「周年出荷ができる農業を手掛けたい」と、平成6年に収穫や収入が天候に左右されるリンゴからユリ栽培に転換した石川正樹さん。平成16年にハウスを建て、平成19年に増設し、安定周年生産・出荷が達成できそうだった矢先に、油焚暖房機の原油価格が高騰し、生産コストが増大。
そこで、燃油使用量の削減を中心とした経営の見直しと夏の夜間冷房も視野に入れながら、ヒートポンプを導入しました。首都圏や西日本の生産農家に勝つためには、高温で品質が落ちる夏の栽培がポイント。日中の気温が比較的低い地の利を活かすと共に、安定した夜冷により高品質のユリが栽培できました。また、冬の温度管理もヒートポンプを主とし、油焚暖房機で不足温度を補うハイブリッド運転で、燃油使用量の削減を図りながら栽培を行うことで、現在では安定した周年生産出荷に近づきつつあります。今後は「ハウス栽培を上手に利用して、採花率を95%以上にすることが目標」としています。
「岩手県はユリの生産者が少なかったので、情報がなく、手探りの状況で栽培を続けていました。特に、夏の温度管理と冬の燃油使用料の抑制が大きな課題でしたが、東北電力さんからもご提案いただき、ヒートポンプを導入することで解決に向かうことができました。同時にCO2の削減ができたことは大きな収穫です。今後は、もっと生産面積を広げ、出荷量を増やし、ユリが「高根の花」ではなくカジュアルな花になるように努めていきたいと考えています。また、「花育」にも力を入れたいですね。子供達が花と接する機会を多く持つことで、心豊かに育っていく。そのお手伝いをしたいと思います。」