固体高分子形燃料電池コジェネレーションシステムの実証試験について

平成14年2月4日

 当社は、このたび、一般家庭向け固体高分子形燃料電池(PEFC)コジェネレーションシステムの実証試験を開始いたしました。

 固体高分子形燃料電池は、動作温度が比較的低いことから起動が速く取扱いが容易なこと、低NOx、低騒音、低振動であること、出力密度が高いためコンパクトで高出力が得られることなどから、従来の定置用に加え移動用への応用が検討されており、開発が進められております。

 燃料電池は水素と酸素の化学反応により電気を発生させる一種の発電機です。当社が平成13年8月まで実施した水素燃料の固体高分子形燃料電池単体の運転試験では、燃料電池本体の性能把握が主な目的でしたが、今回の実証試験では、一般家庭用としての構成を持ったコジェネレーションシステムの性能把握を目的としております。

このため、今回の実証試験では、都市ガスを燃料とした1kW級の固体高分子形燃料電池について熱利用も可能なシステムを構成しております。燃料電池本体に加えて、水素を製造する燃料改質装置や排熱回収用の貯湯槽等を備えており、発生した電気は当社研究開発センター内の系統に連系して運用を行います。

実証試験は平成14年度まで行い、発電効率、排熱回収効率などのシステム性能や耐久性、信頼性、運用性を検証評価することとしております。

以 上




別 紙


固体高分子形燃料電池コジェネレーションシステムの実証試験概要


1.実証試験期間

   平成13年12月〜平成15年3月

2.設備設置場所

   東北電力株式会社 研究開発センター(仙台市青葉区中山七丁目)

3.試験の概要

 固体高分子形燃料電池は、電解質に高分子膜を使用した燃料電池で、出力密度が高いためシステムのコンパクト化が可能であり、また、動作温度が100℃以下と比較的低いことから起動が速い等の特徴があります。


(1)システム構成





(2)試験機器仕様


項  目 仕  様
  機器メーカ−   東芝
  出 力   0〜700W AC
  電 圧   100V、50Hz
  温水温度   60℃
  運転方法   系統連系(逆潮流なし)
  燃 料   都市ガス13A
  寸 法   110(H)×85(W)×38(D)cm  
  騒 音   50db(機側1m)


(3)試験項目

 a.システム性能 発電効率(AC)、補機動力、起動停止時間、負荷追従速度、騒音、NOx、補給水・イオン交換樹脂等消費
 b.電池性能 直流電圧-電流特性、発電効率(DC)、燃料利用率、劣化率
 c.排熱回収性能 熱出力、排熱回収効率、排熱温度
 d.改質器性能 改質率、CO濃度、劣化率
 e.インバータ性能 DC-AC変換効率、高調波歪み率


(4)スケジュール



(5)固体高分子形燃料電池の特徴

 a.体積あたりの出力密度が高い コンパクト化
 b.100℃程度の低温で動作 起動が速い、取扱いが容易
 c.電解質が固体高分子 電解質損失に伴う劣化が無い
 d.環境調和性が高い 低NOx、低騒音、低振動等
 e.燃料の多様性 水素、天然ガス、プロパン、メタノール等



以 上