとより、社会的な安心という視点を一層重視し、地域社会から安心と信頼が得られる原子力発電の再構築を目指してまいります。

 なお、自主点検作業の適切性確保に関する総点検調査報告の概要は、別添のとおりです。

以 上

[別添]
自主点検作業の適切性確保に関する調査結果概要
社内体制、不正防止策確立に関する調査結果概要