『ニッケル−水素電池駆動式配電工事用高所作業車』の導入について

平成14年10月2日

 当社はこのほど、株式会社アイチコーポレーション(本社:愛知県名古屋市中区千代田2−15−18、代表取締役社長:鈴木尚郎氏)、ならびに古河電池(本社:横浜市保土ヶ谷区星川2−4−1、代表取締役社長:今井雅也氏)と共同で、配電工事で使用する高所作業車の作業用装置(バケットやブーム昇降等)の動力源としてニッケル−水素電池を用いた、低騒音・無排気ガスの環境に優しい『ニッケル−水素電池駆動式配電工事用高所作業車』を本格的に導入いたしました。
 このような大型のニッケル−水素電池を電気自動車の走行用動力以外の用途に応用し実用化したのは、国内はもとより世界でも初めてのこととなります。

 近年、環境問題に対する関心が高まってくる中、当社ではこれまで、環境問題の取り組みの一つとして低騒音・無排気ガスの環境対策型高性能高所作業車の研究開発を進めてきました。
 具体的には、平成9年7月に、ニッケル−水素電池の防水性・耐振動性の向上を図り、充放電時の電池の発熱による充電効率の低下を防ぐ電池冷却システムを開発することにより、ニッケル−水素電池を搭載した大型高所作業車(3トン車ベース)を世界で初めて開発しました。
 その後も引き続き研究を行い、平成11年3月には中型高所作業車(2トン車ベース)を開発、実証試験を経て、今回、中型の『ニッケル−水素電池駆動式配電工事用高所作業車』の本格導入となったものであります。

 配電工事の場合、同じ場所に長時間停車して作業を行うため、現在、普及しているエンジン駆動式高所作業車では、作業中のエンジン駆動による排気ガスや騒音を低減することが大きな課題となっております。

 こうした中で、すでにエンジンの代わりに鉛電池を作業用の動力源とするバッテリー駆動式高所作業車が開発されておりますが、一般のエンジン駆動式高所作業車と比較して作業可能時間が短く、定期的に水を補充する必要があるなど、作業効率やメンテナンスなどの面で課題がありました。

 今回導入した高所作業車は、小型・軽量の高性能ニッケル−水素電池を作業用の動力源としているため、排気ガスが出ないことや騒音がほとんど無いことに加え、電池を荷台下にコンパクトに収納しているため、工具等の積載スペースも十分確保でき、エンジン駆動式の高所作業車と比べても、動作性能や作業可能時間等を含め遜色のない性能となっております。

 現在、『ニッケル−水素電池駆動式配電工事用高所作業車』を当社管内の青森、盛岡、秋田、仙台、山形、福島、新潟の各営業所に各1台配備しておりますが、順次導入を進め平成16年度までには全営業所に配備することとしております。

 

以 上

 

『ニッケル−水素電池駆動式配電工事用高所作業車』の主な特長

@ ニッケル−水素電池は、鉛電池に比べエネルギー密度が大きく、低温に強いため、冬期間における電池容量の低下がほとんど無く、年間を通して安定した動作性能や十分な作業可能時間が確保できます。
A ニッケル−水素電池は密閉形であるため、補水の必要が無くメンテナンスフリーで、作業者の負担を大きく軽減できます。
B 走行時における電池機能の低下を防ぐため、耐振動性の向上を図るとともに、電池冷却システムの開発により、充放電時の発熱による充電効率の低下を防止しております。
C ニッケル−水素電池を荷台下にコンパクトに収納することにより、工具等の積載スペースも十分確保できるなど、エンジン駆動式の高所作業車と比べても遜色のない性能となっております。
D 低騒音、無排気ガスのため、深夜・早朝などの配電作業においても、周囲の方々にご迷惑をおかけすることが少なく、作業時間の選択幅の拡大や、緊急時等において柔軟な対応が可能になります。
E 電池の充電に深夜電力を使用することにより、ランニングコストの大幅な低減が図れると同時に、深夜電力の有効利用に貢献できます。
F 中型の高所作業車であるため車幅が広くなく、作業車の長時間駐停車が原因となる都市部での交通渋滞も解消されることが期待されます。

 

(参 考)『ニッケル−水素電池駆動式配電工事用高所作業車』仕様諸元