プレスリリース

4月定例社長記者会見概要

平成24年 4月27日

○海輪社長からの説明事項

 本日、私からは「平成23年度決算および平成24年度業績予想」、「今夏の電力需給の見通し」、「役員人事」の3点について説明いたします。

 

○平成23年度決算について

 まず始めに、平成23年度決算と平成24年度業績予想についてご説明いたします。

 

 まず、収益面について、当社の平成23年度の販売電力量については、合計で753億kWh、対前年比で8.9%の減となり、平成21年度以来2年ぶりに前年度を下回り、割れ幅としては過去最大となりました。

 主な要因としては、東日本大震災の影響による電力需要の減少に加えて、多くのお客さまに節電にご協力いただいたことが挙げられます。

 前年度に比べ販売電力量が74億kWh減少した要因としては、

1.震災影響による電力需要の減少が50億kWh程度

2.節電へのご協力による効果が25億kWh程度

3.気温影響が2億kWh程度と試算しています。

一方、プラス要因として、

4.今年がうるう年であったことなどの影響が+3億kWh程度あったものと試算しています。

 

 このように、販売電力量が減少したことなどから、売上高は1兆6,849億円となり、前年度に比べ1.4%、237億円の減となりました。また、売上高に営業外収益を加えた経常収益は1兆6,942億円となり、前年度に比べ1.3%、227億円の減となりました。

 

 一方、費用面については、企業グループを挙げて最大限のコスト削減に取り組んだことなどにより、修繕費や一般経費は減少しました。しかしながら、女川、東通両原子力発電所が停止したことに加え、東日本大震災により石炭火力発電所が被災するとともに、新潟・福島豪雨の影響で新潟・福島県内の水力発電所が多数停止しました。このため、代替火力発電所の焚き増しを行ったことなどにより、燃料費が大幅に増加しており、こうしたことなどから、経常費用は前年度に比べて14.3%、2,340億円増の1兆8,707億円となりました。

 この結果、経常損益は1,764億円の損失、前年度に比べ2,567億円の大幅な減益となりました。

 

 このように収支が悪化した要因としては、当社における次の4点が大きく影響しています。影響額で申し上げますと、

1.電力需要の減少影響が330億円程度

2.原子力発電所の停止に伴う火力燃料費の増加が2,040億円程度

3.価格の安い石炭を燃料とする原町火力発電所等の停止に伴う火力燃料費の増加が770億円程度

4.新潟・福島豪雨による水力発電所の停止に伴う火力燃料費の増加が140億円程度

であったものと試算しています。

 

 一方で、効率化の取り組みとして、平成23年度は、最大限の効率化を織り込み、災害復旧以外の修繕費を650億円程度、一般経費を310億円程度、合計で960億円程度の効率化を実施しました。

 

 当期純損益については、東日本大震災および新潟・福島豪雨による被害設備の損失、今後の復旧に要する費用として1,010億円を特別損失に計上したことなどから、前年度に比べ1,981億円減の2,319億円の損失となりました。

 なお、特別損失については、1月に公表した第3四半期決算では906億円とお知らせしましたが、104億円追加計上しました。

 

 年度決算において、経常損益が損失となるのは、平成20年度決算以来3年ぶり、当期純損益が損失となるのは2年連続であり、経常損益、当期純損益ともに、連結決算を開始した平成6年度以降、最大の損失となります。

 

 当社の個別決算について、経営損益は、前年度に比べ、2,471億円減の1,842億円の損失、当期純損益については、1,771億円減の2,102億円の損失となっています。

 連結決算同様、当社個別の年度決算において、経常損益が損失となるのは平成20年度決算以来3年ぶり、当期純損益が損失となるのは2年連続であり、経常損益、当期純損益ともに当社創立以来最大の損失となります。

 

<平成24年度業績予想>

 次に平成24年度の業績予想について、平成24年度供給計画については、電力需要やエネルギー政策、原子力発電所の運転再開見通しが不透明であることなどから、電力需要、供給力ともに見通しを「未定」としています。

 また、現在、政府において今夏の電力需給の見通しについて、需給検証委員会において検証いただいているところであります。

 このため、収支に係わる合理的な算定が困難であることから、平成25年3月期の業績予想は、第2四半期累計、通期ともに、現段階では「未定」としています。今後、需給両面での見通しが立った時点で、あらためてお知らせしたいと考えています。

 

<期末配当について>

 東日本大震災や新潟・福島豪雨などの影響により、平成23年度の業績が、経常損益、純損益ともに過去最大の損失になるとともに、今後の見通しも先行きが不透明であります。加えて、現在、被災した設備の復旧工事が継続しているなどを勘案すると、経営環境については見極めが困難な状況にあります。

 こうしたことから、平成23年度の期末配当については、「見送り」とさせていただくこととしました。

 

 

○今夏の電力需給の見通しについて

 続いて、今夏の電力需給の見通しについて申し上げます。先般お知らせのとおり、今夏(7・8月)の電力需給の見通しについては、供給力は原子力の再起動がない場合を仮定し、また、需要においては、猛暑時と平年並みの気温、節電を織り込んだ場合と織り込んでいない場合をそれぞれ想定し、策定しました。

 

 当社としては、電力需給については、電力の安定供給を第一に考えますと、平温時ではなく、一昨年並みの猛暑時を前提に準備をしていく必要があるものと考えています。

 この場合、8月において、節電を織り込まない場合では、供給力が9万kWの不足、予備率はマイナス0.6%となりますが、節電を織り込んだ場合は、供給予備力が41万kW、予備率は2.9%となります。

 このため、節電をしていただければ供給力がプラスとなるので、この夏は供給力に余裕があるようにも見えるかもしれません。しかしながら、この前提としては、火力発電所の増出力や自家発所有のお客さまからの余剰電力購入を含め、この夏として考えられる全ての供給力を最大限織り込んで策定したものであります。

 

 今ほど、こうして策定した猛暑時に節電を織り込んだケースの供給予備力は41万kWと申し上げましたが、例えば、出力が60万kWである秋田火力発電所4号機で予期せぬトラブルが発生し停止すれば、供給力不足に陥るというリスクを抱えています。火力発電所においては、震災以降、検査・点検期間も可能な限り短縮し、高稼働の運転を継続している状況にあり、万全と言えるような需給状況にはないことをご理解いただきたいと思っています。

 当社では,私を本部長とする需給対策本部のもと,この夏も緊張感をもって設備の保守・点検にあたりこのようなことのないように努めていきますが,いずれにしても厳しい水準の数字であることをご理解いただきたいと思います。

 

 また、現在、需給検証委員会において、今夏における需給見通しの検証が行われているが、当社としても、本委員会での検証結果も踏まえ、あらためて、今夏に向けた対応を公表させていただきたいと考えていますので、よろしくお願いします。

 

○役員人事について

 最後に役員人事について、説明します。

 先ほど説明したとおり、当社の平成23年度決算は創立以来最大の赤字決算となり、今後も極めて厳しい局面が続くものと予想されます。

 しかしながら、当社は、地域に根ざした企業として被災地域の復興には電力の安定供給を最優先に対応するということで、企業グループ全員が使命感と団結力をもって、まさに正念場とも言えるこの難局を乗り切ってまいりたいとの現状認識です。

 

 一方、電気事業のあり方については、現在さまざまな議論が行われていますが、当社としては、中期経営方針で定めた考え方を基に、一日でも早い設備復旧による安定供給の実現や原子力発電所のさらなる安全性の向上、更に一層のコスト低減など、一つ一つの課題に着実かつ真摯に取り組み、経営基盤の回復と地域の皆さまからの信頼・評価を得られるよう邁進していくこととしています。

 

 このたびの役員人事については、このような観点に立ち、取締役の人数を現在の17名から1名減の16名として経営のスリム化を図るとともに、企業グループの総力を挙げて、現下の難題を克服していくためのさらなる体制強化を図るため、適材適所の人材をあてることを考えました。

 

 代表権のある取締役会長には、現在の高橋宏明氏、社長に私、海輪誠、副社長には、安倍宣昭氏、梅田健夫氏、が重任し、新たに常務取締役である佐竹勤氏、同じく常務取締役である矢萩保雄氏の2名が副社長に昇格します。

 また、常務取締役には、現在の鈴木敏仁氏ほか3名に加えて、新たに取締役火力原子力本部火力部長である佐久間直勝氏、執行役員秋田支店長である三浦政彦氏、執行役員待遇東北エネルギー懇談会の向田吉広氏の3名が昇格します。

 

 一方、今回退任される取締役副社長の宇部文雄氏は社団法人東北経済連合会に、同じく取締役副社長の加藤博氏は、東北発電工業株式会社取締役社長に、常務取締役の森下和夫氏は、一般財団法人東北電気保安協会 理事にそれぞれ就任していただき、経営の舵取りをお願いすることとしております。

 その他、退任する取締役や執行役員の方々にも、それぞれのグループ企業の要職などについていただき、その手腕を遺憾なく発揮していただきたいと考えています。

 

 本日、私からは以上です。

 

 

 

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