新「中央給電指令所システム」の運用開始について

平成14年11月1日

 当社は、本日(11月1日)本店ビルにおいて新「中央給電指令所システム」の運用を開始しましたので、お知らせいたします。

 中央給電指令所では、電気を安定して、できるだけ経済的にお客さまにお届けするため、自動給電システム(以降「中央給電指令所システム」)を用いて発電所、変電所および送電線などで構成される電力系統を運用しております。

 旧本店が所在していた電力ビルで昭和59年より使用している従来の中央給電指令所システムは、その後の発電所、変電所などの新設に伴うデータ量の増大によって、システムの処理能力・容量ともに限界を迎え、老朽化も進んでおりました。また、今後も発電所、変電所などの新設が予定されているなど、電力系統が拡大され複雑化する中で、的確かつ効率的な給電運用を図っていくために、このたび従来のシステムを更新し、新「中央給電指令所システム」の運用を開始したものです。

 新「中央給電指令所システム」への更新にあたっては、最新のハードウェア技術の導入やソフトウェア開発により、従来では実現不可能であった高精度な演算処理を高速で実現するなど大幅な機能向上を図りました。その機能的な特長としては、信頼度監視機能や大画面型の系統監視盤等を導入することにより一層の運用安定性の向上を図ったこと、および、火力燃料を経済的かつ計画的に使用する機能等を導入することにより、さらなる経済運用を可能としたこと等があげられます。

 なお、新「中央給電指令所システム」の具体的な特長は以下のとおりです。

1.運用安定性の向上
 今回新たに導入した信頼度監視機能では、運用している電力系統に雷等により事故が発生した場合にどのような影響が生ずるか、専用の計算機によりオンラインでシミュレーションを行います。この結果、電力系統に重大な支障をあたえる事故を事前に把握できるため、影響を極小化するような対策を講ずることが可能です。
 また、当社初の試みとして、大画面型の系統監視盤を採用しました。これにより、事故発生時にはその内容を視覚的に分かりやすく表示するため、事故内容の早期把握と早期復旧が可能となります。
 さらに、運用者の技術力向上を図るため、実際の給電運用に使用する設備とほぼ同様の機能をもつ訓練シミュレータを設置しました。これにより、大規模な停電事故などが発生した場合を想定して、運用者が迅速な判断と緊密なチームワークで事故を復旧するための能力を養成します。

2.運用経済性の向上
 火力発電に用いる燃料は石炭、天然ガス、石油でコストが異なり、また計画的な調達を行う必要があります。このため、従来から保有している一日単位の経済的な発電機の運転状態を計算する機能に加え、年間、月間、週間および前日段階において経済的かつ予め調達量が決められた燃料を計画的に使用するような発電機の運転状態を計算する機能を追加しました。さらに、当日段階においては、これらの計画に基づき発電機をコントロールする機能を導入しました。これにより、水力発電をふくめた最適な発電機のコントロールが実現可能となります。
 また、今回新たに、送電線や変圧器における電気の損失を最小とするような運用状態をオンライン計算し、その結果に基づき中央給電指令所から電圧をコントロールする機能を導入しました。これにより、火力燃料費のさらなる低減が期待できます。

3.運用業務の精度向上と省力化
 給電運用の精度を上げるために不可欠な、需給運用、系統運用および電力設備の作業に関する運用計画は、それぞれが非常に多くのデータで構成されます。このたび、このデータの収容能力を大幅に向上させ、自動で相互にデータ連係し、計画作成を支援する機能を導入しました。具体的には、年間計画、月間計画、週間計画、前日計画さらには当日運用と順次引継がれていくため、給電運用のさらなる精度向上と省力化が可能となります。

4.信頼性と拡張性に優れたシステム構成
 本システムにおいては、機能別に計算機を分散設置するとともに、主要機能を処理する計算機は複数台設置しているため、万一、1台の計算機が故障しても機能が失われることはありません。また、異なるメーカーの計算機であっても連係できる構成としていることから、新たな機能を持つ計算機を容易に追加できるなど、システムの拡張性に優れています。

 

以 上