プレスリリース

11月定例社長記者会見

平成23年11月30日

○海輪社長からの説明事項
 本日、私からは「新仙台火力発電所3号系列新設工事の着工」について説明させていただきます。

○新仙台火力発電所3号系列新設工事の着工について
 当社は、新仙台火力発電所3号系列(出力98万kW)の建設計画について、本日、経済産業省に電気事業法に基づく工事計画の届出を行い、新設工事を着工しました。
 新仙台火力発電所は、昭和46年に1号機(出力35万kW)が運転を開始して以来、2号機(出力60万kW)とともに、電力の安定供給に貢献してきました。
 こうした中、1・2号機については、営業運転開始から30年以上が経過し、経年化が進んできたことを踏まえ、平成18年3月の供給計画において、1・2号機を廃止し、同じ敷地内に、高効率のコンバインドサイクル発電設備である3号系列にリプレースする計画を公表し、これまで、環境影響評価の手続き等を進めてきました。
 コンバインドサイクル発電は、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた発電方式です。
 最初に、天然ガスを圧縮空気と混合して燃焼させ、その燃焼ガスの力で「ガスタービン」を駆動させて発電を行います。さらに、そのガスタービンから回収した熱を利用して蒸気をつくり、「蒸気タービン」を駆動させて、再度、発電を行うものです。
 このように、燃料の持つ熱エネルギーを二度にわたって利用するので、従来型の火力発電と比較して熱効率が向上し、燃料費とともに二酸化炭素排出量の削減に大きな効果が期待できます。
 新仙台火力発電所3号系列は、当社では6番目のコンバインドサイクル発電設備となり、これまで導入してきた知見を踏まえることで、熱効率は、当社の火力発電所では最も高い59%以上を見込んでいます。これにより、従来型のガス火力と比較して、燃料費、二酸化炭素排出量は、ともに約3割の削減になるものと試算しています。
 また、新仙台火力発電所3号系列のリプレースと合わせて、新たに、LNG燃料設備を建設する計画としています。これは、自然災害のリスクや太平洋側と日本海側の気象条件の違いなどを踏まえ、現在の新潟県内のLNG燃料設備に加え、太平洋側にもLNG燃料設備を建設することで、燃料供給源を分散化し、より安定した燃料供給と電力供給を行うことを目指したものです。
 今後は諸準備を進め、来年1月より本格的な建設工事を開始し、平成28年7月、29年7月、それぞれ半量(49万kW)の営業運転開始を目指します。新仙台火力発電所は、これにより、最新鋭の発電所として生まれ変わり、電力の安定供給と低炭素社会の実現に大きく貢献する発電所になるものと期待しているところであります。
 なお、すでにお知らせのとおり、来夏向けの緊急設置電源として建設を進めている八戸火力5号機(出力27.4万kW)についても、環境負荷の低減を目的として、来年7月の運転開始後に追加工事を行いコンバインドサイクル化し、出力約42万kWに増強することとしています。八戸火力発電所については、コンバインドサイクル化当初の燃料は軽油ですが、将来的にはLNGの利用を視野に入れており、環境負荷の低減、経済性を更に高めていくこととしています。

○でんき予報等について
 当社は、当社管内の需給関連データを「東北電力でんき予報」としてホームページ上で公開しています。特にこの夏は9月まで、日々の電力需給の逼迫度に応じて色分けした4つのパターンの「節電のお願い文」を掲載し、お客さまの節電への取り組みの参考にしていただいてきました。
 こうした中、本格的な冬場に向けて電力需給の状況が厳しくなることを踏まえ、明日12月1日より、「でんき予報」について、夏場と同様に需給状況の見通しをお知らせするコメントを掲載します。また本日より、冬場における節電方法を紹介するページを掲載しています。
 東北の冬の寒さは大変厳しいことから、ホームページをご参考に、例えば、待機時消費電力を減らすことや、断熱シートや厚手のカーテンの利用で部屋の断熱性を上げるなどの取り組みにより、無理のない範囲での節電をお願いしたいと考えています。皆さまのご協力をよろしくお願いします。

○今年を振り返って
 最後になりますが、私の会見も今年は本日が最後となります。
 まだ、1カ月は残っていますが、今年1年を振り返ってみたいと思います。
 まず、大晦日から元旦にかけての新年早々、大雪の影響により岩手県北部、青森県東部などを中心に大規模な停電が発生し、年末年始という特別な時に大変なご不便とご迷惑を掛けました。
 更に、3月11日に東日本大震災が発生し、東北地域が甚大な被害を受け、延べ486万戸が停電するとともに、太平洋側の当社発電所の多くが被災し、長期間の停止が余儀なくされています。加えて、7月末の豪雨水害による水力発電所の停止などもあり、夏場を中心に電力需給が逼迫する状況となりました。このため、被害を免れた火力発電所のフル稼働や自家発余剰電力の購入、更には、電力融通などの供給力対策に全力を挙げましたが、その一方でお客さまには、大変心苦しかったのですが、最大限の節電のご協力を賜り、何とか夏場を乗り切ることができました。皆さまのご協力に改めて御礼申し上げます。
 一方、当社の経営環境は、東日本大震災により電力需要が大幅に落ち込む中、被災設備の復旧費用がかさむとともに、原子力、水力等の停止に伴い、火力の燃料費が大幅に増加しました。このため、平成23年度第2四半期決算において、経常損益、純損益ともに創立以来の大幅な赤字を計上したところです。更に、今後の需給状況が不透明なことから、年度の業績見通しは「未定」、中間配当は「見送り」とさせていただく事態となりました。
 こうした収益悪化は、大震災および新潟・福島豪雨水害等が主たる要因ですので、大よそは一過性の要因とは考えていますが、電力需要の今後の回復状況や原子力発電所の運転再開時期などは依然として不透明な状況であり、今後とも厳しい経営環境が続くことも想定されます。
 当社は今年、創立60周年でしたが、この記念すべき年に、会社創立以来の大きな難局を迎えることとなりました。このため、社員に対しては、震災以降、私のモットーである「朝の来ない夜はない」と語りかけながら、一日も早い復旧、復興に向けて、企業グループも含め全社員一丸となっての努力をお願いしてきたところです。
 引き続き、供給力の回復、原子力の一層の安全強化や再稼働の問題、経営収支の安定化など課題は山積していますが、危機意識を強く持ち、自助努力によって乗り切る決意を固め、一歩一歩課題をクリアしてまいりたいと考えています。

 本日、私からは以上です。

以上

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