最新IT(情報技術)の全面採用による
新購買システムの運用開始について

平成12年 6月 14日

 当社は、去る6月12日、資材購買に関する業務に最先端のIT(情報技術)を積極的に採用した「新購買システム」 の開発を完了し、全社的にその運用を開始いたしました。

 当社では電力市場における競争環境の進展に対応し、経営全般にわたる効率化施策を推進しており、 資材購買業務においても競争発注の拡大、VE制度(注)の導入、更には国内外からの価格・ 技術面に優れた資機材の調達を目的にインターネット・ホームページに調達リストを公開するなどの施策を実施してきております。

 一方、年間10万件を超える資機材や請負工事の購買業務に関しては、請求・見積・契約・検収・支払いといった一連のプロセスがあり、 それぞれの段階で社内の承認・回付・通知の他に取引先との書類の授受などに多くの時間と労力を要しておりました。

 このような中で実運用を開始した新購買システムは、設備部門〜資材・経理部門にいたる一連の業務処理を自動連係した一貫処理システムであり、 取引先との間に電力業界標準ビジネスプロトコルによるセキュリティ機能を強化したインターネットEDIを適用したものであります。

 新購買システムの特記すべき事項の1つめは、このインターネットEDIの全面採用です。これによって、 これまで手渡しや郵送などを利用していた当社と取引先との注文書や見積書などのやり取りをインターネットを通じた電子的なデータ交換に移行し、 当社ならびに取引先双方にとって大きな効率化をはかることが可能となりました。
 本システムによる取引先は、当初は約100社程度となりますが、将来的には順次拡大し、 最終的には約3,000社を対象としていくこととしており、国内でも最大規模のシステムとなるものと考えております。

 2つめは、社内の複数に関わる設備工事の計画から実施、資材調達、設備管理まで一連の業務の一貫処理を可能にしたことです。 資材購買に関する業務は、社内の多くの部門(全設備部門・購買部門・経理部門)が関わりますが、 各部門のコンピュータ間の連係にイントラネット技術を採用して、異なる仕様の100台ものサーバーのインターフェイスを統一 ・連係し、各種の設備工事の計画から実施、資材購買、設備管理まで一連の業務を自動連係し一貫処理を可能といたしました。

 3つめは、資機材や請負工事の購買業務の全ての処理プロセスにおいて、電子決裁処理システムを採用し、 年間100万枚におよぶ伝票のレスペーパー化を実現したこと、また、従業員各自が購入請求書など諸票を電子的に扱うことから、 従来の磁気カード式IDカードから従業員証を兼ねたICカードに変更して個人認証機能の強化・充実をはかったことです。

 4つめは、開発コストの低減と開発のスピードアップをねらいに、最新技術によるコンポーネント化されたEDIサービスパッケージ、 電子決裁処理ワークフロー、WindowsNT・UNIX・AIXサーバの連係パッケージによるベストミックスおよび中核となる新購買システムにJava (ジャバ)を全面的に採用したことです。これにより、開発規模を90万ラインと従来の2分の1に、 開発期間についても「11ケ月」と半減することが可能となりました。

 当社は、従来から「国際調達推進タスクフォース」を設置して資材調達におけるグローバル化を積極的に進めてきておりますが、 この度の新購買システムの実運用を契機に世界的に現実化されつつある仮想電子市場いわゆる「e-マーケットプレイス」 への対応も視野に入れて、より一層の資材調達コストの低減をめざしていくこととしております。

以 上

注)VE制度(VE:Value Engineering)
   取引先の技術ノウハウを活かした工法、仕様等に関する提案制度。



*参考
<主な新技術への取組み>

〇電子認証局を備えたセキュリティ機能を強化したインターネットEDIの全面採用

 従来、郵送・FAXに頼っていた取引先との見積書や注文書の授受について、インターネットによるデータ交換 (EDI)に全面移行し、当社・取引先双方の手間と時間の削減を図っていく。
 取引先には、インターネットに接続できる環境(パソコンとブラウザ・ソフトなど) があれば利用できるよう利便性を重視するとともに、取引件数に応じて「Web型(中小規模)」 または「ファイル転送型(大規模)」を選択可能なシステムとしている。
 また、セキュリティに関しては、世界標準規格(X.509)を採用した最新の認証技術である「デジタル証明書」 を発行する独自の認証局を設置しており、安心してお使いいただけるセキュリティ機能を強化したシステムを実現した。

〇電力業界標準 ビジネスプロトコルの採用

 取引先とのデータ交換の際の規約に「電力業界標準 ビジネスプロトコル」を採用しているが、 インターネットに対応したものでは日本初のシステムであり、「パッケージソフト」として外販を行っていくこととしている。

〇設備部門〜資材・経理部門までの一連の業務処理を自動連係した一貫処理の実現

 資材調達・契約に関わる社内事務手続きでは、工事計画の策定から物品購入・請負工事の請求・見積・契約・検収・ 支払いといった一連のプロセスを経て行われており、多くの時間と労力を必要としていたが、 平成7年度より随時開発してきた各設備部門(火力・原子力・建築・送電・発変電など)の10ものシステムを連係し 「設備工事の計画から実施、資材調達、支払、設備管理まで」一連の業務処理を対象に徹底した処理の自動化を実現した。

〇電子決裁による年間100万枚のレスペーパ化

 従来、資機材の購入に関する決裁手続きは、OCR(光学文字読取方式)帳票などにより行なっていたが、 今回のシステムでは資材購買に関する全てのプロセス(例えば、 起票〜回付〜上長決裁〜資材部門回付〜資材部門決裁〜自動保管など) において電子決裁処理を行なうこととし、年間100万枚におよぶ伝票のレスペーパ化を実現した。

〇従業員証をICカードに全面更新し、セキュリティを強化

 従業員は購入請求書など諸票を電子的に扱うことから、従来の磁気カード方式によるIDカードから個人認証機能を強化した ICカード(従業員証と兼用)に全面更新し、セキュリティの強化を図った。
 全従業員へのICカード適用は、電力業界で初めてとなる。

〇部門コンピュータ間連係などシステム構築にイントラネット技術を採用

 ビジネス・プロセスの徹底的な自動化を行うため、システム構築面でイントラネット技術を積極的に採用し、 社内各部門システムごとにコンピューターの機種や基本・DBソフトの違いなどから異なっていた「データ形式」 を統一するとともに、「共通連係ソフト」の活用により、ホストコンピュータおよび部門サーバ100台もの自動連係を行った。
 また、全従業員の約3割にあたる4,000名が利用することから、使い慣れたブラウザ・ソフトの画面にて端末操作が出来るよう 「操作性」に配慮した。
 *部門サーバで使用している基本ソフト(WindowsNT、UNIX、AIX)

〇開発言語にJava(ジャバ)を全面採用

 大規模な業務システムを効率的に開発・運用するため、アプリケーション開発言語に、Javaを全面採用した。
 この結果、開発規模を90万ライン(従来の約1/2)、開発期間も「11ヶ月」と従来の開発期間を半減させることが出来、 開発のスピードアップとコスト低減を達成した。
 システムの大きさ(規模)の目安となるプログラム数(JavaServlet数)では、国内でも最大規模になる模様。

〇135Mbpsもの高速・大容量ネットワークによる集中処理を実現

 年間約10万件のデータ処理と今後の図面・画像による購入仕様データも配慮、 さらに運用・管理コストのより一層の削減を図るため、電算センターにて集中処理を行うこととし、 当社事業所間の光ファイバ最大135Mbpsの高速・大容量のネットワークを最大限活用する。

〇情報プラットフォームの構築

 「インターネットEDI・電子決裁・個人認証」などの機能については、汎用かつ基盤的なポジショニング (当社では情報プラットフォームと呼ぶ)を指向した開発をしており、今後、他の業務システム開発時には、 本機能を活用・転用することにより、開発期間の短縮・ビジネススピード向上のための「コンポーネント・ツール」 として積極的な利用をしていく。