「配電負荷監視・制御システム」の
開発・実用化について

平成13年6月20日


 当社はこのたび、変圧器、電力量計などの配電機器の使用状況を、遠隔で自動管理(監視、制御、計測等)することにより、 設備投資抑制と業務効率化を図る「配電負荷監視・制御システム」(以下、「開発システム」といいます。)を開発し、 今年度より一部営業所に導入、実運用における効果の検証を開始することといたしました。

 当社供給エリア内には、約100万台の変圧器が設置されており、個々の変圧器については、 その変圧器から供給されているお客さまの電気の契約容量や使用量をもとに必要となる容量を計算しております。 また、お客さまの新増設の都度再計算し、変圧器の容量が不足する場合など、必要に応じて取替工事を行っております。
 電力量計については、一般の低圧お客さま用として約600万台設置されておりますが、お客さまの引越し等がある場合、 現地で電気の入り切り作業を行っております。

 今回開発したシステムは、当社の営業所に設置した中央処理装置から、当社の保有するネットワークを介し、 遠隔で変圧器の計測・監視や低圧電力量計での電気の入り切りなどを可能としました。
 この結果、実測値にもとづく電気の使用実態に合ったより一層効率的な変圧器の使用や、 これに伴う取替工事の減少といった設備投資の抑制が図られるとともに、 電気の入り切り作業を営業所からの遠隔操作で実施することによる業務の効率化などが期待できます。

 この開発システムで使用するネットワークには、既存の当社の配電自動化システムネットワーク(通信線、高圧配電線) や低圧配電線を用いることで、新たな通信設備の建設コストを不要としました。
 また、状況に応じてPHSやSS無線などによる対応も可能としており、既存のネットワークに対する柔軟な対応を実現しました。

 開発システムの基本構成は別添「参考」のとおりであり、研究・開発にあたっては平成7年度より、システム構成・伝送技術の検討、 各種機器開発、伝送信頼度の確認、さらに実用化に向けた検証といったステップで進めてまいりました。

 今回の効果検証の期間は、本年7月から平成14年3月までの9カ月間を予定しており、一部地域で開発システムによる実際の業務運用を行い、 変圧器取替工事の抑制効果、現地作業の回避による効率化効果等を実運用ベースで算定することとしております。

 なお、開発システムにおいて、今回新たに開発・実用化した主な機器の特徴は、以下のとおりです。
  1. 中央処理装置
    営業所に設置し、現地機器に対する監視や制御の実行、結果の表示と管理等を行います。

  2. 変圧器用子局
    (1)変圧器の使用状況(電圧、電流、温度、高調波等)を常に計測・監視します。前もって設定したレベルを超えるような場合は、 営業所の中央処理装置に対し、子局自身がその状況発生を通知する機能を持たせました。

    (2)子局を設置する場所の通信媒体(通信線、配電線、無線)に応じて、通信線搬送、配電線搬送、PHS、SS無線等の通信装置を搭載し、 これらの通信媒体間の信号中継を行います。

  3. 開閉器内蔵型低圧電力量計
     低圧電力量計に、低圧配電線搬送方式による通信機能と、開閉器(スイッチ)を内蔵しました。 これにより、遠隔での電気の入り切りといった制御を可能とし、現地対応業務の効率化を図ることができます。
     また、本電力量計はタイマー機能を有しており、制御を行う日時の予約設定等も可能としております。

以 上


[語句説明]

○負荷
お客さまが電気を使用する機器・設備。

○変圧器(配電用変圧器)
配電線に流れている6600Vの電圧を100Vまたは200Vに下げるための設備。主に一般家庭や小規模の工場・ 商店といったお客さまに電気をお届けするために設置。

○電力量計
お客さまにお使いいただいた電気のご使用量(使用電力量)を計る計量器。

○配電自動化システム
営業所に設置した計算機から伝送路を介して、配電線路に設置されている開閉器の遠隔監視・制御や、 配電線事故(停電)時の事故区間以外への自動送電等を行うシステム。
当社では従来、伝送路として通信線を使用していたが、平成10年度より通信工事のコスト低減等を図るため、 伝送路に通信線と配電線を組み合わせた「ハイブリッド型通信システム」を開発・導入している。

○SS無線
スペクトラム拡散通信方式(Spread Spectrum communication system)を用いた無線。電波エネルギー (スペクトラム)を広い帯域幅に拡散(スプレッド)して通信する方式であり、雑音に強く、 秘話性に優れ、高速・大容量通信が可能であるといったメリットがある。

○マルチ対応低コスト電力量計
様々な料金メニューや各種通信方式へのマルチ対応が可能な高圧お客さま向けの低コスト電力量計。
当社で開発・実用化し、平成13年度より本格的に導入を開始することとしている。



[参 考]