プレスリリース

5月定例社長記者会見概要

平成23年 5月12日

○海輪社長からの説明事項
 本日、私からは「平成22年度決算」と、「役員人事」について、説明させていただきます。
○平成22年度決算について
 はじめに、平成22年度決算について説明いたします。なお、数値については、全て連結ベースで申し上げます。
 まず、収益面について申し上げます。
 当社の平成22年度の販売電力量については、合計で827億kWh、対前年比では4.7%増となり、平成19年度以来3年ぶりに前年度を上回る実績となりました。この要因については、昨年夏が猛暑となり冷房需要が増加したことや、オール電化住宅の普及拡大、さらには産業用大口電力において、鉄鋼、非鉄、機械、化学などの業種を中心に、生産水準が回復してきたことによるものです。
 このように販売電力量が増加したことから、売上高は1兆7,087億円と、前年度に比べ453億円の増、率にして2.7%の増となりました。また、売上高に営業外収益を加えた経常収益は1兆7,169億円と、前年度に比べ462億円の増、率にして2.8%の増となりました。
 一方、費用面においては、販売電力量の増加あるいは燃料価格の上昇などに伴い、燃料費や他社からの購入電力料が増加したものの、人件費や支払利息が減少したことなどに加え、経営全般にわたり徹底した効率化を推進した結果、経常費用は1兆6,366億円と、前年度に比べて92億円の増、率にして0.6%の増となりました。
 この結果、経常利益は802億円と前年度に比べ369億円の増加、率にして85.4%の増となりました。
 しかしながら、ご承知のとおり、3月11日の東日本大震災の発生により、当社の仙台火力、新仙台火力、原町火力の3発電所が甚大な被害を受けました。その他、発電から送電・変電・配電に至る多くの電力設備において被害が発生し、このため、これらの設備被害による損失および今後の復旧に要する費用として1,093億円を特別損失としたことなどから、当期純損益については、337億円の損失となりました。
 特別損失の具体的な内容については、「財産偶発損」と「災害特別損失」の2つが、このたびの震災に伴い計上しているものであります。
 「財産偶発損」については、震災による設備等の滅失および除却による資産価値の損失であります。また、「災害特別損失」については、被災設備の修繕や撤去などに今後要する費用であります。これらについて、平成22年度に発生したものもありますが、平成23年度以降に発生するものも極力見積もりを行い、合計で1,093億円を特別損失に計上しております。
 なお、その他、当期においては、先にお知らせしているとおり、会計制度の変更(資産除去債務会計基準の適用)に伴う影響なども特別損失に計上しています。
 このように、平成22年度決算については、売上高の増加や費用の抑制などによって、前年度を上回る経常利益を確保したものの、東日本大震災による損失ならびに今後の復旧費用などを特別損失として計上したことから、当期の最終的な純損益については、大幅な損失となりました。
 なお、年度決算において、当期純損益が損失となりますのは、原油価格の高騰の影響を受けた平成20年度決算以来となります。
 当社個別の決算について、経常利益については、前年度に比べ351億円増の628億円、当期純損益については、331億円の損失となっています。連結決算同様、当社個別の年度決算において、当期純損益が損失となるのは、平成20年度決算以来となります。

<平成23年度業績予想>
 次に、平成23年度の業績予想についてですが、まずその前に、現在の経営環境について申し上げます。
 このたびの震災により、当社の存立基盤である東北地域が広範囲にわたって被災し、お客さまの生活や生産・経済活動に大きな影響が及んでいます。また、当社の主力の火力発電所をはじめ多くの事業設備が甚大な被害を受けております。このように、震災により電力需要が落ち込む一方で、電力設備を復旧させるためには、相当の期間とコストを要するとみています。
 このため、当社としては、被災設備の可能な限りの早期復旧と、供給力確保に向けたあらゆる対策に優先して取り組むとともに、さらに安全の確保を前提とした業務全般にわたる構造的なコスト低減や効率化を徹底することにより、事業基盤の早期回復に努めてまいりたいと考えております。当社ならびに企業グループが一丸となって、この危機的な状況から一日も早く脱却し、東北地域の皆さまへ電力を安定的にお届けすることにより、地域の復興に向けた歩みを支えていきたいと考えております。
 平成23年度については、このような復興に向けた取り組みの初年度であり、電力の需給対策、電力設備の復旧対策、さらには原子力発電所の安全対策など様々な対応に全力で取り組んでいるところであります。
 こうした中、当社の平成23年度の業績見通しについては、前提となる供給力の状況および今後の電力需要の動向などが、現在のところ不透明な状況となっており、売上高や費用について合理的に算定することが困難な状況となっています。このため、平成23年度の業績見通しについては、現時点では「未定」とし、今後、業績予想の算定が可能となる条件が整い次第、速やかに開示したいと考えています。

<配当について>
 次に、平成22年度の期末配当について申し上げます。
 当社は、利益処分については、安定配当を行うことを基本として、当年度の業績、ならびに中長期的な収支見通しなどを踏まえ総合的に勘案し、決定することを基本的な方針としています。
 平成22年度の業績については、ただ今申し上げましたとおり、東日本大震災による特別損失を計上したことから、当期純損益が大幅な損失となりました。また、今後の収支についても、電力需要の落ち込みなどにより、状況は厳しいと考えております。
 こうしたことを総合的に勘案し、平成22年度の期末配当を、誠に遺憾ながら、(前年度の期末配当ならびに当期中間配当から10円の減配となる)1株につき20円として、株主総会にお諮りしたいと考えています。
 また、こうした当社の厳しい収支状況を踏まえ、当年度の役員賞与については、大幅に削減を行い、支給額を昨年の半額程度として株主総会にお諮りすることとしています。
 平成22年度決算などの関係については、以上です。

○役員人事について
 最後に役員人事について、説明いたします。
 昨年、私が社長に就任した際、今後の経営にあたっての抱負として大きく2点について申し上げました。
 一つ目は、今後の不確実な経営環境の変化に立ち向かっていけるよう、足元の収益基盤の充実強化を図るということ。二つ目に、将来に向けて成長の布石を打っていくということであります。
 こうした中で、今回の東日本大震災の発生により、東北地域は非常に厳しい状況にあり、そして当社も大きな打撃を受け、経営環境は一段と厳しいものとなりました。
 現在、電力の需給ギャップの解消、あるいは原子力の安全性向上対策、経営収支の早期安定化など、当社は喫緊の課題に直面しております。
 こうした中で、先ほど申し上げた2点を主眼に、今後とも、迅速かつ的確に経営を進めていく考えであり、このたびの役員人事については、このような観点に立ち、企業グループの総力を挙げて、現下の難題を克服していくために、現行の経営体制を維持しながら、より一層の充実強化を図ることを主眼に、実施するものであります。
 役員人事の詳細については、代表権のある取締役会長には、現在の高橋宏明氏、社長に私、海輪誠、副社長に安倍宣昭氏、梅田健夫氏、宇部文雄氏、加藤博氏の4名が重任いたします。
 また、常務取締役には、現在の森下和夫氏ほか4名に加えて、新たに取締役人財部長である稲垣智則氏、上席執行役員新潟支店長である矢萩保雄氏の2名が昇格いたします。
 この他、取締役および執行役員の方々については、業務に精通した有能な人材を活用および登用し、適材適所に配置することとしています。
 一方、今回退任する常務取締役の岸壽也氏、早坂栄二氏には、それぞれ財団法人東北電気保安協会 理事、東北インフォメーション・システムズ株式会社 取締役社長に就任していただき、そちらでの経営の舵取りをお願いすることとしています。
 その他、退任される執行役員の方々にも、それぞれのグループ企業の要職についていただき、その手腕を遺憾なく発揮していただくこととしております。

 本日、私からは以上です。

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