プレスリリース

11月定例社長記者会見概要

2019年11月28日

〇原田社長からの説明事項
 私からは、送電部門における安定供給に向けた取り組みについて、ご説明いたします。


〇女川2号機設置変更許可申請書に係る審査書案について

 本題に入ります前に、女川原子力発電所2号機の適合性審査の状況について、触れさせていただきます。

 当社は、女川原子力発電所2号機について、2013年12月27日に、新規制基準に係る「原子炉設置変更許可申請書」を原子力規制委員会に提出して以降、同委員会による審査を受けてまいりました。


 こうした中、昨日、11月27日に開催された原子力規制委員会において、女川原子力発電所2号機の「原子炉設置変更許可申請書」に関する「審査書案」が取り纏められました。

 

 当社といたしましては、これまで、全社をあげて適合性審査に、真摯かつ丁寧に対応してまいりましたが、設置変更許可に向けて、一つの大きな節目を迎えたものと受け止めております。
 今後とも、同委員会による審査に適切に対応してまいります。


 また、新規制基準への適合性に留まらず、より高いレベルでの安全確保に向けて、最新の知見も取り入れながら、安全対策工事のみならず、各種訓練等も含めたハード、ソフト両面からの対策に、着実に取り組んでまいります。


 さらに、再稼働にあたりましては、以前から繰り返し申し上げているとおり、地域の皆さまのご理解が何よりも重要と考えております。


 引き続き、実際に発電所の安全対策をご覧いただく施設見学会や各種媒体を通じた理解活動など、様々な取り組みを積み重ねることによって、 一人でも多くの方から、ご理解をいただけるよう努めてまいる所存です。


〇「送電部門における安定供給に向けた取り組み」について

 それでは、送電部門における安定供給に向けた取り組みについて、ご説明いたします。


 当社は、東北6県と新潟県という国土の約2割を占める「広範囲なエリア」と「厳しい自然条件」の中で、お客さまへ低廉で良質な電気を安定的にお届けすることを最大の使命とし、事業を展開しております。


(当社の送電設備の概要について)
 発電所でつくられた電気を「広範囲なエリア」の隅々までお届けするためには、需要地近くの変電所まで電気を送る多くの送電設備が必要になります。

 

 当社の架空送電線の長さは、14,855km、鉄塔の数は47,560基にのぼり、いずれも国内の一般送配電事業者の中では最大の設備規模となっております。


(厳しい自然条件への対応について)
東北6県と新潟県は、長い海岸線を有し、山間部が多いほか、国内屈指の豪雪地帯を持つなど「自然条件の厳しい」地域です。
 そうした自然条件の中、当社は、これまでに多くの自然災害と闘いながら、それらの災害から得られた教訓を踏まえ、次なる災害への対策に生かすというように、一歩ずつ確実に、電力の安定供給に向けた取り組みを継続してまいりました。


 一例を申し上げますと、送電線に積もった雪の重さで、送電線が垂れ下がり、別の送電線に接触することで発生する停電事故を防止するため、雪が積もりにくくするためのヒレ付電線を開発、導入いたしました。
 また、東日本大震災時に、送電線を固定するためのがいしが、地震の振動により破損したことを踏まえ、従来の磁器製品から軽量かつ衝撃に強いゴム状の製品、ポリマー製品に変更することで、災害に強い設備形成に努めております。


(災害発生時の迅速な情報収集について)
災害発生時に、停電をできるだけ早期に復旧させるため、事故現場において、スマートフォンやドローンなどで撮影した写真や動画を、当社の災害対策本部などが置かれている事業所とすぐに共有できるシステムを導入しています。
これにより、被害個所の状況等を迅速に把握でき、速やかに復旧計画を立案することができます。
 
(送電設備の保守業務について)
続いて、送電設備の保守業務についてご紹介いたします。
安定供給を果たしていくためには、それぞれの設備について、巡視や点検を通じて、設備の劣化状況を把握し、計画的に、適切な補修を実施するとともに、必要に応じて設備の更新を進めることも重要です。
 送電鉄塔の場合、作業員やヘリコプターによる定期的な巡視を通じ、さびなどの腐食や劣化のレベルに応じて、塗装や部材の取替を行うなど、計画的な補修工事を行う必要があります。


(送電設備保守業務の高度化、効率化について)
当社は、広いエリアに点在する送電設備を、確実かつ効率的に保守・管理するために、これまでも新たな技術を積極的に導入してまいりました。
 古くは、1953年(昭和28年)に、電力会社で初めて送電線の巡視にヘリコプターを導入したほか、先日ご紹介した通り、ドローンを活用した点検業務の導入に向け取り組んでいるところです。

 

 なお、先日の台風19号の際にも、人や車両が立ち入り困難な場所の被害状況の把握に、ドローンが大いに役立ちました。さらに、近年では、IoTやAIといったデジタル技術を活用し、保守業務の高度化・効率化にも取り組んでいるところです。


(腐食劣化診断システムの概要)
 こうした取り組みの一環として、本日より、AIを活用した送電鉄塔の「腐食劣化度診断システム」の運用を開始いたしましたので、ご紹介いたします。

 

 この「腐食劣化度診断システム」は、AIを活用し、撮影した画像情報から、送電鉄塔の腐食劣化度を判定するシステムであり、株式会社SRA(エスアールエー)東北さまと共同で開発したもので、電力業界としては初めての運用開始となります。


 これまで、送電鉄塔の腐食・劣化の度合いの判定については、作業員による目視点検などで行っておりましたが、その結果に個人差が生じやすいという課題がありました。
 また、送電鉄塔の腐食箇所やその程度については、鉄塔1基ごとに管理しておりました。


 このため、塗装や部材の取替などの補修工事を計画する際には、送電鉄塔ごとの補修の優先順位を付けるため、鉄塔1基ごとに、それぞれの状況を確認しなければならず、多くの時間と労力を要しておりました。

 本システムでは、スマートフォンやドローンなどで撮影した画像を 基に、AIが送電鉄塔の腐食や劣化の度合いを瞬時に判定することができます。これにより、判定に係る個人差を解消することが可能となります。

 

 加えて、画像の撮影時に、GPSにより位置情報を自動的に取得する仕組みとなっています。取得した当該鉄塔の位置や、線路名などの情報について、判定結果とともにデータベースへ送信することで、各鉄塔の腐食・劣化の度合いを一元的に管理することが可能となります。


 これにより、送電線路全体の鉄塔の腐食傾向を確認することが容易となり、これまでの鉄塔1基ごとの管理と比べ、腐食状況を的確に反映させた合理的な補修工事計画を短時間で策定できるようになります。
 
 具体的には、これまで、社員5人がそれぞれ約5時間、計約25時間かかっていた作業を、本システムの導入により、社員2人がそれぞれ約2時間、計約4時間で実施することが可能となります。


 本日より運用を開始した本システムが、送電鉄塔の保守業務に係る 品質向上と効率化に大きく貢献するものと期待しているところです。


 当社といたしましては、今後とも、地域特性や気象条件に適合した設備形成をはじめ、災害等も踏まえた設備の改修、日々の巡視・点検などを確実に実施していくとともに、様々な技術や知見の活用を進め、保守・メンテナンスコストの低減を図るなど、電力の安定供給と効率化の両立に向け、引き続きしっかりと取り組んでまいります。


 本日、私からは以上です。


以上


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