ベトナム電力公社との共同研究の開始について
〜太陽光発電と風力発電のハイブリッドシステムによる地方電化モデル試験を開始〜

平成12年11月30日


当社は、去る11月28日、ベトナムにおいて、ベトナム電力公社(EVN:Electricity of Vietnam、本社;ハノイ市) との共同による、太陽光発電と風力発電のハイブリッドシステムの実証試験を開始いたしましたのでお知らせいたします。

当社は、平成9年10月に、当社企業グループの株式会社ユアテック、東北発電工業株式会社とともに、 ベトナム電力公社との間で「相互交流に関する覚書」を締結し、以後、 研修生の受け入れなど交流事業を積極的に展開してきているところであります。 本共同研究は、技術交流の一環として、ベトナムの地方電化事業への貢献とベトナム国民にクリーンな電気を供給するため、 本年3月に締結した「共同研究のための覚書」に基づき、鋭意準備を進めてきたものであります。

本共同研究において、当社は太陽光発電設備、風力発電設備ならびに蓄電池からなるハイブリッドシステムを日本から輸送し、 試験サイトであるベトナム中部コントゥム省コング村まで運搬、据付工事を担当いたしました。
ベトナム電力公社はシステムから村落内の民家までの配電線工事と屋内配線工事を担当いたしました。 また、地元コントゥム省人民委員会も試験サイトまでの運搬道路の整備など本共同研究に協力いたしました。

今後、2年間の実証試験を行い、 気象観測データや本ハイブリッドシステムの発電特性データなどを収集し独立系統の安定性について検証するとともに、 発展途上国での太陽光や風力の再生可能エネルギー導入に関する技術的基礎データの収集を行うものであります。

当社が保有する、これらの再生可能エネルギーに関する技術は、 発展途上国の地方電化事業に大きく貢献するものと確信しております。また、本実証試験は、 当社が海外で実際に工事を行い発電する初のケースであり、 今回得られた各種ノウハウは当社の今後の海外事業展開に寄与するものと考えております。

以 上


[ 別紙 1 ]


ベトナム電力公社(EVN)との共同研究について


  1. 研究の内容
    ベトナムにおける地方電化の促進などを目的として、 太陽光と風力発電および蓄電池を組み合わせた分散型電源による電力供給方式についての実証試験

  2. 実証試験場所
    コントゥム省コントゥム市コング村(コング村の世帯数は36戸)

  3. 実証試験システムの概要
    風車および太陽光パネル、蓄電池を組み合わせたハイブリッドシステム。 システム構成は別紙2のとおり

  4. 研究期間     2年間

  5. 役割分担
    実証試験システムの設計
    および現地設置
    当社
    配電線・引込線などの供給設備工事
    屋内配線工事
    ベトナム電力公社
    実証試験システムの運用、
    データ収集
    当社およびベトナム電力公社傘下のエネルギー研究所(IE)

  6. 観測・測定項目
    ・気象観測項目(風向・風速、日射量、外気温度)
    ・電力測定項目(風力発電量、太陽光発電量、負荷量、充放電電流計測)

  7. スケジュール
    平成12年 3月28日 ベトナム電力公社と共同研究のためのMOU(覚書)の締結
    平成12年11月28日 共同研究開始

以 上



[ 別紙 2 ]

<システムの構成>

○システムイメージ

○主な仕様

主 な 仕 様 概 要
風力発電 定格出力:1.8kW
羽   根:3枚羽根(羽根直径:3.6m)
太陽光発電 最大出力:6.72kW
種   類:多結晶シリコン
蓄電池 種   類:鉛蓄電池
容   量:1,200Ah
計測装置 気象観測:風向・風速、日射量、外気温度
電力計測:風力発電出力、太陽光発電出力、
       負荷出力、充放電電流計測



【参 考】

ベトナムの電力事情
  1. 主要指標


    ベトナム
    (98年度)
    日本
    (98年度)
    当社管内
    (98年度)
    発電設備容量(万kW) 498 25,029 1,441
    発電電力量(億kWh) 216 10,462 765
    販売電力量(億kWh) 177 9,346 690
    一人あたり年間電力消費量
    (kwh/人・年間)
    231 6,317 5,603
    注1)小数点以下四捨五入
    注2)日本データには自家発含む

  2. 主な特徴
    ・ドイモイ政策による経済成長により電力需給は逼迫。EVNエネルギー研究所がベトナム政府に提出した 「長期電源開発計画案(2000年〜2020年)」では、最大電力は2000年の約500万kWから、 2020年には最大で2,500万kWに達すると想定している。

    ・都市部では、ほぼ電化が終わっているものの、少数民族などが居住する農村部、山間部などでは、 ほとんどが未電化地区となっている。これら未電化地区への対応は同国の重要な課題のひとつとなっている。 (国内の電化率は約50%)

    ・ベトナム電力公社では、これら未電化地区への対応として、 太陽光、風力など再生可能エネルギーを利用した分散型電源の活用を検討している。

  3. 事業形態
    工業省の管轄下にベトナム電力公社(EVN: Electricity of Vietnam)が、 全国の発電から配電までを一元的に運営している。

以 上