プレスリリース

1月定例社長記者会見

平成24年 1月27日

○海輪社長からの説明事項

 本日、私からは「東北電力グループ中期経営方針(平成24〜28年度)」、「今冬の電力需給の状況」、「平成24年3月期、いわゆる平成23年度・第3四半期決算ならびに平成23年度業績予想」の3点について説明させていただきます。

 

○東北電力グループ中期経営方針(平成24〜28年度)について

 まず始めに、東北電力グループ中期経営方針について説明いたします。

 当社の経営環境は、東日本大震災により電力需要が低迷する中、太平洋沿岸を中心とした被災設備の復旧費用がかさみ、火力の燃料費が大幅に増加したことなどにより創立以来の極めて厳しい状況にあります。

 また、東京電力福島第一原子力発電所の事故により原子力に対する社会的不安が増大していることに加え、電気事業のあり方も含めたエネルギー政策の見直しに関する議論が行われるなど、当社のみならず、電力業界全体としても大変厳しい局面であると考えています。

 こうした中、東日本大震災で直接被災した電力会社として、当社の抱える課題は極めて重く、山積している状況にあります。

 政府において、エネルギー政策全体像の議論が今後予定されており、現時点で当社の進むべき方向性を将来にわたって明らかに見通すことはなかなか難しい状況です。しかし、私どもが直面している様々な課題を克服していくためには、企業グループ社員がベクトルを合わせ、向かうべき道を一つにして事業展開を図っていく必要があります。

 このため、大震災後の経営の基本的方向性を社内外に示すという意味を込めて、新たな中期経営方針の策定を行ったものです。

 今回の中期経営方針では、現在の厳しい経営課題について、まずは自助努力で乗り切って事業運営の立て直しを図りながら、同時に、変化を先取りし、将来への布石を打っていくこと、地域の皆さまに信頼していただける企業となるよう地域との連携を強化していくことを基本的な考え方としています。

 当社の目指すべき姿として、「地域の復興を支えるとともに新たなエネルギー企業への進化を目指す」ことを掲げています。

 さらに、3つのキーワード「使命の遂行」、「地域との共生」、「新たな挑戦」に主要施策を整理しました。

 

<使命の遂行>

 1つ目の「使命の遂行」では、東北電力グループ一丸となって安定供給の使命を遂行するとともに、早期に収益基盤を再構築していくことを掲げました。

 地域の復興を支えるため、被災した火力や水力の早期復旧等を迅速に行い、グループの総合力を結集して電力の安定供給に全力を尽くしていきます。

 原子力については、わが国の安定供給を担う貴重な電源であり、中長期的にみても、エネルギー安全保障や低炭素社会を実現する観点からは、日本にとって必要なオプションです。

 当社としては、東日本大震災や東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえた地震・津波対策や防災体制など、様々なリスクに対する安全対策を確実に実施して安全性を高め、地域の皆さまの信頼につなげてまいりたいと考えています。そして、原子力を一定割合活用しながら、火力や再生可能エネルギーなどとバランスよく組み合わせた、エネルギー全体のベストミックスを進めていく必要があると考えています。

 また、現在の厳しい収支状況を踏まえると、企業グループ全体で収益基盤の早期回復を図っていくことが必要です。

 このため、当面は、被災した設備の早期復旧を図りながら、緊急的な収支改善の対策を行い、財務体質の悪化を抑制し、収益を早期に回復させることに注力していきます。また、中長期的に効果が持続する構造的なコスト低減を推進し、継続的に利益を創出する収支構造に変革していきたいと考えています。

 

<地域との共生>

 2つ目の「地域との共生」は、創立以来の当社のDNAに相当するものです。ここでは、お客さまや多様なニーズに応えるサービスの提供等を通じ、これまで以上に地域との共生を図っていくことを掲げました。

 昨夏ならびに今冬においては、お客さまには節電に並々ならぬご協力をいただいており、改めて心より感謝申し上げます。

 当社がお勧めしているヒートポンプ電化は、環境性や省エネ性に優れ、投入した電気エネルギーの約3倍の熱エネルギーを得られることから、お客さまの節電ニーズにも的確にお応えできるものです。お客さま側のエネルギー利用効率向上に向けて、このヒートポンプ電化を中心に、多様なニーズに合わせた提案活動を行ってまいりたいと考えています。

 また現在、多くの自治体の復興計画の中には再生可能エネルギーの導入などが盛り込まれていますが、当社企業グループが力になれることも多いのではないかと思います。当社としては、エネルギーサービスの面から、これら復興計画にも積極的に関わり、地域の皆さまとともに、技術的課題などの解決に努め、復興を支援していく所存です。

 いずれにしても、当社が今後も地域社会やお客さまから必要とされる企業であり続けるには、地域社会との連携を強化していかなければなりません。

 当社が地域にこだわった経営を継続するとともに、企業グループの一人ひとりが、地域とこれまで以上に積極的に関わり、地域との絆を深め、お客さまや地域のご要望にお応えしていきたいと考えています。

 

<新たな挑戦>

 3つ目の「新たな挑戦」では、将来への布石として、再生可能エネルギーの導入拡大やスマートグリッドなど次世代エネルギーシステムの活用に努め、新たな事業基盤の確立を目指していきます。

 例えば、当社企業グループは、エネルギーのプロとして、安定供給との両立を図りながら、東北地域に多く賦存する再生可能エネルギーの導入拡大に、これまで以上に積極的に努めていきます。とりわけ、風力については、当社は現在でも、国内電力会社でトップの系統連系量でありますが、さらに、2020年度を目途に200万kW程度まで連系拡大することを目指しています。

 この再生可能エネルギーや次世代エネルギーシステム等の分野は、当社企業グループにとっても大きなビジネスチャンスとなる可能性があります。積極的に事業機会の獲得に努め、これまでの系統電力による供給に加え、分散型電源を適度に組み合わせた新たな事業基盤の確立に挑戦していきます。

 

 以上が、このたびの中期経営方針の概要です。今後、この中期経営方針に掲げた施策を中心として、地域の復興を支えながら、グループ一体となった事業展開を図ることで、新たなエネルギー企業への進化を遂げ、当社のコーポレートスローガンである「地域とともに 未来をひらく」の実現を図ってまいりたいと考えています。

 

○今冬の電力需給の状況について

 当社は、運転中の発電所の安定運転の継続に努めるとともに、被災した火力・水力発電所の一日も早い復旧や、追加供給力対策としての緊急設置電源の新設等に取り組んできています。先月12月には、新仙台火力1号機が営業運転を開始し、仙台火力4号機も試運転を開始しました。なお、仙台火力4号機については、当初、3月の営業運転を見込んでいましたが、昼夜二交替での作業などによる工程前倒しを行い、2月上旬には営業運転を開始できる見込みです。また、緊急設置電源である新潟火力6号機も試運転による発電を開始するとともに、常磐共同火力勿来7号機が営業運転を、また、相馬共同火力新地1・2号機が試運転による発電を開始するなど、12月は、多くの発電所を戦力に加えることができました。

 

 なお、供給力の取り組みに加え、新たに冬季向けの計画調整契約を導入するなど、需要面の対策についても進めています。

 

 「今冬の電力需給の状況」については、今ほど申し上げた需給両面の取り組みに加えて、北海道電力、東京電力からそれぞれ電力融通をいただくことで、これまでのところ電力需給が逼迫する状況には至らず経過してきています。

 現在、厳しい寒さを迎えており、この寒さはもうしばらく続くと思いますが、引き続き、お客さまにご迷惑をお掛けすることのないよう安定供給の確保に向けて全力を尽くしてまいります。

 ちなみに、現在までの今冬の最大電力は、昨日記録した1,355万kWとなっています。

 

○「平成24年3月期(平成23年度)・第3四半期  決算および平成23年度業績予想」について

 まず、収益面については、当期の販売電力量が前年同期に比べ大幅に減少したことから、売上高は1兆1,616億円となり、前年同期に比べ6.9%、864億円の減となりました。

 また、売上高に営業外収益を加えた経常収益は1兆1,675億円となり、前年同期に比べ7.0%、874億円の減となりました。

 費用面については、修繕費などは減少したものの、原子力発電所の停止に伴う火力発電所の稼働増により、燃料費が大幅に増加したことなどから、経常費用は1兆3,014億円となり、前年同期に比べ12.2%、1,415億円の増となりました。

 この結果、経常損益は1,339億円の損失となり、前年同期に比べ2,289億円の大幅な減益となりました。

 このような収支悪化に至った大きな要因としては、当社における次の4点が挙げられます。影響額で申し上げますと、(1)電力需要の減少影響が350億円程度、(2)原子力発電所の停止に伴う、火力燃料費の増加が1,600億円程度、(3)石炭を燃料とする原町火力発電所の停止等に伴う、火力燃料費の増加が630億円程度、(4)新潟・福島豪雨による水力発電所の停止に伴う、火力燃料費の増加が、100億円程度と試算しています。

 一方で、収支改善策として経営全般にわたる効率化に努めた結果、700億円程度の費用削減も行いましたが、経常損益としては、大幅な減益となったものです。

 また、純損益については、東日本大震災および新潟・福島豪雨による被害設備の損失、今後の復旧に要する費用として906億円を特別損失に計上したことなどから、前年同期に比べ2,185億円減の1,677億円の損失となりました。

 第3四半期決算において、経常損益、純損益が損失となるのは、平成20年度・第3四半期決算以来3年ぶりであり、損失は過去最大となります。なお、当社個別の決算についても同様となっています。

 

<平成23年度業績予想>

 次に、平成23年度の業績予想について、これまで、平成23年度通期の業績予想については、東日本大震災後の影響により需給両面にわたって不確実性があり、合理的に業績を予想することが困難であることから「未定」としていました。

 平成23年度の残り期間が2カ月余りとなったことなどを踏まえ、最近の需給状況や業績の動向等を織り込むことで、今回、通期の業績を算定したものです。

 売上高については、当社において東日本大震災の影響等により販売電力量が大幅に減少したことなどから1兆6,300億円程度と、前年比で4.6%の減となる見通しです。

 経常損益については、災害復旧以外の工事・施策の取止め、実施時期や内容の見直しなど最大限のコスト削減に取り組んだことにより、修繕費や一般経費は減少しましたが、原子力や被災火力の停止に伴い、火力燃料費などが大幅に増加することなどにより2,000億円程度の損失となる見通しです。また、当期純損益は、被災設備の損失や復旧費用による特別損失を加え2,500億円程度の損失となる見通しです。

 なお、今回の業績予想に当たり、原子力に関しては、現時点で、再稼働の具体的な時期を見通せない状況であることから、年度内は停止の前提で織り込んでいます。

 効率化に関しては、今ほど申し上げましたとおり、第3四半期では700億円程度のコスト削減を織り込みましたが、通期では、さらに200億円を積み上げ、災害復旧以外の合計で900億円程度のコスト削減を織り込んでいます。内訳としては、修繕費として610億円程度、一般経費として290億円程度です。

 

<期末配当予想の修正>

 最後に、平成23年度の期末配当予想について申し上げます。

 ただ今申し上げましたとおり、平成23年度通期の業績予想は、経常損益、純損益ともに創立以来最大の損失が見込まれ、厳しい決算となる見通しです。こうしたことから、平成23年度の期末の配当金については、誠に申し訳なく遺憾ではありますが、実施を見送らせていただく予定としています。

 

 本日、私からは以上です。

以 上

 

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