10月定例社長記者会見概要 |
平成14年10月29日
○平成14年度上半期の電力需給実績について まずはじめに、平成14年度上半期の電力需給実績について、私からは電力需要の実績に関して主なポイントとなる点についてご説明させていただきます。 今年度上半期の販売電力量は、電灯・電力合計で358億4,300万kWh、対前年同期比で100.2%となり、上半期の実績としては2年ぶりに前年を上回りました。 電灯・業務用電力については、春先の気温が高めで推移したことにより暖房需要が減少しましたが、夏場では、冷夏になるのではないかとの予想に反して、7月下旬から8月上旬にかけて一時的にかなりの猛暑となったことから冷房需要が急増し、プラスとマイナスが相殺される形で、ほぼ前年並みの実績となりました。 一方、産業用については、大口電力の実績をみますと、ご存知のとおり景気低迷による前年割れが、全国合計よりも4か月遅れて昨年の6月から始まりましたが、本年5月には全国合計より2か月早めに前年比プラスに転じており、約1年ぶりにプラスとなっております。 業種別にみますと、本年4月には鉄鋼、5月には非鉄に操業水準を持ち直した様子が伺え、6月には化学が前年を上回るなど、素材型産業が先陣をきる形で回復基調が始まりました。 さらに、8月には、東北の主力産業であります機械が前年を上回る水準に達するなど、ようやく回復基調に厚みが出てきたかなと期待しているところであります。 この結果、大口電力合計では前年同期比で100.8%と9電力で比較すると、第2位の伸びとなり、こちらも上半期としては2年ぶりに前年を上回る実績となりました。 今年度の下半期については、上半期の需要水準が当面は継続するのではないかとみております。しかし、こうした動きは、輸出主導によるところが大きく、今後の米国経済が先行き不透明であることや国内の需要回復の動きが鈍いことなどを考慮いたしますと、年度末まで続くかどうかは分かりません。 必ずしも楽観視できる状況ではないことから、今後の需要動向を慎重に見極めていく必要があると考えております。
○自主点検調査の進捗状況および不正防止策の検討状況について それでは続きまして、女川原子力発電所における自主点検結果に関する調査の進捗状況と、不正防止策に関する検討状況について申し上げます。 まず、原子力安全・保安院からの指示に基づく過去の自主点検作業に係わる総点検については、岡田副社長を委員長とする「原子力自主点検調査委員会」の下に、実務を行う調査チームを2つ設置し調査にあたっております。 調査項目のうち、原子炉圧力容器や炉内構造物など原子炉に関連する重要な機器については、過去3年間を対象とした調査結果を、11月15日までに中間報告として国に報告することとなっておりますので、現在、その作業を優先して実施しているところであります。 一方、自主点検作業が適切に実施されるための十分な社内体制や不正防止策が確立されていることについても点検するよう指示が出ておりますが、これらの調査については、調査委員会の下に別途調査チームを設けて進めているところであります。 その具体的な調査内容は、国が認可した「保安規定」や社内規定・基準類の内容にしたがって、自主点検作業が適切に実施されているかどうかを確認するものであります。 また併せて、情報公開のあり方や、品質保証・監査などの社内体制のあり方、さらには企業倫理の再徹底などについても、改善を図るべく検討を進めているところであります。 こうした中で、現時点でお話できる具体的な取り組み状況について、いくつか申し上げます。 まず一つは、外部の第三者で構成する「原子力の安全と信頼に関する顧問会議」の設置であります。学識経験者をはじめ各界の有識者の方々に顧問をお願いし、今後、情報公開のあり方などについてご意見をいただくとともに、自主点検調査のプロセスの妥当性や公正性の評価についてもご意見をいただきいと考えております。私たちの調査の透明性を一層高めてまいりたいと考えております。 さらに、自主点検調査委員会で検討している不正防止策についてもご意見をいただきたいと考えております。なお、この「顧問会議」については、11月15日までの国に対する中間報告の前に、第1回目の会合を開きたいと考えております。 二つ目は、コンプライアンスの強化に関する点であります。当社では、平成10年に副社長を委員長とする「企業倫理委員会」を設置するとともに、「東北電力企業行動指針」を定め、当社の行動規範として全社員に徹底するようこれまで取り組んでまいりました。 今回、その取り組みを一層強化することとし、社長を委員長とするトップ直結型の委員会に改めるとともに、企業行動指針の見直しも併せて行うこととしております。 三つ目として、企業倫理の確立と法令遵守について全社員に今一度徹底させる必要があると考えております。そのため、副社長をはじめとする部長以上の本店幹部が全事業所を訪問し、社員と直接対話する活動を実施することとしております。期間は11月5日から年末にかけて実施したいと考えております。 以上が現時点での取り組み状況であります。 いずれにいたしましても、如何にして「技術的な安全」を「社会的な安心」につなげていくかということが大事だと考えております。 そのためには、地元の方々の気持ちになって、分かりやすい形で積極的に情報を出していくことがあくまでも基本になると考えております。 具体的な情報提供のしかたについては、今後、宮城県ご当局および地元自治体との協議を進め、今回設置した「顧問会議」からのご意見等も併行して承りながら、皆様に信頼していただけるものにしてまいりたいと考えております。 当社としては、できることを一つひとつ実行に移しながら、私ども経営層が先頭に立って、全社をあげて信頼回復に努めてまいる所存であります。 以 上 |