プレスリリース

5月定例社長記者会見概要

平成25年 5月14日

○海輪社長からの説明事項

 本日、私からは「平成24年度大型蓄電システム緊急実証事業への応募」、および「当社原子力発電所における安全対策の実施」、具体的には、女川原子力発電所における防潮堤のかさ上げ、東通原子力発電所におけるフィルター付格納容器ベント設備ならびに免震重要棟の設置につきまして、ご説明させていただきます。

 

○平成24年度大型蓄電システム緊急実証事業への応募

 まず初めに、平成24年度大型蓄電システム緊急実証事業への応募につきまして、ご説明いたします。

 当社はこれまでも地球環境問題、エネルギー安全保障、地域振興等の観点から、東北地域に賦存量が豊富な再生可能エネルギーの導入拡大に積極的に取り組んでまいりました。しかしながら、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入量が拡大すると、周波数変動などの電力品質に影響を及ぼす可能性があることから、導入拡大に向けた系統安定化対策についても検討を進めてきているところです。

 こうした中、当社では、新たな取り組みとして、国が一般社団法人新エネルギー導入促進協議会を通じて公募された「平成24年度大型蓄電システム緊急実証事業」に今般、応募いたしました。

 本事業は、再生可能エネルギーの導入拡大を目指した蓄電池技術の活用策として、変電所に大型蓄電池を設置し、その最適な制御および管理技術を開発・確立するものです。

 当社では、現在、火力発電機で周波数の調整を行っており、今回公募された大型蓄電池と火力発電機を組み合わせることで、再生可能エネルギーの一層の導入拡大に貢献できるものと考えております。

 具体的な実証事業の概要につきましては、仙台市太白区にある西仙台変電所に

2万kWhの蓄電池を設置し、中央給電指令所からの自動制御により周波数調整を実施することで、周波数変動対策としての制御効果を検証することとしております。

 

 なお、本事業につきましては、今月中にも事業者が採択される見通しであることから、当社が採択された場合には、改めて公表させていただきます。

 

 

○原子力発電所における安全対策の実施について

 続きまして、原子力発電所における安全対策の実施についてご説明いたします。

 当社は、福島第一原子力発電所の事故から得られた知見等を踏まえ、緊急安全対策やシビアアクシデント対策に加え、ハード・ソフト両面から安全性向上に向けた取り組みを進めております。この結果、既に福島第一原子力発電所と同様な事故を起こさない安全レベルを確保したものと考えておりますが、さらなる安全性向上を図るため、今般、新たな対策を実施することといたしました。

 

<女川原子力発電所における防潮堤かさ上げ>

 女川原子力発電所においては、高さ約3mの防潮堤を平成24年4月に設置いたしました。これは、平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴い、最大遡上水位 約13.8mの津波が女川原子力発電所に押し寄せたこと、さらには、この地域の地盤が 約1m沈下したことを考慮し、できるだけ早期に防潮堤を設置することで、発電所の安全性をさらに高め、地域の皆さまにもご安心いただきたいと考えたことによるものです。

 

 また当社では、これと並行し、東北地方太平洋沖地震に関わる知見や、平成25年7月の施行に向けた「新規制基準」に関する議論の動向を踏まえながら、津波評価の検討を進めてまいりました。この結果、極めて厳しい条件での評価として、女川原子力発電所敷地前面の防潮堤に到達する津波の最大遡上水位を、海抜約23mと評価いたしました。

 当社といたしましては、仮にこの規模の津波が発生した場合でも、これまで実施してまいりました緊急安全対策等により、発電所の安全性は確保できると評価しております。しかしながら、より安全性を高め、地域の皆さまにご安心いただくという観点から、当社の自主的な対策として、現在約3mの防潮提を高さ約15m、海抜で申し上げますと、約29mまでかさ上げする工事を実施することとしたものです。

 かさ上げ後の防潮堤は、鋼管式鉛直壁とセメント改良土による堤防により構成され、総延長は約800mになり、現状の約600mから200m延長されることになります。

 なお、女川原子力発電所の防潮堤かさ上げ工事につきましては、準備が整い次第開始し、工事完了は平成28年3月を予定しております。

 

<東通原子力発電所における更なる安全性向上対策>

 当社は、東通原子力発電所におけるフィルター付格納容器ベント設備および免震重要棟の仕様等について検討してまいりました。

 今般、フィルター付格納容器ベント設備および免震重要棟の仕様が固まったことから、今後、準備が整い次第、設置工事を開始することとしたものです。

 

 今回、東通原子力発電所に設置するフィルター付格納容器ベント設備の概要についてご説明いたします。

 フィルター付格納容器ベント設備は、原子炉格納容器の過度な圧力上昇に伴う破損を防止するために、格納容器内の蒸気を大気中に放出して圧力を低減させる際に使用する設備です。このフィルター付格納容器ベント設備を設置することにより、万一、炉心が破損した場合においても、金属フィルターや水溶液を介することで放射性物質の放出量を、直接放出する場合に比べ、1000分の1以下に抑制することが可能となります。東通原子力発電所では、この設備を埋設方式により設置することとしており、平成27年3月の完成を目指して工事を進めていく予定としております。

 

 続きまして、免震重要棟について申し上げます。

 今回、建設する免震重要棟は、大規模な原子力災害が発生した場合の現地対策本部となる指揮所機能を強化するために設置するものです。建物は免震構造の地上3階建てとし、テレビ会議システムや通信設備等を配備した大会議室をはじめ、専用の非常用発電機、放射線遮蔽を考慮した空調設備等を導入する計画としております。

 なお、免震重要棟につきましては、平成28年3月の完成を目指し、今後工事を進めていく予定としております。

 

 当社といたしましては、今後も引き続き新たな知見の収集に努めるとともに、適切な安全対策を実施することによって、原子力発電所のさらなる安全性の確保・向上を目指してまいります。

 

 最後になりますが、東通発電所の敷地内断層に関して、一言申し上げます。

 先週9日に原子力規制委員会の「東通原子力発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合」の第5回評価会合が開催されました。本会合では、当社の出席は求められませんでしたが、敷地内断層の活動性や第四系変状の連続性等の論点について、有識者の方々の間でさまざまな議論がなされました。

 当社は、4月の第4回評価会合においても主張しておりますが、これまで蓄積した膨大な地質調査データ等に基づき、敷地内断層は耐震設計上考慮すべき活断層ではないことを確認しております。

 今週17日に予定されている次回評価会合の場では、このような当社の見解を再度、しっかりとご説明させていただきたいと考えております。

 また、当社では現在、敷地内断層について、有識者からのご意見を踏まえ、地質調査や文献調査等を実施しているところであり、予断を持つことなく、あらためて活動性の有無に関する評価・確認を実施することとしております。

 原子力規制委員会におかれましては、こうした状況も十分に踏まえたうえで、拙速に結論を出すことなく、地質調査で得られる新たなデータや知見を確認いただくとともに、これまでの審査に携わった学識経験者の意見も聞くなど、科学的データに基づいた幅広い議論を行っていただきたいと考えております。

 

 本日、私からは以上です。

 

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