プレスリリース

2月定例社長記者会見概要

2020年 2月27日

○原田社長からの説明事項
 本日は、このたび、新たに策定いたしました「東北電力グループ中長期ビジョン」について、ご説明いたします。


【女川原子力発電所2号機 設置変更許可】
 本題に入ります前に、昨日2月26日、原子力規制委員会からいただいた、女川原子力発電所2号機の原子炉設置変更許可について、触れさせていただきます。


 当社は、女川原子力発電所2号機について、2013年12月27日に、新規制基準に関わる「原子炉設置変更許可申請書」を原子力規制委員会に提出して以降、同委員会による審査を受けてまいりました。


 審査期間は6年を超え、審査会合の回数は計176回を数えましたが、当社は審査に対し、一貫して全社体制のもと、真摯かつ丁寧に対応してまいりました。


 昨日いただいた原子炉設置変更許可は、女川原子力発電所2号機の安全対策に関する基本方針や基本設計が、新規制基準に適合しているとの判断をいただいたものであり、当社といたしましては、再稼働に向けた一つの大きな節目を迎えたものと考えております。
 今後は、設備の詳細設計に関わる「工事計画認可申請」、発電所の運転管理体制などを定めた「保安規定変更認可申請」について審査が行われることから、これらに対しても、引き続き全力で対応してまいります。


 また、新規制基準への適合性に留まらず「安全対策に終わりはない」という確固たる信念のもと、より高いレベルでの安全確保に向けて、最新の知見も取り入れながら、安全対策工事を着実に進めるとともに、各種訓練の充実を図るなど、設備面と運用面の両面から、さらなる安全性の向上に継続して取り組んでまいります。


 さらに、繰り返し申し上げていることですが、再稼働にあたりましては、地域の皆さまのご理解が何よりも重要と考えております。
 

 このため、実際に発電所の安全対策をご覧いただく、施設見学会や各種広報媒体を活用した情報発信など、様々な取り組みを一つ一つ積み重ねることによって、一人でも多くの方から、ご理解をいただけるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいる所存です。


【「東北電力グループ中長期ビジョン」の策定】

 それでは、「東北電力グループ中長期ビジョン」についてご説明いたします。

 当社はこのたび、向こう10年程度の経営の旗印として、2030年代をターゲットとする「東北電力グループ中長期ビジョン」を新たに策定いたしました。

 はじめに、「中長期ビジョン」を策定した背景などについてご説明させていただきます。

 当社は、創立以来、「東北の繁栄なくして当社の発展なし」とする基本的な考え方のもと、電力を安定的にお届けすることを通じて、東北6県および新潟県とともに成長してまいりました。


 近年では、2017年度から2020年度を対象とする「東北電力グループ中期経営方針」のもと、各施策を展開することで、電力小売全面自由化への対応、経営の重要事項である原子力発電所の再稼働への道筋をつけるなど、一定の成果を上げることができたのではないかと考えております。


 一方、電力小売全面自由化に伴う競争の激化、本年4月の送配電部門の分社化に加えて、再生可能エネルギーの導入拡大やデジタル化に伴う電力需給構造の変化など、東北電力グループを取り巻く事業環境は大きな転換点を迎えております。

 また、東北電力グループが事業基盤を置く、東北6県および新潟県に目を向けると、他の地域と比較して、人口減少や少子高齢化が加速しており、今後、様々な分野で社会課題が顕在化し、社会構造も大きく変化することが想定されます。


 こうした変化の激しい時代においては、従来の延長線上ではなく、東北電力グループ自らが変革を推し進め、主体的に挑戦していかなければ、先行きが非常に厳しいと考えております。


 「中長期ビジョン」は、こうした「強い危機感」のもと、東北電力グループが今後とも地域とともに成長していくための旗印として策定したものです。

 「中長期ビジョン」のポイントにつきましては、本年4月以降、本ビジョンのもと、経営のかじ取りを担うこととなります、樋口副社長からご説明させていただきます。


○樋口副社長からの説明事項
 私からは、「中長期ビジョン」のポイントにつきまして、ご説明させていただきます。


 はじめに、東北電力グループの経営理念は「地域社会との共栄」を、グループスローガンは「より、そう、ちから。」を引き続き掲げます。


 そのうえで、「中長期ビジョン」では、2020年度から2024年度を「ビジネスモデル転換期」、2025年度から2030年度を「成長加速期」と位置付け、東北電力グループが、今後とも、東北6県および新潟県を中心に電力供給を担い続けるとともに、ビジネスモデルの転換を果たし、スマート社会実現に向けた事業を通じて、社会の持続的発展と東北電力グループの成長の両立を目指してまいります。


 「中長期ビジョン」においては、2030年代のありたい姿を「東北発の新たな時代のスマート社会の実現に貢献し、社会の持続的発展とともに成長する企業グループ」といたしました。

 その実現に向け、基盤事業である「電力供給事業」において、構造改革を進めることにより、徹底的に競争力を強化し、安定的に収益を確保してまいります。

 加えて、「スマート社会実現事業」を成長事業と位置づけ、経営資源を戦略的に投入していくことで、ビジネスモデルを大きく転換させてまいります。
 この「ビジネスモデルの転換」が、今回の「中長期ビジョン」におけるキーワードになります。


 続いて、「スマート社会実現事業」についてご説明いたします。
地域における人口減少や少子高齢化により、交通、教育、福祉等様々な分野で顕在化する社会課題を、次世代のデジタル技術やイノベーションの活用等により解決し、地域に住む方々が快適・安全・安心に暮らすことができる社会をスマート社会と定義いたします。
 東北電力グループは、その実現に向け、これまで電気事業で培った東北電力グループの強み、具体的には「電力のプロフェッショナルであること」、「東北6県と新潟県を中心とした地域の皆さまとの絆を有していること」、この2点の強みを最大限活かすとともに、デジタルイノベーションの積極的な推進と、幅広いパートナーとの連携・協働により、お客さまの新たな価値を創造してまいります。


 現時点において想定している「スマート社会実現事業」の具体的なサービスについて紹介いたします。
 公共インフラの保守・点検業務へのドローンの活用、電化による生産性向上を目指すスマート農業、電気自動車のカーシェアリングなどのモビリティサービス、家電製品の自動制御などを含む見守りサービス、これら複数のサービスをトータルで提供するタウンマネジメントなどのサービスが挙げられます。


 また、地域に分散して存在しているエネルギーリソースをVPPにより、集約・活用する地域のエネルギーの有効活用、IoTを活用し、太陽光発電や蓄電池といった分散型電源も組み合わせて、エネルギーを最適制御するスマートハウス、スマートビルといった暮らし・ビジネス関連のサービス充実なども想定しております。
 今後、さらなる時代の変化に応じて、お客さまや社会の課題解決に資するサービスを、スピード感を持って創造・提供してまいりたいと考えており、東北電力グループが思い描くスマート社会の実現に向けて、思いを共有できる多様な方々と積極的に連携しながら、取り組みを進めてまいりたいと考えております。


 次に、「電力供給事業」についてご説明いたします。
 基盤事業である「電力供給事業」については、電力取引の市場化や送配電部門の分社化等の環境変化の中でも、安定的に収益を確保し続けるために、「発電・卸売」と「送配電」が、各々の事業効率を最大限に高め、安全確保を大前提に、安定供給、経済性、環境性の同時達成を図りながら、お届けする電気の価値の最大化を目指し、スマート社会の実現にも貢献してまいります。


 「発電・卸売」では、経済性・環境性に優れた電力供給を追求するとともに、「送配電」では、今後も東北6県および新潟県への電力の安定供給の使命を果たし続けてまいります。
 
 一方、「電力小売」については、先ほど申し上げた東北電力グループの強みを最大限活かしながら、電力の小売に加え、快適・安全・安心に資するサービスを提供し、お客さまの豊かさの最大化を目指してまいります。

 

 ここからは、「2020年度東北電力グループ中期計画」についてご説明いたします。
 東北電力グループは、「中長期ビジョン」における「2030年代のありたい姿」の実現に向けて、2020年度から2024年度までの向こう5年間を「ビジネスモデル転換期」と位置付け、「Change」、「Challenge」、「Create」の3つの力点に基づき、事業展開を進めてまいります。


 まず、力点1 「Change」の各施策について、ご紹介いたします。


 経営の重要事項である原子力発電所については、安全確保を大前提に、地域の皆さまのご理解をいただきながら、早期再稼働を目指してまいります。

 再生可能エネルギーについては、現在、風力発電を主軸として、200万kWの開発を目指し、鋭意取り組んでいるところです。現在の状況をご説明しますと、これまでにお知らせしている全11件が事業化された場合、持分出力としては約30万kW程度まで積み上がっていることになります。引き続き、目標の達成に向け、取り組みを加速してまいります。

 一方、「送配電」については、レジリエンス強化に加え、設備の高経年化対策とAI・IoTの活用等による徹底的なコスト低減の両立などに取り組んでまいります。
 こうした取り組みを通じ、電力供給事業の抜本的変革により、競争力を徹底的に強化してまいります。


 次に、力点2 「Challenge」について、ご紹介いたします。


 「スマート社会実現事業」の早期収益化に向け、エネルギーと生活に係る各種サービスをトータルパッケージで提供することにより、お客さま満足度の向上と収益力の強化を目指してまいります。

 
 また、VPPや太陽光などの分散型エネルギー・蓄電池設置サービスの早期事業化、モビリティサービスの展開、スマートシティやタウンマネジメントへの参画等の取り組みを加速してまいります。


 最後に、力点3 「Create」について、ご紹介いたします。


 環境、社会、ガバナンス、いわゆるESGを重視し、経営資源を有効活用しながら、東北電力グループ全体の企業価値創出能力を進化させてまいります。また「中長期ビジョン」の早期実現に向けて、本年7月に企画部、グループ事業推進部といったコーポレート組織を再編し、スマート社会実現事業の旗振り役として、新たに「事業創出部門」を設置いたします。


 最後に、財務目標について、ご説明いたします。

 「ビジネスモデルの転換」を成し遂げるために必要となるキャッシュ創出力の向上に向け、今回、財務目標として「連結キャッシュ利益」を設定いたしました。
 この「連結キャッシュ利益」について、2024年度に、3,200億円以上を達成することを目標といたします。長期的に持続可能なキャッシュ創出力の基盤を構築するとともに、将来的にはさらなる成長を目指してまいります。


 以上が、「東北電力グループ中長期ビジョン」のポイントとなります。


 私からの説明は以上となります。


(原田社長より)

 繰り返しとなりますが、東北電力グループは、創立以来、「東北の繁栄なくして当社の発展なし」との基本的な考え方のもと、安全を大前提に、低廉で環境に配慮した電力を安定的にお届けすることを通じて、東北6県および新潟県の発展に努めてまいりました。

 この「地域への強い思い」は、事業環境が変化する中でも、変わることはありません。
 
 時代が変化する中においても、創立以来の思いを継承しながら、「今こそ第二の創業期である」、「新たな東北電力グループに生まれ変わる」という強い決意をもち、本日ご説明いたしました「中長期ビジョン」のもと、これまでの電力供給事業だけにとどまらず、スマート社会の実現に向けた事業にも取り組み、「ビジネスモデルの転換」に果敢に挑戦することで、東北電力グループだからできる「よりそう」価値を創造し、これまで以上に、お客さまや地域のお役に立つことを目指してまいります。


 本日、私からは以上です。


以上


(注) 樋口の「樋」は、一点しんにょう



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