プレスリリース

3月定例社長記者会見概要

平成24年 3月30日

○海輪社長からの説明事項

 本日、私からは「平成24年度供給計画の概要」と「原子力発電所の安全性向上に向けた取り組み」について説明させていただきます。

 

○平成24年度供給計画の概要について

 供給計画は、電気事業法に基づき今後10年間の電力需要を想定し、安定供給を確保するための供給力、設備計画について、毎年、年度末までに経済産業大臣に届出するものです。

 しかしながら、昨年の東日本大震災の影響により、エネルギー政策は、原子力のあり方も含めて抜本的な見直しについて国民的な議論がなされているところであり、現段階で依然として今後のエネルギー政策の方向性が不透明な状況です。

 このような状況等を踏まえ、本日届出を行った平成24年度の供給計画については、例年示す供給計画とは異なり、多くの部分が「未定」となっており、具体的な内容を示すことができない状況となっています。

 これらの内容については、公表できる段階になったら、あらためてお知らせしたいと考えているので、よろしくお願いいたします。

 具体的には、電力需要については、節電効果を踏まえた需要想定を行うには、本年3月まで節電期間を設定しているが、これまでの需要動向を分析する必要があること、供給力についても、原子力の再稼働時期が依然として不透明な状況であること等から、需要、供給力ともに「未定」としました。

 こうしたことから、今回の供給計画では、既に着工、公表している電源開発計画や送変電計画等を計上するにとどめています。

 

 「供給計画の概要」について、昨年、平成23年度の供給計画は東日本大震災前に策定したものであり、届出はしたものの、混乱を招く恐れもあったことから公表を控えたものであり、東日本大震災の影響を反映することができず、示すことができなかったので、平成22年度供給計画からの変更点を中心に申し上げます。

 

 はじめに、水力について、これまでH1、H2と符号で表示していた新規地点について、開発計画の進捗を踏まえ、それぞれ「飯野」、「第二薮神」と具体的な地点名として計上するとともに、工事計画を精査し、着工、運転開始時期をそれぞれ見直しました。

 火力については、ご承知のとおり、今年の夏に向けての供給力対策として、八戸5号、秋田5号、東新潟5号、の3地点の緊急設置電源が、7月に運転を開始する予定です。

 八戸5号については、環境負荷の低減を目指したコンバインドサイクル化の追加工事を行い、平成26年8月に運転を開始する計画としています。

 なお、能代火力発電所に設置予定だったNAS電池については、当初、今冬の供給力として考えていたが、昨年9月末、他社で火災が発生したことを受けて、安全最優先の観点から工事を中断しており、メーカーである日本ガイシによる原因究明や再発防止対策の検討状況を見て、判断することとしていました。こうした中、今年に入り、日本ガイシより「今夏にも間に合わない」との報告があった。当社ではこれを踏まえ、今後の取り扱いについて検討した結果、NAS電池の設置は取止める方向で、現在、日本ガイシと協議を進めており、供給計画への計上を行わなかったものです。

 上越1号系列については、将来の供給力確保、上越方面の安定供給対策として重要な電源であるとの位置付けに変わりはなく、前回どおりの計画としています。

 また、能代3号は、低炭素社会実現に向けたCO2排出量対策など、国の規制措置の動向を見通すことが依然として難しいため、開発時期を明確にできない状況にあります。このため、着工および運転開始をそれぞれ2年繰り延べし、平成39年度以降としています。

 

 次に原子力について、原子力はわが国の電力の安定供給を担う貴重な電源であり、中長期的にみても、エネルギー安全保障や低炭素社会を実現する観点から、今後とも重要な電源です。引き続き、原子力を一定割合活用しながら、火力や再生可能エネルギーなどとバランスよく組み合わせた、エネルギー全体のベストミックスを進めていく必要があると 考えています。

 しかしながら、「エネルギー政策」や「原子力政策」については、現在、政府の審議会で様々な議論が行われているところであり、わが国のエネルギー政策の方向性については、原子力発電の位置付けも含めて、国民的議論がこれから深められていくものと思われます。

 こうした状況を踏まえると、新規の原子力立地については、これら国民的議論や地元の皆さまのご意見を十分に踏まえながら、適切に対応していく必要があると考えており、現時点では具体的な計画を申し上げる状況にないと判断しました。このため、今回、「浪江・小高」、「東通2号」の着工および運転開始時期をそれぞれ「未定」としたことに、ご理解をいただきたいと思います。

 

 一方、現在停止中の女川・東通両原子力発電所については、緊急安全対策やシビアアクシデント対策を実施するとともに、ストレステストや耐震バックチェックへの対応を進めています。後ほど説明するが、さらなる安全対策も検討しており、安全性を可能な限り向上させていくことで、地域の皆さまから、原子力に対するご理解をいただくことができるよう最大限努めてまいります。

 

 太陽光に関しては、仙台太陽光は、既にお知らせのとおり、東日本大震災の影響を踏まえ、運転開始時期を平成24年5月としています。原町太陽光については、東日本大震災による敷地への津波の被害が大きく、隣接する原町火力発電所も甚大な被害を受けたことから、着工の目途が立たない状況にあったが、原町火力発電所の復旧状況を踏まえ、今回、平成25年10月の着工、平成27年1月の運転開始としました。

 以上が、本日届出した平成24年度供給計画の概要です。

 

○原子力発電所の安全性向上に向けた取り組みについて

 東日本大震災発生時、震源に最も近い女川原子力発電所は、1号機、3号機は通常運転中であり、定期検査中の2号機は原子炉起動直後であったが、3基全てが設計どおり安全に自動停止した。発電所設備については、最新の知見を反映した耐震裕度向上工事や未曾有の13メートルの津波にも耐えた敷地高さ、日頃の訓練に基づく機動的な対応など、ハード・ソフト両面での対応が有効に機能したことにより、一部設備に火災や浸水などの被害が発生したものの、全体としては被害を最小限に止め、冷温停止状態へ移行することができた。

 当社では、こうした経験を活かしながら、東京電力福島第一原子力発電所の事故から得られた知見も踏まえ、

・津波による安全機能への被害を防止・緩和するための「浸水防止」

・安全に冷却を行うための「電源・計装機能・冷却機能の強化」

・万一、炉心損傷等が発生した場合でも、可能な限り放射性物質を格納容器や原子炉建屋等に閉じ込め、発電所外への影響を抑制する「閉込機能の強化」

を安全性向上の視点とし、安全機能の維持・強化を図っています。

 

 原子力発電所の安全性向上に向けた考え方と取り組みの全体像について、これまで、今ほど申し上げた安全性向上の視点に基づき、緊急安全対策やシビアアクシデント対策に努めてきた結果、当社原子力発電所は福島第一原子力発電所と同様な事故を起こさない安全レベルを確保することができたものと認識しています。

 設備被害のなかった東通原子力発電所については、そうした成果をストレステストの評価へ反映し、現在、国からの審査を受けているところであります。

 このように、基本的な安全対策を着実に積み重ねてきているが、現状に満足することなく、今後とも、さらなる安全性の向上に向けた取り組みを継続していくことが何よりも重要と考えています。

 当社としては、各種安全機能について、各発電所の特性や最新の知見などを踏まえて、ハード・ソフト両面からの最適な対策を組み合わせながら、ある要因で一つの機能が全て失われることがないよう、多様化することによって安全性に対する「厚み」を加えていきます。

 今回は特に、万一、炉心損傷等が発生した場合でも、可能な限り放射性物質を格納容器や原子炉建屋等に閉じ込め、発電所外への影響を抑制する観点から、「閉込機能」を強化することとしました。

 既に閉込機能としては、福島第一原子力発電所と同様な事故を起こさない安全レベルを 目指し、緊急安全対策とシビアアクシデント対策の中で、格納容器ベント方法の強化、原子炉建屋への穴開け機材の配備は既に実施しました。さらに、原子炉建屋ベント装置の設置、水素検知器の設置については、平成24年度内に完了する予定であります。

 今回、さらなる安全性向上を図るため、フィルター付格納容器ベント設備の設置、格納容器上部等の密閉性確保対策を新たに実施するものです。

 フィルター付格納容器ベント設備は、格納容器の過度な圧力上昇に伴う破損を防止するために、格納容器の蒸気を大気に放出して圧力を低減させる際、フィルターを通過させて放射性物質の放出量を1000分の1以下に抑制するものです。既設のサプレッションチェンバの水を介して抑制する方法と組み合わせることで、より高い効果が期待できます。

 格納容器上部等の密閉性確保対策は、格納容器が高温となり上蓋と本体を接合する密閉部材が劣化、破損することを防止するものです。具体的には、格納容器上部への注水による冷却、耐高温性の密閉部材の採用など様々な選択肢の中から有効な対策を見極めていくこととしており、原子炉建屋内への放射性物質、水素の漏えいの抑制に努めていきます。

 

 なお、この2つの対策については、現在、設備仕様、実施時期などを検討しているところであります。

 また、東通原子力発電所では、大規模地震等が発生した場合でも、適切に事故対応を行うことができる指揮所機能を強化するため、平成28年度頃を目途に、免震重要棟を設置する計画です。

 

 以上が、原子力発電所の安全性向上に向けた取り組みです。当社としては、引き続き、それぞれの発電所の特性と安全性に関わる最新知見を反映して、安全性レベルの向上を常に目指していきたいと考えています。

 

 本日、私からは以上です。

 

以 上

 

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