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5月定例社長記者会見概要平成29年 5月25日 〇原田社長からの説明事項
○ヒートポンプを活用したトマトのハウス栽培に関する研究成果について
本日は、この概要につきまして、ご説明させていただきます。
当社はこれまで、主に冬場のハウス内の暖房用として、ヒートポンプの導入をご提案してまいりましたが、そうした中で、お客さまより、トマトは夏場の栽培が難しいという課題があるとのお話を伺っておりました。
この課題の具体的な内容といたしましては、ハウスが高温になりますと、トマトは根が張りにくくなるなど生育が難しくなり、また、湿度が高くなると、結露などで病害の発生を招きやすくなることが挙げられます。 このため、現状では、ハウスが高温、多湿になる期間を避けて、8月中旬以降に苗の植え付けと栽培を行い、11月頃から収穫、出荷を開始することが一般的となっております。 その結果、例年、流通量が減少する9月から11月にかけて、販売単価が高まる傾向にございます。
こうした状況を踏まえまして、お客さまからは、夏場に苗の植え付けと栽培を行い、販売単価の高まる時期に出荷することで、収益力を向上できないか、とのご要望をいただいておりました。
こうしたことから、当社では、お客さまからのご要望にお応えするため、夏場にトマトの植え付けと栽培を行うにあたり、ヒートポンプが活用できないか、検証を行うこととしたものです。
次に、具体的な研究内容について、ご説明いたします。 今回の研究では、夏の暑さなどへの対策といたしまして、ヒートポンプが備えている「冷房と除湿」の機能に着目いたしました。 トマトの栽培において、「冷房と除湿」の機能が、夏場の生育に有効であることは確認されておりました。 しかしながら、実際のハウス栽培において、夏にヒートポンプを活用した場合に、収益性が確保できるかが、課題となっておりました。
そこで、実際の生産現場におきまして、既に導入されているヒートポンプ空調を有効活用し、夏場に冷房と除湿機能を使用することで、生産性に加え、収益性の向上も実現できるのか、といった観点から検証を行ったものであります。
トマトは比較的夜間に生育が進むという特徴があります。また、東北では、夏の夜間の気温は、関東以西の地域に比べて下がりやすいという特徴があります。 こうした特徴点を踏まえまして、実際の生産施設で検証を行う前に、仙台市内にあります当社の研究開発センター内に、栽培用のハウスを建設した上で、夜間の冷房と除湿によるトマトの生育への影響や、ヒートポンプを活用しつつも、生産性と収益性を両立させるために最適な温度、湿度の条件を検証いたしました。
研究開発センターでの検証では、夜間の冷房と除湿により、ハウス内の温度と湿度を制御したところ、夏場にトマトが順調に生育し、また、最適な温度や湿度環境の条件といったノウハウを確認することができました。
当社では、こうした研究開発センターで獲得したデータやノウハウを用いまして、お客さまからのご協力をいただき、実際の生産施設でも適用できるのかを検証いたしました。 具体的には、お客さまの生産施設では、従来は暑さが厳しく植え付けを行っていなかった7月上旬に苗を植え付けし、冷房と除湿機能を活用して栽培することによる、収穫量への効果について、検証を行いました。
お客さまのご協力を得て、夜間の冷房と除湿運転を行った施設と、行わなかった施設とで、出荷のターゲットとしていた9月から11月の収穫量の違いを検証いたしました。 この結果、ヒートポンプを使用した施設では、使用せずに栽培した施設に比べ、収穫量が約40パーセント向上したことに加え、収穫したトマトの大きさや形、色付きなどの品質が向上したことも確認いたしました。
研究の概要は以上となりますが、当社といたしましては、今回、実際のお客さまの生産現場で、電気を熱源とするヒートポンプの活用により、生産性のみならず、収益性の向上も確認できましたことは、実用性の高い貴重な成果を得られたと考えております。 当社はこれまで、農業分野では、ヒートポンプを主に暖房用としておすすめしてまいりましたが、夏場の活用が実証できた今回の研究成果を活用し、ヒートポンプの提案活動をさらに充実させてまいりたいと考えております。 また、こうした取り組みを通じまして、東北地方の農業のさらなる活性化、あるいは地域の復興に、いささかなりともお役に立つことができればと、期待しているところです。
本日、私からは以上です。
以上
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