プレスリリース

11月定例社長記者会見概要

平成25年11月28日

○海輪社長からの説明事項

 本日もお忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。

 本日、私からは、「冬季需給対策強化期間」、および「原子力発電所の安全性向上に向けた取り組み状況」についてご説明いたします。

 

 

○冬季需給対策強化期間について

 11月1日に国の「電力需給に関する検討会合」が開催され、当社管内のお客さまに対して「数値目標を設けない節電」が要請されました。

 先月の会見でもお知らせしておりますとおり、当社の今冬の電力需給の見通しにつきましては、皆さまからご協力いただいております節電の定着分を織り込んだうえで、10%前後の予備率を確保できる見通しです。

 しかしながら、寒波の到来による電力需要の急激な増加や、火力発電所の予期せぬトラブルなど、不測の事態が重なることで需給が逼迫するリスクはあるものと考えております。

 このため、当社では、12月2日から3月31日までを、「冬季需給対策強化期間」とし、発電設備など供給設備の重点パトロールに加え、ホームページ等を通じた需給状況に関する情報の提供や節電方法の紹介などを実施してまいります。

 お客さまにおかれましては、引き続き、上手な電気の使い方などによる無理のない範囲での節電にご協力いただきますようお願いいたします。

 

 

○原子力発電所の安全性向上に向けた取り組み状況について

 続きまして、当社の「原子力発電所における安全性向上に向けた取り組み状況」についてご説明いたします。

 東日本大震災発生時、震源に最も近かった当社女川原子力発電所は、設計どおりに自動停止し、その後速やかに冷温停止いたしました。これは、津波対策として設計思想に反映していた敷地高さ(震災前14.8m)をはじめ、震災前から実施していた耐震裕度向上工事などの耐震対策、さらには、日常的な訓練といった安全への備えが適切かつ確実に機能したことなどによるものと考えております。

 一方、福島第一原子力発電所事故につきましては、その影響から、現在もなお、長期にわたる避難を余儀なくされている方々が多くおられます。また、漁業や農林業関係の皆さまにおかれては、汚染水の問題等も加わり、福島県をはじめ宮城県など当社管内の広い範囲で深刻な影響を受けておられます。

 このように、事故以降、避難されている方々や農林水産関係などの皆さまが、心労の絶えない、極めて厳しい状況に直面されていることについて、地元の電力会社として、私どもは大変重く受け止め、憂慮しております。

 同時に、原子力を担う事業者として、「このような事故は絶対に起こしてはいけない」ということはもちろんのこと、より高いレベルの安全を確保していかなければ、地域の皆さまからの信頼を得ることができないということを肝に銘じ、安全性の向上に全力を挙げて取り組んでおります。

 当社では、福島第一事故から得られた知見や、東日本大震災の教訓などを踏まえた緊急安全対策等は既に実施済みであり、これにより福島第一原子力発電所と同様の事故を起こさない安全レベルは確保していると考えております。現在は、より厳しい条件を考慮した地震・津波対策や、重大事故への対策など、ハード・ソフト両面から継続的に取り組んでおります。

 

 当社の目指す安全対策の基本的な考え方として、重要な安全機能につきましては、ハード・ソフトの両面から強化し、より確実な安全確保に向けて安全性を向上させていくこととしております。

 こうした考えのもと、ハード面の安全対策では、地震や津波によって全ての機能が喪失しないことを基本としながら、深層防護の考え方に基づき、第1層のトラブルの発生防止から、第5層の防災にかけて、事象の進行段階に応じた適切な安全対策を実施することとしております。そして、それぞれ各層毎に福島第一事故以前より実施していた対策に加えて、設備の「強化」、「多様化」、「多重化」といった対策を最適に組み合わせることにより、安全対策に厚みを加えていくこととしております。

 一方、こうした安全対策を運用・実施するのは「人」であり、有事の際に、これらの安全対策を確実に実行できるよう、ソフト面の対策の強化・充実にもあわせて取り組んできております。

 例えば、「迅速な意思決定や指揮命令を行える組織・体制になっているのか」、あるいは「追加した安全対策や設備を含めて的確な運転・運用ができるように手順書が整備されているのか」、「人員配置は適切なのか」ということなどについて、絶えずチェックを行い必要な改善を継続的に行っていくこととしております。

 また、有事の際には、過酷な状況の下でこれらの安全対策を実行していくことになることから、そうした厳しい場面を想定した実践的な訓練等を繰り返し行っていくことで、対応力、実行力の担保・充実に努めていくこととしております。

 ハード面の安全対策の代表的な例として、第3層の事故後の炉心損傷防止対策のひとつである電源確保についてご説明いたします。

 福島第一事故の原因は、全ての電源の喪失により原子炉の冷却機能が失われたことにあります。したがって、当社では、どのような事象が発生した場合でも、原子炉を冷却する機器等へ電力を供給できるよう、「多様化」、「多重化」など複数の代替手段を用意することとしております。

 交流電源については、当社では、福島第一事故以前から外部電源である送電線の複数ルート化や複数の非常用ディーゼル発電機の設置といった対策を講じておりました。加えて、福島第一事故後には、津波の影響を受けない敷地高台への大容量電源装置の設置や、複数台の電源車の配備などを実施しておりますが、今後、ガスタービン発電機の設置も計画しております。

 また、直流電源については、既設の蓄電池の容量を増強するほか、可搬型直流電源の配備やバックアップとして3系統目となる常設の直流電源を追加することとしております。

 このように、それぞれの対策に厚みを加えていくことにより、一層の安全性向上を図ることとしております。

 

 次に、これまでご説明してまいりました内容を踏まえて、まず女川原子力発電所の現状についてご説明いたします。

 皆さまには既にお知らせしておりますように、女川原子力発電所は、3.11の地震と4.7の余震で、一部の周期帯において基準地震動580ガルを上回りました。基準地震動は、耐震設計の基本となるものであり、当社といたしましても、3.11の地震、4.7の地震も含めた最新の知見などを踏まえ、詳細な検討を慎重に進めてまいりました。その結果、女川原子力発電所の基準地震動については、より安全サイドに立った設定にしていくとの考えから、これまでの580ガルから約1,000ガルに引き上げることといたしました。

 基準地震動の見直しについて、今回の評価では、3つの地震のタイプについて、3.11および4.7の地震での観測データやその後に得られた技術的な知見、さらには女川海域の地殻構造などを踏まえ、地震の規模、断層の位置や向き、面積などについて非常に厳しい条件を設定し、社外の有識者のご意見を伺いながら評価いたしました。

 

 地震対策について、女川原子力発電所では、震災前に配管や電線管などの耐震裕度向上工事を約6,600箇所で行っておりました。さらに、土木設備や原子炉建屋においても耐震工事を行っているところですが、これらの地震対策や、現在進めている防潮堤やフィルター付格納容器ベント設備などの安全対策についても、今後は見直し後の基準地震動を反映していくこととしております。

 また、新たに追加する対策として、平成28年度中の完成を目指して、女川にも免震重要棟を設置することといたしました。女川には既に免震構造の事務新館の中に、緊急時の指揮命令を行う拠点となる「緊急時対策室」があるほか、「代替緊急時対策所」も整備しており、現状でも新規制基準の要求を満足していると判断しておりますが、現地の対策本部となる緊急時対策所の機能の信頼性向上を図る観点から、設置を決めたものです。仕様等、具体的な内容はこれからの検討となりますので、詳細が決まった段階で皆さまにお知らせいたします。

 

 続いて、東通原子力発電所の現状につきましてご説明いたします。

 ご承知のとおり、原子力規制委員会より指摘を受けている敷地内断層の活動性の有無に関する追加調査を現在実施しております。

 主な追加調査として、トレンチ調査による変動地形と断層との関連性の確認や、ボーリング調査による断層破砕部の深部固結状況等の確認、さらに水平掘削面調査による横ずれ断層の有無の確認などを行っているところです。

 当社では、発電所計画段階からその時々の最新の知見を踏まえた詳細な調査を行っております。追加調査も含め平成25年10月末時点までにトレンチ調査を72箇所、ボーリング調査も総延長で約5万2千メートル実施しており、データの整理や分析を進めております。

 これまでのところ、「耐震設計上考慮すべき断層ではない」とする当社の見解を否定するデータは確認されておりません。しかしながら、調査結果については今後予断を持つことなく、総合的な評価を行い取りまとめることとしております。

 一方、ハード面の安全対策は、既にお知らせしておりますが、免震重要棟やフィルター付格納容器ベント設備など、主要な対策に着手しており、これらの安全対策を着実に進めることで、更なる安全性の向上に努めているところです。

 なお、女川、東通の安全対策のスケジュールにつきましては、現時点において、一部猶予期間がある安全対策(特定重大事故等対処施設、第3系統目の常設直流電源)を除き、女川では平成27年度中、東通では平成26年度中には概ね完了する予定で、着実に安全対策を進めることとしております。

 

 このように、各種の最新知見を踏まえた安全対策が着々と進んでいるところでありますが、特に女川におきましては、課題となっておりました基準地震動の見直し、およびそれを踏まえた設備耐力の評価に目処がついたことから、今後は、この新たな基準地震動を反映した対策を加速させてまいりたいと考えております。

 また、これら当社が進めている安全対策については、世界最高水準の安全レベルを目指す新規制基準が施行された中で、この基準への適合性審査を原子力規制委員会から受けることは重要と考えております。したがって、女川、東通両原子力発電所ともに、現時点では具体的な時期は申し上げる段階にないものの、今後、準備が出来次第、適合性審査の申請をしてまいりたいと考えております。

 当社といたしましては、新規制基準への適合性に留まらず、より高いレベルでの安全確保にむけて継続的に取り組むことが重要と考えております。これからも更なる安全性向上に向けて、地域の皆さまの安心につながるよう、また、ご理解が得られるよう、安全対策に万全を期してまいります。

 

 本日、私からは以上です。

 

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