1月定例社長記者会見概要

平成15年1月31日


 本日は今年最初の会見でありますので、年頭にあたりまして、電力自由化への対応をはじめとする経営の重点課題などについて、お話しさせていただきます。その中で、新たに導入することといたしました「社内公募制度」についても、触れさせていただきます。

○電力自由化の進展に向けた経営展開

 はじめに、電力自由化についてでありますが、今年は自由化の方向性が見えてまいりましたことから、その進展にあわせた準備をおこたりなく進めていく必要があり、当社にとって大変重要な年になると考えております。

 ご承知のとおり、昨年12月27日に開催されました総合資源エネルギー調査会の電気事業分科会におきまして、自由化範囲の段階的な拡大や卸電力取引市場の創設、さらには振替供給制度の見直しなどを内容とする制度改革の大枠と、実施に向けてのスケジュール等が公にされました。

 このたびの改革案では、発送電一貫体制をベースとしながら、「お客さまの選択肢の拡大」と「安定供給の確保」の二つの両立を果たしていくという基本的方向性が打ち出されております。

 私ども電気事業者といたしましては、これまで、自由化は、安定供給やエネルギーセキュリティの確保など公益的課題を着実に実施できることが前提であり、長期的な観点からお客さまの利益の最大化を図っていくことが目的であると申し上げてまいりました。
 その意味で、今回の改革案の方向性は、私どもの目指す大きな方向性とほぼ合致するものであると評価しております。

 制度の運用に関する具体的な内容につきましては、今後、更に詳細な検討が行われることとなっておりますが、大まかな道筋、方向性が見えてきましたことから、私どもが取り組むべきテーマや課題も、大分浮かび上がってきたと考えております。

 したがいまして、今年1年は「今後の経営環境の変化をじっくりと見据えていく必要があり、それと連動して、会社の長期戦略を練り直す時期」、言葉を変えれば、「経営の足元をきちんと固める重要な年」と位置付け、そういう心構えで経営の舵取りにあたってまいりたいと考えております。

 そうした認識のもと、3年前の部分自由化開始にあたり「ビジョン2010」を策定し長期戦略を進めてまいりました。今後、より現状に即した形でさらに具体化し、それを加速化していく必要があると考えております。3年間の情勢変化等を組み入れて、来年度に入ってから「新しい経営の方向性」をまとめ直したいと考えております。

○今年の経営展開にあたっての力点

 このような中で、当社が今、最優先で取り組む課題といたしましては、従来から進めております「コスト競争力の強化と財務体質の改善」を更に徹底してまいりたいと考えておりますが、効率化によるコスト抑制だけではなく、さらに収益性を向上させる取り組みも強化していく必要があります。

 その「収益性の向上」につきましては、戦略的マーケティングとソリューション営業に更に力を注ぐとともに、個々のお客さまの情報を素早く取り込み、お客さまが何を求めているか、そのニーズに多面的に対応できる多様なサービスを提供するなど、お客さまを原点としたビジネスモデルの再構築を進めてまいりたいと考えております。

 また、「企業信頼度の向上と競争戦略実現のための経営基盤の強化」をはかることも経営の重要な課題と認識しております。そのため、経営環境の変化に耐えられるようなリスクマネジメントの強化と、地球温暖化防止や循環型社会形成などの環境問題にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

○新たな社内公募制度「キャリア・デザインプログラム」の導入

 これらの経営課題に的確に対応し、今後ともお客さまから選択され、企業価値を創造し続けられるような「強い企業」を目指していくことが必要であり、そのためには、外に向けた対応だけではなく、会社を内部から変えていくことも必要であります。そういう意味では、社内変革の原動力となる「人材の活用と人材の活性化」もまた大事になってくると考えております。

 そうした観点から、効果的な人材活用策の一環として、このたび新たに導入することといたしましたのが、「キャリア・デザインプログラム」という社内公募制度であります。

 当社では、これまでも、社内ベンチャー制度による起業家精神溢れる社員の社内公募や、営業部門の第一線社員のデパート、ホテルなどへの派遣など、特定の課題について人材活用策を実施してまいりました。

 今後は、電力自由化の範囲拡大などにより競争は一層厳しくなります。こうした時代を踏まえて、各部門のいわゆるベース業務におきましても、戦略的思考や専門的スキルに磨きをかける必要があります。こうした中で、当社が競争に生き抜くために、自らの意思で主体的にキャリアの形成に取り組み、困難な課題に向かって果敢に挑戦する人材を育てたいという狙いで今回の制度を導入することといたしました。

 今回導入する制度は、そうした意欲ある人材を掘り出し、さらに伸ばしていく契機になるとともに、人材を育てる機会になればというのが狙いであります。

 また、毎年の定期異動に合わせ、担当する業務内容をあらかじめ明示し、その業務に従事したい人材を社内から広く募集する制度であります。もちろん審査、選考は行いますが、自分で仕事を選ぶ制度であります。

 この制度を通じて、キャリアを積みつつある若い社員が、自らキャリアを切り開き、能力を発揮できる新たなチャンスをつかむことにより、モチベーションを向上させ、それが会社全体の活性化につながっていけばと期待しているところであります。

 以上を、今年1年の経営展開にあたっての力点として、これからの競争を生き抜いていきたいと考えております。

 また、原子力への信頼回復にも取り組んでいかなければなりません。もちろん安全性を確保することが大前提でありますが、やはり企業として地元の皆様から信頼されることが何よりも大事であると考えております。

 したがいまして、当社創業以来、営々と受け継いでまいりました「地域社会との共栄」という企業理念を、今後とも大事にしながら、「電気のことなら東北電力に任せておけば安心だ」と評価していただけるよう、努力してまいる所存であります。

 最後になりますが、年末年始のご挨拶を兼ねて管内をまわり、知事さんや経済界の代表の方々とお会いできましたが、地域の経済は、まだまだ明るさがみえず、いろいろな問題を各地で抱えている中、何とかこの苦境を乗り越えようとする意気込みをひしひしと肌で感じてまいりました。

 また、新年の仕事始めにあたりまして、私から全社員に対して、「今年も、地域に根ざした企業として高い志を持って、明るく前向きに、創意工夫を凝らして業務に邁進していこう」と呼びかけております。

 本日、私からは以上です。