マルチ対応が可能な低コスト
新型電力量計の開発・実用化について

〜低廉で魅力的な料金メニューの実現に向けて〜

平成12年10月5日

 当社はこのたび、様々な料金メニューや各種通信方式への対応、いわゆる「マルチ対応」 が可能な高圧お客さま向けの低コスト新型電力量計(以下、「新型電力量計」といいます。)を開発し、 平成13年度より本格的に導入を開始することといたしました。

 従来は、料金メニューごとにそれぞれ異なる電力量計を使用しており、新たな料金メニューが導入される都度、 これに対応する電力量計を開発するなどしてまいりました。
 今回開発した新型電力量計は、様々な料金メニューに対応できる計量表示機能を有しており、 これまで開発や取替工事に要していたコストおよび時間の大幅な削減を可能にするとともに、 電力量計そのものの大幅なコストダウンが実現できるものであります。

 新型電力量計の外観および仕様は「別添参考」のとおりであり、主な技術開発項目としては、 「複合サイクリックによる多項目計量表示の実現」、「電力量計外箱へのプラスチック材料の適合」 および「電力量計への無線機内蔵技術の確立」などがあげられます。

 また、これらの技術開発とともに、搭載部品個々の構造や素材の見直しなどにより、 現行のメニューに対応したそれぞれの電力量計の単価と比較して約1/2〜1/10、 年間で約10億円という大幅なコストダウンが実現できます。
 あわせて、小型・軽量化にともなう輸送費や工事費の低減、設置スペースの削減、作業性の向上などが図られます。

 新型電力量計は、電力量計の審査機関である日本電気計器検定所より、「複合サイクリック表示」および 「プラスチック製外箱」を採用した電力取引用電力量計としては国内で初めて、型式承認をいただいております。 研究・開発にあたっては、東北計器工業(株)(取締役社長 尾形 順一郎 宮城県黒川郡大和町吉岡字石神沢34-1)、 北部通信工業(株)(代表取締役社長 川村 斉 福島県福島市伏拝字沖27-1)と共同で進めてきたものであります。

 技術開発項目の具体的な内容は、以下のとおりです。
  1.  時間帯別の使用電力量など様々な計量値を、これまでは複数の計量器や表示器(表示部)を用いて計量表示しておりましたが、 これらを一つの表示窓で周期的に計量表示(複合サイクリック計量表示)することにより、 小型の新型電力量計1台で様々な料金メニューへの対応が可能となりました。

  2.  電力量計(電力取引用)の外箱材料は、これまで、強度や長期耐候性などの観点から金属およびガラスに限定され、 プラスチックの使用は見送られてきました。しかし、 プラスチックの成形加工やリサイクルの容易性ならびに電気絶縁性などの優れた特性に着目し、 電力量計の外箱としての性能検証を行ってきた結果、耐衝撃性や耐候性などの面で十分適合することが確認できたため、 従来より小型・軽量化したプラスチック製外箱の電力量計を実現することができました。

  3.  新型電力量計に通信機能を設けることにより、今後様々な料金メニューが導入され、 複雑な設定などが必要となった場合でも迅速かつ正確な対応を行うことを可能としました。
     特に、将来的に予想される携帯端末による無線検針、さらには遠隔自動検針への対応といった拡張性を考慮し、 電力量計への無線機内蔵を可能としました。
     電力量計は厳しい使用環境(−25℃〜70℃、電波の影響等)にあり、また、金属製外箱であったため、 無線機の内蔵は困難とされてきましたが、電力量計の使用環境に耐えうるSS(スペクトラム拡散方式) 無線機と電力計測回路構成等の開発により解決しました。

  4.  新型電力量計のサイズを現行の大量生産される低圧電力量計と同一とし、外箱の共有化が可能なものとしました。

  5.  電圧・電流計測機能を搭載し、お客さま受電点での電圧値・電流値の遠隔による収集を可能としました。

以 上



【 参考資料 】


新型電力量計の外観




新型電力量計と従来型電力量計の仕様比較

項 目 新  型 従 来 型
寸 法 高さ 210mm 270mm
180mm 180mm
奥行 126mm 120mm
重 量 約1.8kg 約3.5kg
外 箱 プラスチック
(ポリカーボネート)
金属
(アルミダイキャスト)
計量表示方法 様々な計量値を1つの表示窓に複合サイクリック計量表示 各計量値を各々独立した窓に計量表示
通信方式 ○有線方式(高速タイプ)
○低圧配電線搬送方式
○無線方式(SS無線)
(いずれかを選択して搭載)
○有線方式
電圧・電流計測機能 あり なし