松島幹線・宮城中央開閉所の営業運転開始について 〜新技術・新工法の導入によりコスト低減を図る〜 |
平成13年4月10日 当社は、現在建設中の女川原子力発電所3号機(出力:82万5千kW、平成14年1月運転開始予定)の発生電力を円滑に送電するため、 同発電所と既設青葉幹線 (電圧:27万5千ボルト)を連系する松島幹線(電圧:27万5千ボルト)、宮城中央開閉所(27万5千ボルト) および宮城中央支線(電圧:27万5千ボルト)の新設工事を進めてまいりましたが、本日、営業運転を開始いたしました。 昨年7月に電気事業法が改正され、従来国が行う使用前検査に替わり、法で定める使用前自主検査を電気事業者の自己責任において行うことになりました。 本日営業運転を開始した設備は、当社流通設備としては初めてとなる使用前自主検査を実施し、設備の総合的な機能、 公共の保安確保、電気設備技術基準等との適合性および工事計画に基づいて設置されていることを確認しております。 なお、5月中旬には国による安全管理審査を受審する予定であります。 松島幹線の建設にあたりましては、「完全プレハブ架線工法※」、「 また、松島幹線の経過地で、一部県立自然公園付近等を経過する区間については、鉄塔材の低光沢処理※、電線の低反射処理※等の対策を実施し、 景観との融和を図っております。 宮城中央開閉所の建設にあたりましては、屋外開閉装置に縮小型分岐母線の採用等の合理化を図った「ガス絶縁開閉装置※」、 システム全体の簡素化を図った監視制御装置※、仕様簡素化等を図った構内監視装置※を採用するなどコスト低減を図りました。 松島幹線、宮城中央開閉所、宮城中央支線の概要および新技術・新工法の概要については別紙のとおりです。 以 上
以 上 新技術・新工法の概要
従来工法では、電線を鉄塔間に延線した後、所定の「弛み」が出来るように鉄塔上で調整・切断・引留クランプを圧縮し、 がいし装置へ取付けていたものを、本工法では電線製造工場にて電線の計尺・マーキングおよび電線の切断・引留クランプの圧縮までを行い、 現場では延線のみを行うことにより架線作業の安全性の向上、施工の省力化を図りました。 超高圧送電線工事に広く採用されているプレハブ架線工法では、延線時にクランプが延線車や鉄塔上の金車を通過する際、 クランプの変形を防ぐため鋼製のプロテクターを取り付ける必要があり、この工法ではプロテクターが通過できる特殊な延線車が必要なほか、 延線後の電線のたるみを調整する緊線時には、重量物のプロテクターを宙乗り状態で取り外す必要がありました。 『金車通過型短尺クランプ』は、従来のクランプに比べて、金車通過時などにおけるクランプの変形防止や曲げに対する強度を高めるため 特殊なアルミ合金を採用、さらに太径化・短尺化を図りました。 本クランプを開発・実用化することにより、延線時のクランプの変形を防ぐプロテクターを必要とせず、一般の延線車で延線が可能となり、 北奥幹線、山形幹線に全面的に採用しましたが、さらに電線がサイズアップする松島幹線用も実用化し、架線工事費の低減を図りました。 従来、地盤の軟弱な水田等に構築する鉄塔基礎のコンクリート打設の際には鋼製型枠(メタルフォーム)を使用し、 打設後に型枠を取り外していましたが、それに替え『埋設型床板型枠』を採用することにより、重量が軽く、 埋設型のため取り外す必要がなく作業が容易になるほか、掘削も少ない範囲で済むなど施工の省力化、工事費低減を図りました。 送電線の鉄塔基礎は逆T字型の基礎が一般的であり、基礎底部の大きさに合わせて掘削し、上部を埋め戻しております。 拡底基礎工法は逆T字型の基礎形状に合わせて、基礎上部を底部より小さく掘削し底部は基礎形状に合わせて拡幅掘削し地盤に密着させるため、 より信頼性が向上するほか掘削土量も減少し経済性にも優れているため『拡底基礎工法』の適用拡大を図りました。 従来、既設の送電線上空を横断して電線を延線する場合、仮足場(鉄塔、鉄柱等)を新たに建て、 新設鉄塔との間に防護ネットを張って既設送電線を防護していました。 『径間防護ネット工法』は新設の鉄塔2基に設置した仮アーム間に防護ネットを施設して交差物等を保護する工法であり、 本工法の採用により仮足場の設置が不要となることにより施工の省力化、工事費の低減を図りました。 鉄塔に使用している溶融亜鉛めっきを施した鋼材を、りん酸による化成処理を行うことにより、 鋼材表面の亜鉛皮膜にりん酸塩皮膜を形成して光沢を抑え、景観への配慮を図りました。 電線表面に細かい傷をつける処理を行うことにより、電線表面の反射光を分散させ、一定方向への反射光を減らし景観への配慮を図りました。 ガス絶縁開閉装置は従来、空気によって絶縁していた電線や開閉機器を絶縁性の高いガスを封入したガス絶縁タンクの中に収納し、 それらを一体構成した開閉機器です。 このタンクの中には母線とよばれる導体が3本設置されており、この導体を通じて各種開閉機器と送電線が接続されております。 このタンク内で上下方向に母線から枝分かれ(分岐)する導体がある場合、各導体同士がショートしないように適切な間隔を確保した導体配置としておりましたが、 今回、分岐に関係しない長い直線個所においては導体の間隔を狭める配置にしてタンク径を細くすることにより装置全体を縮小化し、工事費の低減を図りました。 従来、変電所・開閉所の監視制御システムでは各回線単位で行っていた制御方式から、集中監視制御装置・ 汎用LANなどシステム全体を簡素化・集約化した新型監視制御システムを採用することにより、工事費の低減を図りました。 開閉所側の構内監視装置仕様を、配電用変電所構内監視装置を基本とした仕様に大幅に簡素化を図るとともに、 親局装置を他変電所等と共用し、配電用変電所構内監視装置の1子局とすることで、工事費の低減を図りました。 以 上 |