参考資料1


上越火力発電所開発計画の変更について

 皆様には,上越火力発電所の開発につきまして,平素より一方ならぬご理解とご協力を賜り,厚く御礼申し上げます。

 さて,東北電力と中部電力は,将来の電力供給の安定確保と両社の一体的開発による電力供給原価の低減に資することを目的として,共同出資による上越共同火力発電株式会社(以下,「上越共火」)を平成7年7月に設立し,当発電所の開発を推進してまいりました。

 現在,平成19年度における1号系列の運転開始を始めとした,130万kW級3台の開発を目指し,防波堤及び発電所用地の埋立工事を国ならびに新潟県・上越市の事業として進めていただいているところであります。

 一方,こうした中で,電気事業を取り巻く経営環境は,電力市場の部分自由化の開始による業態の垣根を越えた参入やお客様による入札が実施されてきていることに加え,電力需要の面でも,昨年度は販売電力量が前年割れになるなど上越共火の設立時から大きく変化してきております。このような経営環境変化の中で,電気事業者は人員削減などのできる限りの経営合理化を実施し,今年7月には東北電力が,また,9月には中部電力が,上越共火設立以降,共に4度目の電気料金引下げを実施いたしました。しかしながら,今後は全面自由化に向けて国内の論議が進む方向であり,現状でも大きな変化のあった事業環境が,より一層激変することが予想されます。このような状況の中で,さらに安価な料金で安定供給を達成し,競争力を確保していくためには,電源開発計画の見直しを含めた経営効率化に向けたあらゆる面での抜本的対応策をも実施していくことが必要になってまいりました。こうしたことから,上越火力発電所を経営資源として有効に活用していくための開発計画のあり方につきましても,鋭意検討してきたところであります。

 その結果,上越火力発電所の開発時期につきましては,景気動向に底打ち感も見られるものの,確かな回復の兆しはなく,今夏の最大電力需要も実績を下回っていることも踏まえて,大幅に繰り延べるという決断をせざるを得ない状況となり,具体的には次のような計画とすることにいたしました。

1号系列:平成24年度 運転開始目途
2号系列:平成29年度 運転開始目途
3号系列:平成35年度 運転開始目途

 これにより,中部電力向け1・2号系列と東北電力向け3号系列,それぞれの開発時期が後年度にずれ込むことに加え,開発間隔が広がることとなり,東北電力および中部電力の両社としては,上越共火設立の目的であった両社の一体的開発による効率的かつ経済的な建設が困難になると判断いたしました。

 さらに前述のとおり,全面自由化など今後激変が予想される経営環境に対しては,各電力が主体的かつ迅速に対応することが必要になってくるとともに,さらなる コストダウンの実施が至上命題となってきております。このような状況の中,上越地点の開発を引き続き実施していくために,東北・中部の両電力がそれぞれ競争力のある発電所を建設することが必要かつ不可欠となりました。

 以上のことから,今後の上越火力発電所の開発にあたっては,上越共火の資産を両社が承継した上で,1・2号系列は中部電力が,3号系列は東北電力が,それぞれ直接開発を担当し,上越共火については,承継に関する諸手続き終了後に清算することといたしました。

 以上のとおり,これまでの開発時期および開発主体を変更させていただきますが,3社間での承継を遺漏なく進め,今後も引き続き地域に密着した発電所として開発を進めてまいりますので,何とぞご理解とご協力を賜りますよう,よろしくお願い申し上げます。

平成14年10月

東北電力株式会社
中部電力株式会社
上越共同火力発電株式会社