【自主点検作業の調査結果】

1.自主点検調査結果の概要

当社保有の検査成績書と工事報告書との間に、かつ当社保有の工事報告書と工事施工会社保有の工事報告書との間に矛盾あるいは重要な情報の削除がないことを確認しました。
電気事業法に照らして工事計画の認可または届出を行わずに工事を実施していないこと、発電用原子力設備に関する構造等の技術基準および電気工作物の溶接に関する技術基準に対する適合維持義務に違反していないことを確認しました。
電気事業法、原子炉等規制法および大臣通達による軽微な故障等の報告基準に規定された報告義務に違反していないことを確認しました。

2.主な調査項目の内容

(1)原子炉再循環配管に関する調査結果

1号機について認められた超音波探傷試験での有意な指示については、問題なしと評価されていることを確認しました。
2号機については、超音波探傷試験での有意な指示は認められていないことを確認しました。

(2)シュラウドに関する調査結果

1号機および2号機について、点検記録および水中テレビカメラによるビデオ映像を調査し、当該点検ではひびの存在が認められないことを確認しました。

(3)原子炉格納容器漏えい率検査に関する調査結果

当社保有の社内検査成績書データに許容漏えい率を超えるものはなく、また、国の検査データとの大きな乖離もなく、これらの値は工事報告書の記載値とも一致しており、異常は認められませんでした。
当社および工事施工会社保有の工事報告書などに特別な操作や処置を指示するような記載はありませんでした。
当社関係者および工事施工会社関係者の聞き取りを実施した結果、不正な操作や不正なデータの取扱いがあったというケースは認められなかったことから、不正はなかったと判断しました。

(4)その他の自主点検作業に関する調査結果

文書管理上の不備が前回中間報告分の2件を含め、6件ありました。
(今回の報告では1号機に4件、11月の報告では2号機に2件)
  ○工事報告書に添付される記録の一部作成漏れ
○点検記録の一部に記載、捺印等の漏れ


今回の中間報告における文書管理上の不備の事例

  No. 事例の内容



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  •  第8回定検において、「制御棒駆動機構点検」工事報告書のうち点検記録(フランジの外観検査)の判定欄(1箇所)が空欄となっていた。点検結果で「良」と記載しており、当該の外観検査に問題ないものと判断した。
A
  •  第9回定検において、「制御棒駆動機構点検」工事報告書のうち点検記録(ピストンチューブの外観検査)の当社担当者の捺印漏れ(1箇所)があった。判定欄で「良」と記載しており、当該の外観検査に問題ないものと判断した。

    ※ピストンチューブの周りに制御棒を駆動するピストンなどが位置し、制御棒を上下に動作させるときにはピストンチューブに沿ってピストンなどが動作する。

B
  •  第10回定検において、当社保有の「制御棒駆動機構点検」工事報告書のうち点検記録(制御棒駆動機構の外観・寸法検査)の落丁(1頁)があった。施工会社保有の報告書で当該記録を確認し、当該の外観・寸法検査に問題ないことを確認した。
C
  •  第11回定検において、「供用期間中検査及び準備工事」報告書のうち点検記録(原子炉圧力容器上蓋締め付けボルト用ブッシュの肉眼検査記録)の検査結果の記載漏れ(1箇所)があった。本検査は社内立会検査であり、当社が作成した検査記録により確認し、当該個所に問題はないものと判断した。

    ※ボルト用ブッシュ・・・
     フランジに加工されているボルト穴とボルトの間に装着されるもので、ボルトの穴の内面にあるねじ山を保護する機能を有する。




D
  •  第5回定検において、工事施工会社が「供用期間中検査及び準備工事」報告書を作成した際、原子炉圧力容器上蓋ベントノズルフランジボルト、ナット(8本)の肉眼検査記録が抜けていた。本検査は社内立会検査であり、当社が作成した検査記録には「良」と記載しており、当該ボルト、ナットに問題はないものと判断した。(11月中間報告済)
E
  •  第5回定検において、工事施工会社が作成した「原子炉設備弁点検工事」報告書のうち点検記録の一部に工事施工会社品質保証担当者の捺印もれが1箇所あった。また、同工事の別の点検記録において、点検状況欄に「異常なし」と記載があるが、判定結果欄の結果が3箇所空欄になっていた。同記録の総合判定欄で「良」と記載しており、当該の弁に問題はないものと判断した。(11月中間報告済)
 

弁等に軽微な傷が認められた事例

  設備名称 確認内容



原子炉再循環系配管 超音波探傷試験において有意な指示があり、配管のき裂進展評価がなされていることを確認していた。前回の点検から有意な進展がないことを確認していた。
原子炉冷却材浄化系の弁において弁棒に軽微な傷があり、手入れ後の浸透探傷試験で欠陥は認められず、使用上問題ないことを確認していた。
主蒸気隔離弁の弁座、弁体肉盛部に軽微な傷があるが、機能上問題ないことを確認していた。手入れ組み立て後の機能検査及び起動前漏えい率検査で健全性を確認していた。
主蒸気逃がし安全弁の弁入り口フランジ面において、軽微な打ち傷等があり、機能上問題ないことを確認していた。なお、漏えい検査で、機能の健全性も確認していた。
主蒸気ドレンライン隔離弁の弁座、弁体肉盛部に軽微な傷があり、手入れ後の浸透探傷試験で欠陥は認められず、使用上問題ないことを確認していた。
給水系の弁において弁体肉盛部に軽微な傷があり、手入れ後の浸透探傷試験で欠陥は認められず、使用上問題ないことを確認していた。



原子炉圧力容器フランジ 原子炉圧力容器フランジ面に軽微な傷があるが、その傷は、Oリング当り面から外れており、機能上問題ないことを確認していた。なお、漏えい検査で原子炉圧力容器の機能の健全性を確認していた。
主蒸気ドレンライン隔離弁の弁座、弁体肉盛部に、軽微な傷があり、手入れ後の浸透探傷試験で欠陥は認められず、使用上問題ないことを確認していた。
高圧炉心スプレイ系の弁において、弁座、弁体肉盛部に軽微な傷があり、手入れ後の浸透探傷試験で欠陥は認められず、使用上問題ないことを確認していた。
原子炉冷却材浄化系の弁において、弁座、弁体肉盛部に軽微な傷があり、手入れ後の浸透探傷試験で欠陥は認められず、使用上問題ないことを確認していた。