プレスリリース

5月定例社長記者会見概要

平成22年 5月27日

○高橋社長からの説明事項
 本日、私からは、配電設備に関わる「地震被害推定システムの開発」、それから「取締役の報酬体系の見直し」について説明させていただきます。

○「地震被害推定システム」の開発について
 はじめに、「地震被害推定システム」について説明します。

 まず、「当社における災害時の対応強化に向けた取り組み」について説明します。
 以前にも説明したことがありますが、当社では、今後30年以内に99%の確率で到来すると予想されている宮城県沖地震や大規模な自然災害に備えて、全社的な検討や訓練を重ね、設備対策や復旧対応体制の整備、充実等に継続して取り組んできています。
 また、実際の災害発生時の対応においては、これまでの災害対応の経験から、①「初動体制の早期確立」、②「迅速かつ十分な応援体制の構築」、③「的確な情報の発信、受信」、④「被災現場における安全かつ円滑な復旧作業」といった4点が特に重要と考えています。
 こうした中で、当社では、さらに安全かつ円滑な復旧作業の実現に向けた各種支援システムを開発しています。これまでに「配電業務ナビゲーションシステム」や「耐震装置付き高所作業車」などを独自に開発し、導入しています。本日紹介する「地震被害推定システム」についても、こうした取り組みの一環として開発したものです。

 次に、「地震被害推定システム」の概要について説明します。
 まず、開発の経緯について説明します。
 本システムは、大規模地震発生時に、主要な配電設備(電柱、電線、柱上変圧器等)がどの程度被害を受けるか推定するというシステムです。このシステムは、財団法人電力中央研究所(電中研)と共同で開発しました。

 電気をつくる発電所を「点」に、また発電所から変電所に電気を送る送電線を「線」に例えますと、この配電設備は、お客さま一軒一軒に電気をお届けするために、街の隅々まで拡がっているので「面」的な設備であると言うことができます。このため、配電設備の設備量は非常に膨大なものとなっています。
 ちなみに申し上げますと、宮城支店の電柱数は約51万本、配電線亘長は約2万3千km(地球約半周の長さ)、柱上変圧器数は約21万台と膨大な設備となっています。

 昭和53年に発生した宮城県沖地震以降、配電設備については、これまでも電柱の基礎(地中)部分に「根かせ」という補強部材を取り付けるなどの様々な耐震対策を着実に進めています。しかし、大規模地震の際には、例えば、倒壊した建物によって電柱が倒れる、あるいは土砂の流出によって設備が流されるなど、設備そのものの耐震性とは別の要因で設備被害が数多く発生しています。このため、大規模地震の発生時には、設備量が非常に多い配電設備では、ある一定規模の設備被害は避けられないものと考えられます。

 一方で、大規模地震が発生した際に、早期復旧を図るためには、正確な被害状況の把握や、効果的な応援隊の派遣など、先ほど申したとおり、初動時の対応が重要となります。しかし、地震発生時には、土砂崩れや道路陥没などにより道路が寸断されることもあり、被害状況の把握には、多くの時間を要する場合があります。
 このため、当社では、大規模地震発生時には一定の被害発生が予測される配電設備について、その被害状況を速やかに推定することが停電の早期復旧につながると考え、平成19年度から本システムの開発に取り組んできました。
 本システムについては、当社が過去の地震災害における設備被害状況の調査・分析結果から構築したデータベースが基盤となっています。これに電中研が持つ情報処理技術や、計算機によるシミュレーション技術などを応用して開発したというものです。

 なお、このシステムは、近い将来発生することが予想されている宮城県沖地震への対策を主眼としていることから、このシステムによる被害推定の対象は今のところ宮城県内の設備と限っています。

 次に、本システムの概要について申し上げます。

 本システムは、地震発生直後に得られる「地震情報」(気象庁が発表する情報をもとに推定したより細かい地域ごとの揺れの強さなど)と、予めシステム内にデータとして登録している当社管内の「地盤情報」(「平地、丘陵地」などの地形や、「宅地、田・畑」などの土地利用に関する情報)や「設備情報」(どこに、どういう設備があるかという情報)などを基に、システム内のプログラムによって自動的に配電設備の被害状況を推定するというものです。
 推定した被害状況は、設備被害が発生している確率の高い地域は赤、確率の低い地域は青と、地図上に色別で表示します。これにより、県内各地域における被害規模の大小が一目でわかるようになっています。
 また、当社の営業所単位で設備ごとに被害予測数も算定し、表示します。

 また、本システムは、一度被害推定を行った後でも、その後に得られる詳細な地震情報や、巡視の結果判明した実際の設備被害の状況(巡視情報)、あるいは実際に発生している停電情報などをシステムに入力することで、当初の被害推定を補正する機能も備えています。これにより、予測精度の向上が図られます。

 さらに、過去に発生した地震や、模擬的に想定した地震のデータを入力することにより、被害推定を行うシミュレーション機能も有しています。
 こうした機能を有し、地震発生直後に、自動的に被害推定を行うという複雑なシステムの開発は国内初となります。

 次にこのシステムの導入による効果です。
 まず、平常時においては、シミュレーション機能を活用して得られる配電設備の被害推定結果に基づき、配電設備の耐震対策を先見的に実施することが可能となります。

 そして、実際に大規模地震が発生した際は、エリアごと、あるいは営業所単位の被害状況について、地震発生後、速やかに(30分以内に)推定を行うことができます。これによるメリットとしては、①巡視を行う緊急性が特に高い地域の優先順位づけや、②必要な応援隊規模の概算、あるいは③復旧作業にあたる人員の効果的な投入・配置などの判断を迅速かつ的確に行うことが可能となります。これにより、復旧作業を効率良く進めることができ、ひいては停電の早期復旧につながるものと考えています。

 最後に、今後の予定について申し上げます。

 現在、本システムは試験運用中です。今後、シミュレーション機能を活用することで、過去に発生した地震のデータに基づいて行う被害推定と、実際に発生した設備被害の実績との比較、検証などを行い、さらに予測精度の向上を図り、今年度中の実運用を目指していきます。

 なお、後程、本システムのデモンストレーションを行います。
 「地震被害推定システム」については以上です。

○取締役の報酬体系の見直しについて
 次に、「取締役の報酬体系見直し」について説明します。

 当社は、6月29日に開催を予定している当社第86回定時株主総会に、取締役の報酬体系見直しに関する議案を付議することとしています。

 その内容としては、取締役の現在の月額報酬を20%程度減額した上で、新株予約権の割当を行う「株式報酬型ストックオプション」を新たに導入するというものです。これを導入する理由については、取締役の報酬は、現在、月額報酬と年間賞与という短期的な体系となっています。今回の提案は、そのうち月額報酬を減額し、中長期インセンティブ報酬として株式報酬型ストックオプションを導入するということです。これにより、取締役は、その報酬と株価との連動性を高め、株価上昇によるメリット、あるいは株価下落のリスクを株主の皆さまと共有していくことになり、会社の中長期的な業績の向上や、企業価値の向上に対する取締役の貢献意欲をいっそう高め、株主の皆さまのご付託にお応えしたいというものです。

 只今述べた「新株予約権」というのは、当社の株式を、将来、一定の価格で購入することができるという権利であります。この新株予約権は、取締役に対して、その在任期間中、毎年1回割当を行います。そして、取締役は退任時にその権利を行使して、当社の株式を取得するというもので、この制度は現行会社法において認められている制度であります。

 本件については、6月の定時株主総会での承認を経て、正式に導入が決定されることになります。
 さらに、この制度は、取締役に加え、執行役員にも導入することとしています。

 本日、私からは以上です。

以上

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