WANOの概要

1. WANOの使命
   WANOは、World Association of Nuclear Operators:世界原子力発電事業者協会の略で、"会員(原子力発電事業者)間で情報交換し、コミュニケーション、比較検討、切磋琢磨を図ることにより原子力発電所の安全性と信頼性を最高レベルに高めること"を使命としている。

2. WANO設立の経緯
   WANOは、旧ソ連チェルノブイリ原子力発電所の事故を契機に、当時の英国中央電力庁総裁であったマーシャル卿の呼びかけにより、1987年10月、パリで開催された世界原子力発電事業者経営者会議において設立が決定され、1989年5月、モスクワでの設立総会を以ってWANOが発足した。

3. WANOの組織
   WANOは、直接には政府や国家との関係を持たない、原子力事業者による民間組織であり、世界4地域(米大陸、東欧、西欧、アジア)にそれぞれ地域センター(アトランタ、モスクワ、パリ、東京)を置いて実務を実施し、さらに各センターの調整を行う目的で、ロンドンに調整センターを設置している。
 WANOの会員は、現在35カ国/地域から132事業者が加盟しており、世界の全ての商業用原子力発電所がWANOに加盟している。

4. 活動内容
 
(1) 運転経験情報交換
   事故やトラブルを未然に防ぐため、全世界を結ぶWANOネットワークを通じて会員発電所の運転経験情報を迅速に交換し合う。
(2) ピアレビュー
   WANO会員から派遣された専門家で構成される国際チームが、ある特定の発電所を訪問し、現場の観察と職員のインタビューを通して発電所の安全性、信頼性向上の観点からの要改善点をまとめ発電所側に提案する。
(3) ワークショップ・セミナー・コース
   参加者の専門技術やノウハウを深めるために特定分野の技術的な経験やデータ、分析結果を掘り下げて情報交換する。
(4) 技術支援と技術交換
   会員が、WANOネットワークや人材交流等を通じて情報や経験の交換を行い、安全性と信頼性の向上を図る。

5. 各地域センターの加盟状況
   WANOの会員権は事業者単位であるが、便宜的に会員をその国、地域で分類すると以下のようになる。
アトランタ・センター
(8)
アメリカ、カナダ、メキシコ、ブラジル(重)、ルーマニア、パキスタン(重)、インド(重)、南アフリカ
モスクワ・センター
(13)
ロシア、ウクライナ、リトアニア、アルメニア、ブルガリア、ハンガリー、ポーランド、チェコ、スロバキア、フィンランド(一部)、キューバ、カザフスタン、イラン
パリ・センター
(13)
フランス、イギリス、ドイツ、スペイン、ベルギー、スイス、オランダ、スウェーデン、フィンランド(一部)、ブラジル(重)、アルゼンチン、中国(一部)、スロベニア
東京センター
(6)
日本、韓国、台湾、インド(重)、パキスタン(重)、中国(一部)
注: (一部)の表示の2会員は、複数の原子力発電所が別々の地域センターに所属する。
(重)の表示の3会員は、同時に2つの地域センターに所属する。

6. 東京センターの加盟状況(全18事業者)
 
・日本 (9電力会社、日本原子力発電、電力中央研究所、核燃料サイクル開発機構、電源開発)
・ 韓国水力原子力発電株式会社
・ 台湾電力公司
・ インド原子力公社
・ パキスタン原子力委員会
・ 中国核工業集団公司

以 上