プレスリリース

3月定例社長記者会見概要

平成30年 3月29日

〇原田社長からの説明事項
 本日もお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。
 本日、私からは、「新たな情報技術を活用したバーチャルパワープラント実証プロジェクトの開始」について、ご説明いたします。

 

○バーチャルパワープラント実証プロジェクトの開始について
 当社は、IoTやAIなどの新たな情報技術の進展による、事業環境の変化に先見的に対応するとともに、お客さまサービスの更なる向上や、将来の事業領域の拡大につながる新たなビジネスモデルの構築に向けて、積極的に取り組んでいくことなどを目的に、「バーチャルパワープラント実証プロジェクト」を開始することといたしました。
 
 はじめに、バーチャルパワープラントの概要について、ご説明いたします。
 バーチャルパワープラントとは、略して「VPP」と呼ばれておりますが、お客さまが保有している発電設備や蓄電池、電気自動車など、エネルギーを生み出したり、蓄えたりする設備を、IoTなどの新たな情報技術を用いて遠隔制御し、生み出されたエネルギーを集約することで、あたかも一つの発電所のように機能させることです。

 

 当社が今回のプロジェクトに際して重視しましたことは、当社における将来の事業領域の拡大につなげるだけでなく、地域・法人・ご家庭のお客さまにもメリットが得られる取り組みとすることであります。
 地域やお客さまがお持ちの設備の中には、例えば、特定の季節や時間帯などに限定して稼働している設備や、設置後の状況変化などにより、遊休化している設備があるものと認識しております。
 こうした設備を当社がVPPのエネルギーリソースとして集約し、有効活用させていただくことで、当社のみならず、地域・法人・お客さまが相互にメリットを得られる、Win−Winの取り組みとなるのではないかと考えたものです。

 

 具体的に、当社のメリットを挙げますと、発電所や電力系統への新たな設備投資の抑制を図りながら、VPPで集約したエネルギーを、電力需給バランスの調整機能に活用できることなどが挙げられます。
 一方、地域やお客さまにとりましては、多様な設備や機器を、エネルギーリソースとして当社にご提供いただくことで、設備の有効活用が図られることに加えて、対価を獲得することができるようになります。
 また、これらの設備や機器について、VPPを活用した遠隔制御により、さらに効率的な運転が可能となり、お客さまの省エネルギーや省コスト化が図られるものと考えております。

 

 こうしたWin−Winの関係を構築していくための具体的な実証の内容といたしまして、はじめに、「地域」を対象とした取り組みからご説明いたします。

 

 1点目は、公共施設などに設置されている、太陽光や蓄電池を有効活用する取り組みであります。
 ご承知のとおり、東日本大震災以降、東北6県と新潟県の多くの自治体では、地域防災の観点から、非常用の電源として、公共施設などに太陽光や蓄電池を設置しております。
 一方、これらの設備は、設置後もメンテナンスを行っていく必要があるため、継続して維持管理費用が発生いたします。

 

 こうした点に着目し、当社では、自治体が保有する複数の太陽光や蓄電池を、VPPのエネルギーリソースとして需給バランスの調整機能に活用いたしますが、ご協力いただいた自治体に対して、当社からその対価をお支払いするようなサービスをご提供出来れば、設備の維持管理費用の一部に充当することが可能となります。
 このような取り組みを通じて、ひいては、地域の防災力強化にもつなげていくことができればと考えております。
 
 2点目は、将来的に普及拡大が見込まれる、電気自動車の蓄電池を有効活用する取り組みであります。
 現在、海外を中心として、電気自動車の蓄電池を電力系統に接続し、蓄電池の充電や放電を行う「V2G(ブイツージー)」と呼ばれる技術の有効性に関する検証や、V2Gを活用したサービスの開発が行われております。
 当社といたしましても、こうした先進的な技術を、需給バランスの調整機能として活用できるのかなどについて、検証することとしております。

 

 次に、「法人」それから「ご家庭」のお客さまを対象とした取り組みについて、ご説明いたします。

 ここでは、お客さまが所有している太陽光などの発電設備や蓄電池、ヒートポンプや空調などの機器を活用します。  
 具体的には、法人のお客さまであれば、工場の生産計画や事業活動に影響のない範囲で、あるいはご家庭のお客さまであれば、日常の生活リズムに支障のない範囲で、電力の需給状況に合わせて、様々な設備や機器の運転を、遠隔制御いたします。

 

 その上で、コントロールしたエネルギーを、電力需給バランスの調整機能として活用するとともに、こうした取り組みにご協力いただいたお客さまに、当社から対価をお支払いするサービスや、省エネ・省コストを実現するサービスの開発に向けて、検証を進めてまいります。

 

 最後に、本実証プロジェクトのスケジュールについて、ご説明いたします。
 実証期間は、2018年度から2020年度までの3年間を予定しております。
 まずは、本年3月に社内に設置した「VPP実証タスクフォース」を中心として、2018年度の上期までに、お客さまの設備を遠隔で制御したり、エネルギーの集約などを行うシステムを構築するとともに、実証にご協力いただけるお客さまを募集することとしております。

 その後、専門的な知見やノウハウなどをお持ちのビジネスパートナーの皆さまと連携を図りながら、具体的な検証を進めてまいります。
その上で、実証で得られた成果を踏まえ、順次、お客さまへ新たなサービスをご提供していくことが出来ればと考えております。

 

 プロジェクトの概要につきましては、以上となります。
 本格的に実証に取り組むのは、これからとなりますが、当社といたしましては、今回のような新たな情報技術を活用した取り組みを通じまして、地域やお客さまのご期待に、引き続き、しっかりとお応えしてまいりたいと考えております。

 

〇女川原子力発電所の安全対策工事完了目標時期について
 最後に、私から、女川原子力発電所の状況について、触れさせていただきたいと思います。

 

 女川2号機の新規制基準適合性審査につきましては、先週の3月20日に開催された審査会合において、これまでの審査の進捗状況を踏まえ、当社として一通りの説明を終える時期を、平成30年5月末から7月末に見直すことについて、ご説明したところです。
 また、これまでも申し上げてきましたとおり、審査と並行して取り組んでいる安全対策工事につきましては、審査の過程で得られた知見・評価などを、適宜反映しながら、設計や工事を進めていく必要があります。

 

 こうした状況を踏まえますと、これまで、「平成30年度後半」としてきました、安全対策工事の完了目標時期につきましては、さらに一定の期間を要すると考えており、現在、新たな工事完了時期について、検討を行っているところであります。

 

 具体的な時期につきましては、決まり次第、改めて、皆さまにお知らせさせていただきます。
 当社といたしましては、安全の確保と地域の皆さまからのご理解を前提に、早期の再稼働を目指して、引き続き、適合性審査への対応や安全対策工事に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

以上

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