プレスリリース

9月定例社長記者会見概要

平成22年 9月30日

○海輪社長からの説明事項
 本日、私からは「当社における風力発電導入拡大に向けた取り組み」として「平成22年度風力発電募集の概要」と、今年度から導入している「風力発電の出力予測技術の開発・導入」について、さらに、「この夏の電力需給の状況」について、説明させていただきます。

○風力発電導入拡大に向けた取り組みについて
 はじめに、風力発電の導入拡大に向けた取り組みについて、説明します。

 当社は、従来より、東北地方に豊富に賦存する風力、地熱などの自然エネルギーの利活用に積極的に取り組んできております。
 その中で、風力発電については、風力発電事業者などが建設した発電設備の当社系統への連系を着実に進め、導入量の拡大を順次図ってきました。また、過去に当社においては、平成4年度から18年度に、青森県の竜飛岬において、わが国初めてとなります集合型風力発電設備「竜飛ウインドパーク」を設置し、全国に先駆けて風力発電の実証試験を実施しました。
 さらに、この実証試験で得た技術的な知見などを活用して、平成13年11月から、当社グループ企業の東北自然エネルギー開発株式会社が、能代市において合計出力14,400kWの風力発電設備を設置し、発電事業を行っています。

 このように、風力発電については、積極的な取り組みを進めてきているところですが、風力発電の導入拡大にあたっては、一般のお客さまにお届けする電気の品質に影響を与えることのないように、技術的な検証を行いながら、段階的に進めていくことが必要となります。
 この点をもう少し詳しくご説明しますと、電力会社は、周波数や電圧といった電気の品質を一定に保つために、常に需要(電気の消費量)と供給(発電量)をバランスさせなくてはなりません。一方で、一般的な風力発電については、風の吹き具合によって、発電出力が急激に、また大きく変動するという特徴があります。このため電力会社では、時々刻々と変化する電力需要に加え、風力発電の出力変動についても、火力発電の出力を調整することによって、電力需給のバランスを保っています。こうしたことから、風力発電の導入拡大にあたっては、風力発電の出力変動を、火力発電の出力の調整で吸収できる範囲で行っていくことが必要であり、当社では段階的に募集を行うことにより、電力系統の安定に影響がないことを確認しながら、着実に導入量の拡大を図ってきています。

 次に、当社における風力発電の連系可能量については、一般的な風力発電を対象とした「通常枠」と、風力発電設備に蓄電池などを併設していただく「蓄電池枠」の二つに分けて、それぞれ設定しています。「通常枠」については、85万kWを連系可能量とし、また、「蓄電池枠」については、発電状況に応じて、併設した蓄電池の充電あるいは放電により風力発電の出力変動をなだらかに緩和していただくというもので、33万kWを連系可能量としています。これら「通常枠」と「蓄電池枠」をあわせて当社は約118万kWが連系可能量となっています。
 なお、出力一定制御型は、出力を一定に制御して連系していただくもので、これは当社系統に与える影響が少ないことから、制限を設けず連系を受付しています。

 こうした中で、当社系統に連系済の風力発電は今年3月末現在で約53万kWとなっています。この連系規模は全国の1/4弱であり、この割合は電力会社でトップクラスとなっています。また、今後さらに、これまでに実施した募集分など約22万kWが連系する予定となっており、当社における風力発電の連系可能量約118万kWのうち、残る未募集分は通常枠が約26万kW、蓄電池枠が約24万kWとなっています。

 次に、今回の平成22年度の風力発電募集についてですが、通常枠については、大規模風力の募集量を20万kW、中規模風力を2万kWとしました。なお、それぞれの募集量を跨ぐ案件がある場合は、合計で約26万kW(これは、現在残っている募集枠の全量に相当する量)を超えない範囲で受付することとします。また、蓄電池枠については、5万kWの募集を行うこととし、通常枠と蓄電池枠をあわせた今回の募集量合計は約27万kWとなり、抽選の結果によっては募集量を跨ぐ案件もあるため、さらに上積みする可能性もあります。

 詳細な募集条件などについては、10月22日に開催する募集説明会において、事業者の方々にご説明することとしています。

 なお、当社の風力発電の連系可能量約118万kWのうち通常枠85万kWについては、今回の募集で、ほぼ枠が埋まることになるため、今後の対応についてコメントいたします。
 当社は東京電力と共同で、2社間の連系線を活用した「風力発電の導入拡大に向けた実証試験」を行うこととしています。この実証試験のために、新たに風力発電の募集枠を設け、来年度以降も継続的に募集を行っていきたいと考えています。この件については、現在両社で検討を進めているところであり、固まり次第、お知らせしたいと考えています。
 また、当社の風力発電の連系可能量についても、今後さらに技術的評価を重ね、拡大の可能性について検討していくこととしています。
 これらの取り組みにより、来年度以降も引き続き募集を行っていく考えです。風力発電の募集の関係については、以上です。

 次に、当社では、風力発電の出力予測を行う技術を開発し、導入しており、これについてご紹介します。

 先に申し上げたとおり、電力会社では、時々刻々と変化する電力需要と、風力発電などの出力変動に合わせ、火力発電の出力を調整することにより電気の品質を一定に保っています。現在のところ、このような系統運用の面において、特に問題は生じていませんが、今後、風力発電の連系量が拡大していくにつれて、風力発電の出力変動が当社の系統運用に与える影響も大きくなることが懸念されます。このため、風力発電の出力を精度よく予測する技術を開発する必要性とそのニーズは高まっています。
 こうした観点に立ち、当社はかねてから研究開発を続けていた「風力発電出力の予測技術」について、今年4月から系統運用業務に導入しています。

 この技術は、当社と伊藤忠テクノソリューションズ株式会社が共同で開発したもので、当社管内にある規模の大きい主要な風力発電所(ウインドファーム)を対象として発電出力の予測を行うものです。

 予測の手法については、気象庁が毎日発表する風速などの数値予報データをもとに、風車設置地点ごとの風況を独自にシミュレーションし、さらに、その予測をもとに風車1基ごとの発電出力を計算し、当社管内における主要なウインドファームの発電出力の合計値を求めるというものです。具体的には、当日午前6時から翌日24時までの42時間における発電出力の合計値について、10分刻みのトレンドを予測します。

 この予測技術については、平成19年度から21年度にかけて、実証試験を行ってきましたが、これまでの実証試験の結果、発電出力のトレンドはほぼ把握することができたと思っています。今回、当社が導入したような風力発電の出力予測技術の開発、あるいは導入については、国内の電力会社ではこれが初めてとなります。

 この予測結果については、現在は当社系統運用業務の参考データとして利用していますが、今後精度を高めながら効果的な活用について、さらに検討を深めていくこととしています。

○今夏の電力需給の状況について
 最後に、この夏の電力需給の状況について、説明させていただきます。
 ご案内のとおり、この夏は記録的な暑さとなり、これにより当社の電力需要についても、冷房設備が高稼働したことなどから、電力消費のピークを示す最大電力が、8月5日(木)15時に1,557万kWを記録し、5年ぶりに過去の最大記録を更新しました。
 一方、一日24時間の電気の消費量を表す日電力量については、同じく8月5日(木)に記録しました3億61万kWhが、この夏の最大となりました。日電力量については、当社は冬の方が大きく、これまでの最大記録は、平成20年2月13日の3億1,064万kWhとなっています。この夏の記録は、その過去最大記録には及びませんでしたが、夏季の最大記録(平成19年8月3日2億8,956万kWh)を3年ぶりに更新しました。また、8月5日の記録は、夏場の日電力量としては初めて3億kWhの大台を超えました。
 各支店別の最大電力および日電力量の記録更新状況については、秋田と福島を除く5つの支店において、過去最大あるいは夏季の記録を更新しています。

 これに対し、供給力については、女川原子力発電所3号機が7月29日から定期検査に入ったものの、女川1号機・2号機、そして東通原子力発電所1号機が順調に運転を続けたこと、これに加え、東京電力の柏崎刈羽1号機が営業運転を再開したことなどから、安定した電力の供給を行うことができました。
 夏場の峠は越えましたが、今後とも気を緩めることなく、引き続き、安定供給に努めてまいりたいと考えています。

 本日、私からは以上です。

以上

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