女川原子力発電所における定格熱出力一定運転の導入に伴う
発電設備の健全性評価書の提出について

平成14年12月26日

 当社は、本日、女川原子力発電所2、3号機の定格熱出力一定運転の導入に伴う発電設備の健全性評価書を経済産業省に提出しました。
 この健全性評価書は、経済産業省原子力安全・保安院の通達「定格熱出力一定運転を実施する原子力発電設備に関する保安上の取扱いについて」(平成13年12月17日付)に基づき、蒸気タービンによる原子炉施設への影響、蒸気タービン設備および電気設備の健全性について評価した結果を取りまとめたものです。
 定格熱出力一定運転を行うことにより、原子力発電所の安全運転を確保しながら発電電力量を増やすことが可能となり、ひいては二酸化炭素の排出量を減らすことにより、地球温暖化の抑制にも貢献できます。
 今後、平成15年度以降準備が整い次第、定格熱出力一定運転を実施していくこととしております。

以 上

<これまでの経緯>
○平成13年12月7日
国の総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会 原子炉安全小委員会において、原子力発電所で定格熱出力一定運転を実施する場合の安全性について評価が行われ、安全に実施することが可能であるとの結論が出された。
○平成13年12月17日
経済産業省原子力安全・保安院から、原子力発電所を設置する者が定格熱出力一定運転を実施する場合に行うべき事項が明示された通達「定格熱出力一定運転を実施する原子力発電設備に関する保安上の取扱いについて」が出された。


発電設備の健全性評価書の概要
 定格熱出力一定運転に係る発電設備の健全性評価書においては、次の3項目について評価を実施しました。

@蒸気タービンによる原子炉施設への影響評価
      蒸気タービンの回転力すなわち電気出力が定格値を超えることで、回転する蒸気タービンが破損し蒸気タービン車室を破って飛び出し、原子炉施設へ影響を与える可能性を検討し、評価結果に影響がないかを検討しました。
 この結果、原子炉施設への影響を考慮しなくてもよいとするこれまでの評価結果を変更する必要がないことを確認しました。

A蒸気タービン設備の健全性評価
 タービン出力が定格値を超えることで、蒸気タービン設備の強度や調速装置の性能に問題が生じないかを検討し、安全上問題がないことを確認しました。

B電気設備の健全性評価
 電気出力が定格値を超えることで、電気設備(発電機、変圧器)の健全性に問題が生じないかを検討し、運転制限の範囲内で安全に運転できることを確認しました。

(参考)

1.定格熱出力一定運転とは

 「定格熱出力一定運転」とは、原子炉から発生する熱量(原子炉熱出力)を原子炉設置許可申請で認められた最大の熱出力に保ったまま運転することです。定格熱出力一定運転を行った場合、電気出力は下の図のように海水温度に応じて変化します。



2.なぜ冬季に電気出力が増えるのか

原子炉が一定に運転された場合、蒸気発生量が同じでも冬季に海水温度が低下すると、蒸気はより低い温度で効率良く冷やされます。それによって、蒸気タービンの入口と出口の圧力の差が大きくなりますので、蒸気タービンがより強く回転し、多くの電気出力を得ることができます。