プレスリリース

6月定例社長記者会見概要

平成27年 6月25日

○海輪会長からの挨拶

 本日もお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。

 本日の株主総会終了後に開催した取締役会をもって、私が会長に、そして原田宏哉氏が社長に、それぞれ就任しました。私が、このような形で皆さまとお会いするのは本日が最後となりますので、社長会見に先立ち、一言ご挨拶させていただきます。

 

 まずもって、記者会の皆さまには、これまで様々な場面でお世話になり、ありがとうございました。

 私の社長としての在任期間は5年間でありましたが、就任9ヵ月後に発生した東日本大震災や、同じ年の夏に発生した新潟・福島豪雨水害等の自然災害への対応、そしてその後の経営基盤の回復に奔走した日々でありました。

 震災から4年が経過した現在、傷ついた経営基盤の回復は道半ばではありますが、一定程度の道筋は付けられたのではないかと考えております。これもひとえに地域の皆さまや、取引先の皆さまのご理解・ご協力、企業グループを含めた社員の真摯な取り組みなど、あらゆる方々のおかげによるものと感謝しております。この場をお借りして改めて御礼申し上げたいと思います。

 私は、社長に就任した際、経営展開におけるキーワードとして、「両立」と「チャレンジ」の二つを挙げました。これは、当社の経営課題が多岐にわたる中で、事業運営にあたっては、択一的にどちらかを選ぶということではなく、「どちらも実現する」、すなわち「両立」させていくということが必要ということ、また、電気事業を取り巻く環境が様々に変化していく中でも、目先の変化に臆することなく、自信と誇りを持ってチャレンジする姿勢を貫くことが大事であるとの思いから挙げたものです。

 来年4月から電力の小売全面自由化など、本格的な競争時代を迎えることになりますが、今まさに我々に求められているのが、この「両立」と「チャレンジ」ということではないかと改めて考えております。

 今後は原田社長をトップとする新たな体制となりますが、経営基盤回復への足取りをより力強いものにしていくとともに、様々な経営課題を「両立」させ、さらなる発展に向けて果敢に「チャレンジ」していただきたいと期待しております。私も会長の立場で、引き続き、新体制をサポートしてまいりたいと考えております。

 

 最後になりますが、この5年間、定例会見のほか臨時会見や個別インタビューなどで、皆さまとの対話の機会を数多く持たせていただきました。

 特に大震災後は、様々な状況変化やトピックスが次々と発生し、いつも緊張感をもって皆さまと議論をさせていただいた思いがございます。

 その中で、今も印象に残っていることを挙げますと、やはり震災直後の計画停電を準備した際の臨時会見でございます。日本中が大混乱の中、被災地を抱える当社が計画停電を準備するということの重みを感じつつ、会見に臨みましたが、当時の緊迫した情景は未だにありありと記憶に残っております。

 さらに、節電のお願いや電気料金値上げの会見などは大変厳しいものとなりましたが、私としては、その都度、当社の姿勢を誠実にお伝えしようと努力したつもりでございます。

 また、皆さまからするとご不満もあったのではないかと思いますが、私としては、皆さまから「社会の見る目」というものを教えられた気がいたします。そして、皆さまからのご指摘を社内に伝え、私どもの行動を改善していくという動機付けにもなりました。

 そういう意味で、私は、このような記者会見というものは「社会との対話の場」の一つであり、重要な場であると感じております。事業者が説明責任を果たし、両者が理解を深めて正確な情報を世の中に発信する意義があるものと考えております。

 本日から原田新社長に引き継ぎますが、記者会の皆さまには、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 

 5年の間、本当にありがとうございました。

 

 

○原田社長からの説明事項

 原田でございます。本日、正式に社長に就任いたしました。先ほど、海輪会長からコミュニケーションの重要性についてお話がありましたが、私も同じ思いで記者会見に臨ませていただきます。改めまして、記者会の皆さまにおかれましては、よろしくお願いいたします。

 さて、本日、私からは、「第91回定時株主総会の開催結果」について、それから、社長就任にあたり、「今後の経営にあたっての抱負」をお話させていただきます。

 

 

○第91回定時株主総会の開催結果について

 始めに、本日10時より開催いたしました「第91回定時株主総会の開催結果」につきましてご説明いたします。

 今回の株主総会では、会社提案として、第1号議案「剰余金の処分」をはじめとする4つの議案をお諮りいたしまして、株主の皆さまからそれぞれ原案のとおりご承認をいただきました。

 一方、一部の株主さまからは、いずれも定款の一部変更に関する議案として、原子力からの全面撤退など4つの提案がございました。内容は、株主総会の招集通知に記載のとおりでありますので、詳細は割愛させていただきますが、当社といたしましては、株主さまからのご提案に対しまして、それぞれ反対意見を付してお諮りした結果、大多数の株主の皆さまから、当社意見をご支持いただき、株主提案の4議案につきましては否決されております。

 以上が今次株主総会で付議された議案の採択結果であります。

 今次株主総会では、付議された議案以外にも、株主の皆さまから多くのご発言をいただきました。頂戴した貴重なご意見につきましては、当社の事業運営に活かしながら、今後も経営課題に的確に対応してまいりたいと考えております。

 

 

○今後の経営にあたっての抱負について

 それでは、社長就任にあたり、「今後の経営にあたっての抱負」を述べさせていただきます。

 

 先ほど、海輪会長のお話にもありましたように、東日本大震災後、大きく傷ついた当社の経営基盤は、最大限の経営効率化努力等により、回復への道を歩みつつあります。こうした回復への歩みをより力強いものとし、そして今後の競争に打ち勝ちながら、事業を持続的に発展・維持させていくための体制を築いていくことが、私の責務と考えております。

 また、当社は、創立以来、「東北の繁栄なくして当社の発展なし」という基本的な考えのもと、地域に密着した経営を進めてまいりました。東北6県と新潟県のお客さまに、低廉で安定した電気を、24時間365日、いついかなるときでもお届けするという使命感、責任の遂行を通じて、「地域社会との共栄」という価値観を先輩方から代々受け継いでまいりました。

 東北6県と新潟県で事業をさせていただいている電力会社として、復興道半ばにある被災地にしっかりと寄り添い、地域の成長、発展への貢献に十分に意を用いていくことが、今後の事業展開を考えていくうえでの大前提であると考えております。そのような意味で、これからの数年間は、「地域とともに復興を果たし成長に向かう時代」と位置づけたいと考えております。

 

(経営の方向性)

 こうした基本的な考えのもと、今後の経営の方向性についてお話させていただきます。

 「今後の経営の方向性」でありますが、こちらにつきましては、昨年1月に公表した「東北電力グループ中期経営方針(平成26〜30年度)」でお示ししております、「競争に打ち勝ち、お客さまから選ばれる」、「企業変革に挑戦する」、「地域の復興・発展に貢献する」という3つの主要施策を中心として進めてまいりたいと考えております。

 その際、「大切な視点」として、「変えていくべきもの」と「変わらずに守るべきもの」をしっかりと見極め対応していくことが大事であると考えております。

 

(変えていくべきもの)

 まず、「変えていくべきもの」でありますが、これは、より強化していかなければならないものという意味も含めており申し上げております。事業環境が大きく変わっていく変革期にあっては、今までの価値観にとらわれず、大胆な発想で仕事のやり方を変えていく必要があると考えております。

 特に、来年4月に予定される家庭用も含む電力市場における小売全面自由化によって、競争が一層進展してまいります。こうした中で、当社を引き続きお選びいただけるよう、マーケティング力を強化し、料金水準やメニュー、サービスなどについては、真にお客さまがお求めになるものとなるよう、新たな発想で検討を深め、磨きをかけてまいります。また、他社とのアライアンス等についても、様々な業種の方々と幅広に意見交換をしているところでありますが、お客さまや当社、提携先それぞれにメリットがもたらされるようなものになるかを見極めながら、検討を進めてまいります。

 次に、原子力についてであります。当社は、今後も、原子力の再稼働に向けて、安全を最優先に、新規制基準適合性審査への対応や安全対策工事を着実に実施するとともに、規制要求を満足するにとどまらず、最新の知見を取り入れながら、より高いレベルの安全確保に向けて取り組んでいく姿勢に変わりはありません。

 一方、地域の方々とのコミュニケーション活動につきましては、これまでも様々な形で取り組んでまいりましたが、今後は東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、地域の方々の多様な声にしっかりと耳を傾けながら、双方向のコミュニケーションに、より一層努めていく必要があると考えております。また、こうした取り組みを通じていただいたご意見等を当社の安全性向上への取り組みにつなげていくなど、より実効性のあるコミュニケーション活動に取り組んでまいりたいと考えております。

 このように、向き合う課題は引き続き同じであっても、従来の延長で向き合うのではなく、「本質は何か」、「何が最も望ましいのか」、知恵を絞り、変えるべきものは大胆に変えていきたいと考えております。

 

(変わらずに守るべきもの)

 一方で、当社の様々な経営課題は、お客さまや地域の皆さまのご理解なくしては前に進めることができません。

 電力の安定供給を確実に達成していくという「安定供給に対する使命感」や、真摯で丁寧な仕事を日々コツコツと積み重ねることによって初めていただくことができる「お客さま・地域からの信頼」、さらには「地域社会との共栄」といった考え方は、当社事業推進の根幹であり、「変わらずに守るべきもの」として、経営から第一線の社員まで、改めて再認識してまいりたいと考えております。

 先ほどの海輪会長のお話にもありましたように、この「変えていくべきもの」と「変わらずに守るべきもの」の二つを両立させて、自信と誇りを持ってチャレンジする姿勢を全社にわたって貫いてまいりたいと考えております。

 

(経営展開の基本軸)

 最後になりますが、今後の経営展開の基本軸として、私は「真心」というキーワードを挙げたいと考えております。

 自由化の時代だからこそ、目の前にいらっしゃる地域の方々、一人ひとりのお客さまに対して、常に何が最善かを考え、誠心誠意の仕事を全うすること、すなわち「真心を込めた仕事」をしていくことが大切ではないかと考えております。

 これは電気事業に限らず、事業を営む企業としての基本ですが、地域の皆さま、お客さまお一人おひとりを大切にして、地域に貢献していくという当社の経営理念に由来する基本中の基本となる考え方であります。

 こうした「真心」を全社員が共有して、地域の暮らしや経済の営みを見つめながら、お客さまから選択され、地域とともに成長する東北電力企業グループを目指して、地域社会と一体となった経営展開を企業グループ全体で推進してまいりたいと考えております。

 記者会の皆さまには、今後ともご支援、ご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

 

 本日、私からは以上です。

 

 

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