かまぼこなどの魚肉練り製品の製造・販売で知られる株式会社髙政。2011年9月に女川町に完成した万石工場が、業界初となる生産設備へのオール電化を導入したことで話題となりました。かまぼこの製造工程全般を電気式厨房機器で行う利点について、代表取締役社長の高橋正典さまにお話をうかがいました。
理由の一つは、電気が地球環境にやさしいということ。いま問題となっている地球温暖化のおもな原因は二酸化炭素などの温室ガスにあるといわれています。その点、電気は燃焼がないので、二酸化炭素の削減効果が期待できます。もう一つは、ここ女川が電力の町であるということ。東北電力さんの女川原子力発電所があり、電気が身近で信頼できる存在だったので、スムーズに導入を決めました。
揚げかまぼこを生産するIHフライヤーを3ライン、笹かまぼこを焼く焼き炉を2ラインを導入しました。
機器はすべて最新式のものを採用したので、生産性は以前の4倍にアップしました。加えてIHは全体的にムラなく熱が伝わるため品質も安定し、以前は5%あったロス率を2%に削減することができました。また、直火に比べて油の酸化度が遅く、油の消費量を大幅にカットできたこともメリット。地球環境への貢献という意味では、油の廃棄量を抑えることはとても重要ですから。
機器はすべてコンピュータ管理のタッチパネルで操作できるのでラクですし、ガス式のように材料が機器にへばりつかないため手入れもしやすくなりました。
生産設備をオール電化にしたことで、作業環境は大幅に向上しました。以前は直火での発熱で夏場は工場内の気温が50〜60度になっていたのですが、今では28度と一定。社員からはお礼を言われています。その分、冷房の使用頻度も減りましたから、省エネにもつながっていますね。
工場完成後、東北電力さんのご提案で工場の屋上に空調散水システムを設置しました。これはエアコンの室外機に水を噴霧することで冷却効果を高めるシステムです。夏場の節電や快適な作業環境づくりには大きく役立っています。
東北電力さんには導入した際の利点、コストや費用対効果などをわかりやすく、真摯にご説明いただきました。メーカー提携による安心感も導入の決め手になりましたね。運用後は夏場の電気代を13%も低減できています。イニシャルコストはかかりましたが、それを補って余りあるメリットがありますので、導入して本当に良かったと感じています。
原材料となる白身魚を自社で調達し製造する同業者は少ないのですが、私どもでは市場での魚の買い付けから最終製品に至るまでの全過程を一貫して行い、魚本来の味を追求しています。
魚の美味しさを一番シンプルに味わえるのが、プレーンタイプの「笹かまぼこ」と「揚げかまぼこ」。弾力のある歯ごたえや、噛むほどに口の中に広がる風味と旨みをぜひご堪能いただきたいですね。これからもこの工場を基盤に、こだわりのかまぼこを皆様の食卓へお届けしたいと思っています。