高速配電線搬送技術の実証試験開始について
〜配電線を利用した高速データ通信の可能性調査を実施〜

平成13年3月28日


 当社はこのたび、高速配電線搬送技術の実証試験を開始することといたしました。
 今回の実証試験は、高速配電線搬送技術の実用性の把握およびそのノウハウの取得を目的としており、平成13年3月末から基礎的な研究を開始し、 本年6月以降、順次規模を拡大し、平成14年2月頃まで実証試験を行う予定としております。

 近年、インターネットの急速な普及により、光ファイバ回線等を活用した通信回線に対する低廉かつ高速化のニーズが高まっており、 基幹系の通信回線とお客さまを効率的に結ぶ伝送経路、いわゆる、ラストワンマイル技術が注目されております。

 高速配電搬送技術は、コンセントに電源プラグを差し込むだけで双方向の高速データ通信が可能となるため、 お客さまにとっては非常に利便性の高い技術であるといえます。また、当社にとっても、 配電柱から個々のお客さまに電気を送っている既設の引込み線を活用することで、新たに通信線を敷設する必要がなく、 さらに、今後新たなお客さまサービスの向上を図っていくうえからも有効な技術であると考えております。

 当社では、新潟県を含む東北7県の主要都市を中心に光ファイバネットワークを保有しており、 今回の実証試験をとおし高速配電線搬送技術の課題を解消し、新たなお客さまサービス提供の可能性を検討していくこととしております。

 また、低圧配電線は、本来電気を効率的にお客さまにお届けすることを目的として構築された設備であり、お客さまへの引込線の敷設状況がさまざまであります。
 このため、低圧配電線を情報伝送用の通信線路として捉えた場合、家電機器の接続状況などから、 その伝達特性や雑音特性が著しく変化するため、これらについてもさまざま角度から十分な検証を行い、データの蓄積を図ることとしております。

 なお、今回の実証試験の概要は別紙のとおりです。

以 上



(別 紙)

○試験計画の概要
 ラストワンマイルのアクセス技術である高速配電線搬送方式では屋外の低圧配電線に接続される配電線搬送モデム(親局モデム)と、 家庭内電灯線に接続される配電線搬送モデム(子局モデム)間で通信回線を構成します。本実証試験では、 低圧配電線から家庭内電灯線までの配電線路が高速通信路として活用可能かどうかを検証します。

フェーズ1(基礎実験および低速タイプ配電線搬送モデムでの伝送試験)
試 験 期 間 ・平成13年3月〜13年5月
試 験 場 所 ・当社研究開発センター内全電化住宅(仙台市)
試 験 項 目 ・配電線路の伝送特性測定
周波数とモデム信号レベルとの関係を測定します。

・配電線路の雑音特性測定
周波数と雑音レベルとの関係を測定します。

・配電線搬送モデム(数十kbpsオーダー)の伝送試験
親局モデム1台と子局モデム1台を用いて,配電線路でデータ伝送試験を行います。


フェーズ 2(高速タイプ配電線搬送モデムでの伝送試験)
試 験 期 間 ・平成13年6月〜14年2月
試 験 場 所 ・当社研究開発センター内全電化住宅(仙台市)
・当社社宅(仙台市)を中心とした戸建住宅、集合住宅
試 験 項 目 ・配電線搬送モデム(1Mbpsクラス)の伝送試験
親局モデム1台と子局モデム1台を用いて、配電線路でデータ伝送試験を行います。

・モデムを複数台設置した場合の伝送機能試験
親局モデム1台に対して、集合住宅や戸建住宅へ子局モデムを複数台設置し、親局モデムを共有した場合の伝送効率など機能試験を行います。

・上位系ネットワークと接続した高速情報伝送試験
当社光ファイバネットワークと配電線搬送回線を接続して当社事業所までのエンド-トゥ-エンドの伝送試験を行います。
※平成14年3月以降は実証試験の結果によって延長して実施していくかどうかを判断予定。

●高速配電線搬送実証試験システムイメージ図