プレスリリース

9月定例社長記者会見概要

平成29年 9月27日

〇原田社長からの説明事項
 本日もお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。
 本日、私からは、「火力発電所における更なる運用効率向上に向けた取り組み」について、ご説明いたします。

 

〇「火力発電所の更なる運用効率向上に向けた取り組み」について
 当社は、火力発電所における更なる運用効率の向上を図ることを目的に、株式会社東芝と共同で、ビッグデータ分析やIoTなどの最先端デジタル技術の導入に向けた検証を行うことといたしました。

 

 当社を取り巻く環境は、昨年4月からの電力小売全面自由化に伴う競争の激化に加え、2020年4月には、送配電部門の法的分離が予定されているなど、大きく変化しております。
 こうした激変する事業環境の中にありましても、当社の変わらぬ使命は、フランチャイズであります東北6県と新潟県の皆さまに、低廉かつ安定的に電気をお届けすることであります。
 また、この使命を果たしながら、厳しい競争に打ち勝つため、コスト競争力を徹底的に高めていくことは、当社の重要な経営課題の一つと考えております。

 

 ご承知のとおり、東日本大震災以降、当社では、原子力発電の停止分を補うため、火力の高稼働が続いており、現在、供給力の8割程度を、火力発電に頼っている状況にあります。
 こうした中でも、トラブルの未然防止により安定運転を維持するため、日頃から、運転状況を的確に監視することに加えて、きめ細かな機器の点検・メンテナンス、パトロールに取り組んでおります。
 火力発電所の運転状況をモニター上で監視し、運転データの変化を確認したり、震災後の新たな取り組みとして、サーモビジョンを活用し、機器の温度の変化を確認するなど、異常兆候の早期発見に努めているところです。

 

 また、熱効率の向上によるコスト競争力の強化に向けて、高効率ガス火力発電所などの導入を進めております。
 昨年7月に全量での営業運転を開始した新仙台火力3号系列には、最新鋭のガスタービンを導入し、熱効率は世界最高水準の60パーセント以上を達成しております。
 昨年度は、平成27年度と比較して100億円程度燃料費が削減されるなど、コスト競争力の強化につながるとともに、二酸化炭素排出量の削減といった面でも大きく貢献しているところです。
 
 しかしながら、こうした取り組みを進めていく中でも、依然として、予期せぬトラブルにより運転停止を余儀なくされるケースが発生しており、安定供給をより強固なものにしていくことが課題となっております。
 また、熱効率を更に向上させていくためには、最新設備の導入といったハード面での取り組みのみならず、設備の運用・管理といった面での取り組みも、一層強化する必要があります。

 

 これらの課題解決にあたりましては、従来の取り組みにとどまらない、新たな手法や発想が必要不可欠であると考え、今回、ビッグデータ分析やIoTなど、最先端デジタル技術の火力発電所への導入に向けて、検証することとしたものです。

 

 当社は現在、すべての火力発電所に、東芝さんのシステムを導入しており、このシステムを活用し、発電所の運転データの収集・管理・蓄積などを行っております。
 今回の検証では、既存のシステムにIoTなどの最先端デジタル技術を導入することで、システムの高度化を図ることとしております。

 

 通常、新たにシステムを構築したり、機能を追加する場合は、既存のシステムとの互換性・親和性が問題になるケースがあります。また、システムの精度を確保するため、検証に十分な量のデータが必要になります。
 こうした観点を踏まえますと、今回、東芝さんと共同で取り組むことで、既存のシステム基盤や、これまで蓄積してきた大量の運転データを有効活用することが可能となり、システム構築に要するコストを抑制するとともに、より早期に検証を進めることができるのではないかと考えております。

 

 今回の検証は、大きく分けて2つの項目を予定しております。
 1つ目は、「設備の異常兆候を早期に検知する手法」の検証であります。
 この検証では、ビッグデータ分析技術を活用し、能代火力2号機と仙台火力4号機で過去に発生したトラブルについて、機器の温度や圧力など、複数の運転データを組み合わせて分析することで、設備の異常に至るまでのデータの変化や傾向、特徴などを、従来よりも詳細かつ正確に把握することとしております。
 これによりまして、今後、従来の監視などでは気付くことのできなかった設備異常の予兆についても、早期に検知する具体的な手法を検証いたします。

 

 2つ目は、「運転条件の変更による熱効率向上効果」の検証であります。
 この検証では、IoT技術を活用し、八戸火力5号機を対象といたしまして、設計上の熱効率データと、実運用上の熱効率データを詳細に比較いたします。その上で、データに乖離が生じている時点の機器の温度や圧力などを抽出分析し、熱効率が低下する要因を特定することとしております。
 特定した要因を踏まえまして、燃料や空気、水の投入量などの運転条件を変更することで、熱効率の向上につなげることができるかを、検証いたします。

 

 今ほどご説明しました2つの検証につきましては、今年度中に実施することとしており、準備出来次第、10月頃から具体的な検証作業に着手することとしております。
 この結果を踏まえまして、平成30年度には、既存のシステムに、設備異常の予兆検知や熱効率の管理を行う機能を追加し、システムの高度化を図ることとしております。 

 また、当社火力発電所における実証試験で、システムの有効性を確認することとしております。
 その上で、平成31年度中には、当社のすべての火力発電所へのシステムの適用を目指してまいります。
 以上が、今回の検証の概要であります。

 

 最後になりますが、今回の検証にあたりましては、両社で協力し、効率的に進めるとともに、着実に成果をあげてまいりたいと考えております。
 また、こうした取り組みを通じまして、火力発電所の更なる運用効率の向上を果たし、安定的な電力供給の確保や経済性の向上、ひいては低炭素社会の実現にも結びつけることが出来ればと、大きく期待しているところです。

 

 本日、私からは以上です。

以上

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