プレスリリース

9月定例社長記者会見概要

平成23年 9月30日

○海輪社長からの説明事項

 本日、私からは「今夏の電力需給の実績と火力発電所等の復旧状況」と、「風力発電導入拡大に向けた実証試験の実施」について、説明させていただきます。

 

○今夏の電力需給の実績と火力発電所等の復旧状況について

 まず初めに、今夏の電力需給の実績と火力発電所等の復旧状況について説明いたします。

 今年の夏は、3月11日に発生した東日本大震災の影響で、太平洋側の火力発電所等が大きな被害を受けたことに加え、7月末に発生した新潟・福島の集中豪雨の影響により水力発電所が甚大な被害が重なり、今年の夏場、とりわけ8月上旬において厳しい需給状況が続きました。

 こうした中、電気事業法第27条に基づく電気の使用制限の対象となった大口のお客さまをはじめ、当社管内の多くのお客さまに最大限の節電をお願いし、積極的に取り組んでいただきました。さらには、東京電力等から電力の融通をいただいたことで、計画停電の実施は回避することができました。

 これまで東北地域の皆さま、関係する多くの皆さまに大変なご苦労とご不便をかけたことについて、お詫び申し上げるとともに、そのご協力に対して改めて感謝を申し上げます。

 

 消費のピークを示す最大電力について、今年と昨年の夏の発生日で比較を行いました。昨年の夏は当社の過去最大となる1,557万kWを記録したのに対し、今年の夏の最大電力は1,246万kWにとどまり、311万kW、率にして20%の大幅な減少となりました。

 需要家別の内訳では、大口のお客さまは約90万kWの減少、率にすると18%減、小口のお客さまは約130万kWの20%減、一般住宅などの家庭は、約90万kWの22%減となっております。大口に比べて小口、家庭の減少幅が大きくなっておりますが、これは、前年の猛暑の反動により空調需要の稼働が相対的に減少したこと、大口では夜間に操業するお客さまも多いことが影響したものと推測しております。

 減少の内訳としては、節電へのご協力による効果が約110万kW、震災の影響による需要の減少が約130万kW、気温による影響が約70万kWとなりました。なお、節電効果の内訳については、電気使用制限対象の大口のお客さまが約30万kW、大口を除いた一般家庭や小口のお客さまが約80万kWであったものと推定しております。

 多くのお客さまから節電にご協力をいただいたことが数値でも明らかとなり、これまでのご協力に対して重ねて感謝を申し上げます。さらに、震災の影響の甚大さを改めて認識した次第であります。

 なお、電力の需給状況に関するデータについては、現在、節電の取り組みの参考にしていただくため、「東北電力でんき予報」としてホームページに掲載していますが、この「でんき予報」については、当面継続することとしております。

 火力発電所等の復旧状況については、設備の被害状況が異なりますので、復旧見込みの時期に幅はあります。現在、一日でも早く供給力として加わることができるよう復旧作業に全力で取り組んでいるところであります。

 この中で、今年の冬の運転再開を見込める発電所としては、新仙台火力発電所1号機、相馬共同火力発電新地発電所1・2号機、常磐共同火力勿来発電所7号機が挙げられます。さらに、緊急設置電源である新潟火力発電所6号機、能代火力発電所のNAS電池が運転開始します。合計すると、およそ160万kW程度の増加となります。

 今年の冬には間に合いませんが、仙台火力発電所4号機は来年3月、常磐共同火力勿来発電所6号機、緊急設置電源の八戸火力発電所5号機、秋田火力発電所5号機、東新潟火力発電所5号機の4発電所は来年夏の運転開始を見込んでおり、これらを合計すると来年の夏に向けて310万kWの火力の復旧、緊急電源の設置に全力を挙げて取り組んでまいります。

 なお、原町火力発電所については、今回被災した火力発電所の中で最も設備被害が大きく、東京電力の福島第一原子力発電所から30km圏内にあり、当初、屋内退避指示が出されていたことから、被害状況の把握が遅れておりました。今回、平成25年夏の復旧を見込んでおりますが、今後、更なる早期の運転再開が可能かどうか、復旧計画を精査してまいりたいと考えております。

 なお、新仙台火力発電所については、震災前より1・2号機を廃止して3号系列を新設するリプレース工事を計画しておりました。これについては、当初の計画通り平成28年7月、平成29年7月にそれぞれ半量を運転開始することとしました。これに伴い、2号機を来月10月末に廃止することとし、1号機は本年12月に復旧した後、平成27年度末の廃止を予定しております。

 今年7月の新潟・福島の集中豪雨で被害を受けた水力発電所の復旧状況については、第二沼沢発電所について9月中の運転再開を目指していたが、土砂の堆積が予想以上に多く、堆積した土砂の排除が遅れたこともあり、冷却水配管等の清掃は終了しましたが、現在は設備全体の確認作業を進めている状況です。このため、運転再開については10月中の目標に変更しております。

 これら火力、水力発電所の復旧見通しがある程度たってきており、今年の冬に向けて、さらに自家用発電設備の余剰電力購入の拡大等を考えており、これらを勘案すると今年の冬については、現在、他社からの融通電力を考慮しない自社電源や共同火力の電源において1,300万kWを超える程度の供給力は確保できております。

 これに対する今年の冬の電力需要については、現在、夏の需要動向などを踏まえながら精査しているところであり、もうしばらくお待ちいただきたい。ちなみに昨年の冬の最大電力は1,470万kWでした。震災や節電の影響があり、これよりは下回る可能性がりますが、それでも供給力の1,300万kWからすると非常に厳しいと見ております。今後も、供給力の確保や需要抑制の検討に最大限の努力を尽くしてまいる所存です。

 

○風力発電導入拡大に向けた実証試験の実施について

 続いて、風力発電導入拡大に向けた実証試験の実施についてご説明いたします。

 実証試験の実施に関しては、このたび、北海道電力、東京電力、当社の3社における協議がまとまりました。

 当社においては、東京電力と共同で、2社間の連系線を活用した実証試験を実施することとし、23年度、24年度の2ヵ年で、それぞれ20万kWの風力発電の募集をすることといたしました。

 風力発電はその時点の風況によって、出力が変動します。ある程度であれば、火力発電の調整力で吸収し、バランスをとることができます。しかし、大規模の風力発電が連系された場合、その風力の出力変動などで悪影響を及ぼさないようするため、募集を抑制してきました。

 その理由としては、夜間などの当社の火力発電の出力が減少する時間帯に、調整能力が不足してしまうことがあります。この場合の対策は、風力発電の出力を抑制していただくか、火力発電の出力を増加させることが必要となります。

 具体的には、夜間など当社の調整力に余裕がない時間帯に、当社管内の火力発電の出力を増加させ、調整力に余力のある東京電力側に連系線を通して一定電力を送電することで、当社の火力の出力が上がり、調整力を増加させることができます。

 なお、可能性として低いと考えておりますが、それでも調整力が不足する場合には、当社の中央給電指令所からの遠方指令により、ウィンドファームの出力を抑制いただくことで調整力を確保します。

 このたびの実証試験は、東京電力と協調することで、こうした連系線の活用による調整力の増加と風力発電の出力制御技術を組み合わせることができ、これにより風力発電の連系量の更なる拡大をはかっていくものです。

 今回の検討結果によると、40万kW程度の募集の拡大について、平成23、24年度の2ヵ年に、それぞれ20万kWの募集を行うことで、東京電力との協議が整ったものであり、問題がないかを確認しながら次のステップに進んでいきます。

 今回、40万kWの追加募集を決めましたが、当社としては、風力発電に対する当社への期待が大きいことを踏まえ、平成32年度(2020年度)頃までに、東北地域全体で200万kWの連系を目指すこととし、この目標に向け平成25年度以降も連系拡大に向け取り組んでいくことといたしました。

 これまでの連系可能量118万kW、今回の実証試験の40万kWに加え、さらに40万kW程度の導入拡大を行う予定としております。

 当社としては、200万kWという連系量は非常に意欲的な目標と捉えており、風力事業者の連系の要望にも応えたいと考えております。

 

 本日、私からは以上です。

 

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