プレスリリース

3月定例社長記者会見概要

平成26年 3月27日

○海輪社長からの説明事項
 本日もお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。
 本日、私からは、「平成26年度供給計画」と「火力電源入札募集の実施」について、それから、「東京電力福島第一原子力発電所事故に起因する損害賠償請求」、「今冬の電力需給実績」についてご説明いたします。

 

○平成26年度供給計画の届出について
 それでは、始めに平成26年度の供給計画の概要についてご説明いたします。
 供給計画は、電気事業法に基づき、今後10年間の電力需要を想定し、安定供給を確保するための供給力、設備計画について、毎年、年度末までに経済産業大臣に届出するものであります。
 まず、電力需要につきましては、今回計画の最終年度である平成35年度断面での販売電力量を854億kWh、最大電力を1,422万kWと想定いたしました。
 今回計画を、昨年届け出た計画の平成34年度断面と比較いたしますと、足元の需要の動向、今後の経済や東北地域の人口の見通し、東日本大震災からの復旧・復興需要の動きなどを勘案し、販売電力量は12億kWh程度、最大電力は29万kW程度それぞれ下方修正しております。
 また、平成24年度から35年度の年平均伸び率を見ますと、販売電力量で0.9%、最大電力で0.7%の増加を見込んでおり、一見すると順調な伸びを示しているように見えるかもしれません。しかしながら、これは、起点となっている平成24年度の電力需要が震災影響で落ち込んだ影響によるものであり、震災前の平成22年度から35年度で算定いたしますと、販売電力量の年平均増加率は0.3%と、低調に推移するものとみております。
 一方、こうした電力需要に対応する向こう10年間の供給力につきましては、これまで同様、「未定」としております。当社原子力発電所である東通は平成27年7月、女川は平成28年4月以降の再稼働を目指して取り組んでいるところではありますが、その取り組みの途上にある中で、供給力として計画に織り込むことは難しく、原子力を含む長期的な供給力をお示しできる状況にないという理由によるものです。

 

 続きまして、「電源開発計画」は、前回計画との主な変更箇所などを中心にご説明いたします。
 火力について申し上げます。前回からの変更点として、新規計画を1件、変更計画を3件計上しております。
 まず、新たに計上したものといたしましては、新潟県の粟島にある粟島火力発電所のリプレース計画を予定しております。具体的には、粟島7〜10号機(合計900kW)を新たに設置し、現在運転中の2〜6号機を廃止するものとなります。粟島2号機は、運転開始以降40年が経過していることもあり、機器の経年化や保守部品の生産中止によって、今後の設備維持が困難となることが予想されることから、今後、平成31年度にかけて順次設備更新を実施してまいります。
 続きまして、計画を変更いたしました、新仙台3号系列、能代3号、上越1号についてご説明いたします。
 高効率ガスコンバインドサイクル発電所である新仙台3号系列につきましては、これまで、工期の短縮に鋭意取り組んできた結果、今回、運転開始時期を3−1号は平成28年7月から7ヵ月前倒しし平成27年12月に、3−2号は平成29年7月から1年前倒しし平成28年7月とすることといたしました。早期に運転を開始できることにより、供給力確保、コスト競争力の強化に大きく寄与するものと期待しております。
 なお、新仙台1号の廃止時期につきましては、既存設備の一部を3号系列に流用する計画であることから、工程の前倒しに伴いまして、平成27年度末から平成27年9月に変更しております。
 次に、能代3号、上越1号の計画変更の理由について申し上げます。
 現在、当社には、運転開始から40年程度の火力が6基、出力としては合計190万kWあります。
 東日本大震災以降、緊急電源の設置や休止火力の運転再開などにより供給力を確保しておりますが、定検時期の繰り延べや調整により、適切な時期に設備の点検ができないなど、設備の高稼働が続いており、自社火力設備の経年化が進んでいる状況にあります。そのため、設備信頼度や経済性等の観点から、計画的に経年火力に代わる電源の開発を進めていく必要があると考えております。また、電力システム改革の議論が進展し、平成28年4月を目途に小売全面自由化が実施される見通しとなったこと等も踏まえますと、より一層のコスト競争力の強化が必要となります。
 これらを踏まえ、自社で計画している能代、上越地点を有効に活用して、経済性のある火力電源を新増設するとともに、計画的に経年火力の代替を進めることとしたものです。
 具体的に申し上げますと、能代3号は増設地点のため、着工・運転開始ともに平成40年度以降としていた計画を大幅に前倒しし、平成28年度着工、平成32年度の運転開始といたしました。
 また、上越1号につきましては、これまで、「上越1号系列・出力144万kW」で計上しておりましたが、開発時期、経済性、開発可能性、必要規模などを総合的に勘案した結果、今回、最適と考えられる出力に見直し、60万kW級として開発を進めることといたしました。
 なお、能代3号、上越1号につきましては、「平成26年度火力電源入札対象電源」と記載しておりますが、こちらにつきましては、この後あらためてご説明させていただきます。

 

 次に、原子力について申し上げます。東通2号については、将来の供給力確保として計画しているものでありますが、まずは既設原子力発電所の再稼働に向け全力で取り組んでいる状況であり、現時点で新規原子力である東通2号の具体的な見通しを申し上げられる状況にないことから、着工、運転開始時期ともに「未定」としております。

 

 送変電計画につきましては、新たに南山形幹線、東花巻支線、東花巻変電所の新設工事を計上しておりますが、いずれも安定供給の確保の観点から計画したものです。

 

 以上が、本日届出いたしました、平成26年度供給計画の概要であります。当社といたしましては、供給計画に基づき、適切な設備形成を行っていくことで、今後とも、東北地域への電力の安定供給の責務を果たしてまいりたいと考えております。

 

○平成26年度供給計画に係る火力電源の入札募集の実施について
 続きまして、平成26年度供給計画に係る火力電源の入札募集の実施についてご説明する前に、まず、火力入札制度の概要からご説明いたします。
 入札制度が導入された背景につきまして、ご説明いたします。
 東日本大震災以降、発電設備の被災や原子力発電所の停止を受けて、電力需給のひっ迫や燃料費の増加といった状況が発生いたしました。それらを踏まえ、電力会社である「一般電気事業者」の電源調達に競争原理を導入すること、また、発電事業者をはじめとする新規参入者による卸供給を拡大することによって、電力の安定供給と合理的な経営効率化努力を織り込んだ適正な原価の形成を促すことを目的として、平成24年に、資源エネルギー庁が「新しい火力電源入札の運用に係る指針」を策定しております。
 本指針では、「一般電気事業者が1,000kW以上の火力電源の新増設またはリプレースを行う場合、原則として開発計画は全て入札の対象」となります。
 したがいまして、当社は、本制度に基づき、能代3号、上越1号を対象に、自社応札を前提とした入札の募集を行うことといたしました。
 入札の募集にあたりましては、当社が入札実施会社となりますが、入札の仕様や評価方法等につきましては、透明性・公平性を図る観点から、電力卸供給入札募集要綱(案)を定め、これに対する提案募集(RFC)を実施することとなります。
 そのため、事業者の皆さまを対象とした電力卸供給入札募集要綱(案)の事前説明会を来月10日に開催いたします。
 なお、入札募集要綱(案)の詳細につきましては、説明会の中でご説明させていただきますが、年間の基準利用率に応じて、それぞれ60万kW規模(計120万kW程度)で入札を募集する予定としております。

 

 当社といたしましては、計画的に経年火力の代替を進め、コスト競争力のある火力電源を確保できるよう、能代3号、上越1号を対象に、自社応札を前提とした入札の募集を行い、自社で落札できるよう最大限取り組んでまいりたいと考えております。

 

○東京電力福島第一原子力発電所事故に起因する損害の賠償請求について
 次に、東京電力福島第一原子力発電所事故に関する損害賠償請求についてご説明いたします。
 当社はこれまで、東京電力福島第一原子力発電所事故に起因する損害内容の精査を行ってまいりました。このたび、請求の見通しが立った損害について取りまとめたことから、今月末までに、東京電力に対して1回目の賠償請求を行うことといたしました。
 損害賠償につきましては、以前より申し上げておりますとおり、まず地域住民の皆さまへの賠償が優先されるべきと考え、当社として十分配慮したうえで対応してきたつもりであります。しかしながら、福島第一事故から3年が経過し、地域住民の方の請求について一定程度進展が見られることも踏まえ、今回請求するに至ったものであります。
 今回、請求を行う具体的な損害内容は、「避難区域にあり、業務を継続することが困難となった事業所の移転費用」や「放射線対策として新たに購入する必要が生じたタイベックスーツ・線量計の購入費用」などであり、金額にして約1.7億円分となります。
 なお、損害賠償請求は、今回が全てではなく、営業損害などその他の損害につきましても、引き続き、損害内容の精査とともに詳細検討を進め、適切に対応してまいりたいと考えております。 


○今冬の電力需給実績について
 最後に、今冬の電力需給実績につきまして一言申し上げます。
 今冬の最大電力は2月5日(水)の17時台に記録した1,395万kWであり、東日本大震災後の最大を記録いたしました。また、この日の供給力は、1,569万kWであり、予備率12.5%を確保しておりました。
 今冬につきましては、最低でも予備率を7.5%以上確保しておりましたが、これは、昨年12月2日からの「冬季需給対策強化期間」において、当社として需給両面からさまざまな対策を行ってきたことに加え、引き続き、皆さまより節電にご協力いただいたことによるものと考えております。この場を借りまして、あらためて、御礼申し上げます。
 なお、今月をもって強化期間は終了いたしますが、当社といたしましては、引き続き緊張感を持って安定供給に万全を尽くしてまいります。

 

 本日、私からは以上です。

 

 


 

「プレスリリース本文のPDFファイルはこちら」印刷用PDF

←← 東北電力トップページ ← 元のページへ戻る