社内ベンチャー制度による新会社設立について
〜河川塵芥(じんかい)を有効活用し、地球環境および地域に貢献〜

平成13年9月28日

 当社はこのたび、創立50周年記念事業の一環として行った社内ベンチャー制度による第一号会社として、 水力発電所のダムに流れ着く河川塵芥(=ごみ)を活用して堆肥、オガコなどの農業用加工製品を製造・販売する新会社 「株式会社アグリパワー」(仮称)を来年1月に設立することといたしました。

 当社では、新たな事業分野の開拓、人材育成および組織の活性化を図ることを主な目的に、創立50周年記念事業の一環として、 平成12年5月に「ベンチャー・サポートプログラム」と称するベンチャー事業の社内公募制度を設け、 自らが事業を企画・運営する意欲のある社内起業家の募集を行っております。
 第一回目の公募では、64名の社員から68件の応募が寄せられ、社内の一次、二次審査を経てこのほど、 ダムに流れ着く河川塵芥の有効活用に関する事業化提案が最終審査に合格しました。

 福島県会津地方および新潟県東蒲原郡の一部にまたがる只見川・阿賀野川水系には27個所の水力発電所および11個所のダムがありますが、 当ダムには年間約12,000m3の河川塵芥(草葉類、流木類、その他生活廃棄物)が流れ着いてきます。 こうした塵芥の処分については、当社会津若松支社内のダム管理所が、発電設備の保守業務として生活廃棄物 (プラスチック、びん類など)を除くほとんどを焼却しておりますが、焼却量の減量が課題となっておりました。

 当社では地元の要望を踏まえながら、平成5年頃より草葉類の堆肥化の研究に着手し、平成8年には生産に成功し、 地元農家の方々に堆肥を提供しておりますが、焼却量の減量にはつながったものの、堆肥生産コストが焼却コストを上回る状況にありました。
 また、現在使用している焼却炉についても、関係法令の改正により、将来的に設備の改良が必要となっています。

 今回の事業化提案は、これまで取り組んできた塵芥の焼却量減少および塵芥の有効利用策を発展させたもので、
河川塵芥の全量を有効活用することにより、焼却の必要がなくなること
河川塵芥をリサイクルした加工品を地元農家などに販売することが、地球環境および地域への貢献につながること
加工品製造のための設備投資が、仮に焼却炉を改良した場合と比較して約6割で済むこと
 が期待できるものです。

 河川塵芥の製品化については、一次製品として、草葉類を農業用堆肥に、流木類をオガコに加工します。さらに、二次製品として、 農業用堆肥から菜園用堆肥や堆肥キノコ菌床を、オガコからは木質ペレットやペレットキノコ菌床をそれぞれ加工いたします。特に、 ペレットキノコ菌床については、新会社オリジナルの製品となっております。
 こうしたリサイクル事業は、資源回収や製品化に要するコスト負担などから採算ベースに乗りにくいと言われますが、新会社では、 より付加価値の高い二次製品を製造・販売することで、採算面と両立させております。

 当社では、新会社の経営の自主性を尊重した上で、事業運営の早期定着化を目指して、引き続き支援していくこととしております。

 なお、今後の社内ベンチャー制度の展開については、社員の能力・活力の一層の発揮と社内の活性化を図るとともに、 応募資格を当社社員に限らず、グループ企業の社員まで対象を広げ、東北電力企業グループの人材育成・組織活性化に向け制度運用を拡大することといたします。

以 上



ベンチャー新会社の概要


1.会社名 株式会社アグリパワー(仮称)
2.所在地 福島県会津若松市東栄町3番9号
3.事業内容 製品加工販売事業(堆肥、オガコ、木質ペレット、キノコ菌床等)
4.資本金 4,000万円
5.出資者 東北電力株式会社 3,500万円(87%)
ベンチャー事業検討チーム(3名) 500万円(13%)
6.役員・社員
代表取締役(常勤) :佐藤 良治(よしじ)(当社、検討チームリーダー)
常務取締役(常勤) :阿部 雄一(当社、検討チームパートナー)
取締役(常勤) :吉田 幹雄(当社、検討チームパートナー)
監査役(非常勤) :未  定
社  員 :現地で採用予定(3名程度)
7.設立年月 平成14年1月
8.売上見込 事業開始後5年目で1億円程度

以 上