プレスリリース

7月定例社長記者会見概要

平成21年 7月30日

○高橋社長からの説明事項
 本日、私からは平成22年3月期 第1四半期決算の概要と、この夏の電力需給の見通し、そして新潟火力5号系列について説明させていただきます。

○国からの指示を踏まえた今後の取り組みについて
 お知らせしていたテーマの説明に入る前に、昨日(7月29日)の原子力安全・保安院からの指示に対する当社の今後の取り組みについて申し上げます。
 当社は昨日、原子力安全・保安院から女川および東通原子力発電所において不適合事象が続いているということで、組織的な共通要因を踏まえた全社的な対応策を策定するよう指示をいただきました。この件では地域の皆さまにご心配をお掛けすることとなり、誠に申し訳なく思っています。
 当社はこれまで全社を挙げ、業務品質の向上にむけた取り組みを行い、原子力品質保証体制についても改善にむけた諸対策の定着に努めてきました。しかし、様々な事象が度重なって発生したことを踏まえますと、そうした取り組みを一層強力に進めていく必要があると考えています。
 このため、今後の根本原因分析あるいは再発防止対策の検討にあたっては、次の3点を柱に、社内外の幅広い意見を取り込みながら、進めていくこととしています。
 取り組みの柱の一つ目は「社内外の幅広い視点からの対策検討」、二つ目は「火力原子力本部長をトップとする『再発防止対策推進特別チーム』の設置」、そして三つ目は「外部の各分野の専門家の方々による会議の設置」です。
 それぞれの内容について、火力原子力本部長の安倍から説明します。

 (以下、安倍副社長より説明)
 当社はこれまで、火災やトラブルに対応し、再発防止対策を定め全力で取組んできましたが、今般の事象を踏まえ、さらに一層強力に取組んで行く必要があると考えています。このため、次の3点を柱として、社内外の幅広い視点からアドバイスをいただき取組んでいきます。

 一つ目は、「社内外の幅広い視点からの対策検討」です。今回根本原因分析を実施しますが、今回発生した事象だけでなく、すでに根本原因分析を行い、再発防止に取組んでいる事象の取組み状況の分析評価も含めて、総合的に検討します。根本原因分析および再発防止対策の検討にあたっては、社内の原子力部門以外の第三者的な部門である法務、広報、火力部門などの知見、さらには原子力技術の社外専門家の知見を幅広く取入れて対策を進めていきます。

 二つ目は、「再発防止対策推進特別チームの設置」です。組織的な共通要因が浮かび上がってくると考えられますが、それを踏まえた全社的な対応体制として、原子力安全推進会議(議長:社長)のもとに、火力原子力本部長をトップとする、社内関係各部門が係わる再発防止対策推進特別チームを設置し、総合的な再発防止対策を具体的に推し進めていきます。要するに、再発防止対策の定着、浸透を徹底していきます。

 三つ目は、「外部専門家による会議の設置」です。社長のもとに、外部の各分野の専門家の方々をメンバーとした会議を設置し、客観的に専門的な立場から、広範なご意見、ご助言を頂き、改善策の効果をより実効あるものにしていきます。

 以上の3本柱を機軸にしながら、今後当社では、再発防止策をすみずみまで徹底させ、浸透を図っていきます。

 (以下、社長より説明)
 ただ今申し上げた取り組みにより、当社としては、これまでの再発防止への取り組みを一層強め、加速し、いち早く浸透、かつ定着させていきたいと考えています。

○平成21年度 第1四半期の電力需要について
 それではテーマの説明に入らせていただきます。
 はじめに、平成22年3月期 第1四半期決算に関連して、第1四半期の電力需要についてご説明します。

 今年度第1四半期の販売電力量については、当期のオール電化住宅の導入戸数が6,422戸(対前年同期比105.4%)と堅調に増加したことなどから、「電灯」契約では前年同期を上回る実績(対前年同期比103.3%)となりました。これに「電力」契約を加えた自由化対象以外の需要、いわゆる「特定規模需要以外の需要」としては、対前年同期比で102.9%の実績となりました。
 しかしながら、大口電力では、企業の影響により対前年同期比81.5%と大幅な前年割れとなったことなどから、販売電力量合計では、対前年同期比で93.2%の実績となりました。また、第1四半期として前年実績を下回るのは、平成14年度以来、7年ぶりとなりました。

 次に、景気の動向が反映されやすい大口電力の動向について説明します。大口電力については、昨年秋からの景気後退を受けて、昨年11月以来、今年6月まで8ヵ月連続で前年割れが続いています。マイナス幅は、今年2月が前年同月比72.3%と最も大きく、それ以降は4ヵ月連続で徐々にマイナス幅が縮小してきています。

 また、大口電力の月別販売電力量については、年度を追うごとに増加してきていましたが、昨年11月以降、一気に下降線をたどり、今年度の実績では、6月になってようやく5年前の平成16年度の水準に戻ってきました。

 業種別の前年比の推移については、業種によって違いはあるものの、景気の動向に比較的左右されにくい食料品を除くと、全ての業種で大幅な前年割れが続いています。また、傾向としては、いずれの業種も似たような推移を示しています。しかしながら、当社管内の景気動向については、引き続き前年割れの厳しい状況が続いているものの、業種別にみても、少しずつ前年比のマイナス幅が縮小しており、最悪期は過ぎたのではないかということが伺えます。

 最近の各種経済指標をみましても、東北地方の鉱工業生産指数は、前月比でみますと、3月(4.7%)、4月(6.4%)、5月(3.7%)と3ヵ月連続で前月比プラスとなり、「生産の一部に持ち直しの兆しが見られる」との分析がなされています。また、日銀仙台支店がまとめた6月の短観では、東北企業の景況感が、依然として低水準ではありますが、2年半ぶりに改善しています。全産業のDI(業況判断指数)は、3月のマイナス52%ポイントから、6月はマイナス49%ポイントに3%ポイント改善しています。また、先行きについては、9月はマイナス40%ポイントと、6月から9%ポイントの改善が見込まれています。

 当社の大口電力の中で、販売量の約3割を占め、最もウェイトの高いのが機械です。この業種に関しては、当社の営業担当者より、最近、自動車関連や電子部品関連の一部のお客さまから、「受注量が徐々に増加してきている」といった声が聞かれるようになった、という報告を受けています。実際、前年同期比のマイナス幅もかなり縮小してきており、そうした状況が電力需要にも反映してきているということが伺えます。

 このように、東北の景気動向は依然として厳しい状況にはありますが、明るい兆しも見え始めていると考えています。今後、こうした動きが、早期に、本格的な回復へとつながることを期待しながら、引き続き、今後の需要動向を注視してまいります。

○平成22年3月期 第1四半期決算について
 次に、平成22年3月期 第1四半期決算の概要について申し上げます。数値については、連結決算ベースで説明させていただきます。

 まず、収益面では、ただ今申し上げましたとおり、当期の販売電力量が前年同期に比べ減少したことなどにより、売上高は3,995億円となり、前年同期に比べ188億円の減、率にして4.5%の減となりました。

 また、売上高に営業外収益を加えた経常収益は4,017億円となり、前年同期に比べ196億円の減、率にして4.7%減となりました。

 一方、費用面では、燃料価格の低下により燃料費が減少(519億円の減)したことや、他社からの購入電力料が減少(42億円の減)したことなどから、経常費用は3,591億円となり、前年同期に比べ585億円の減、率にして14.0%の減となりました。

 この結果、経常利益は425億円、四半期純利益は281億円となり、「減収増益」の決算となりました。なお、「減収増益」は、第1四半期としては、平成15年度に四半期決算を開始して以来初めてです。また、第1四半期において「減収」となったのは平成19年度以来2年ぶり、「増益」は平成18年度以来3年ぶりとなります。

 次に、業績予想については、今年4月28日の平成20年度決算を発表した際に申し上げた予想数値から、当第1四半期の電力需要の動向および燃料費の減少などを踏まえ、一部修正をしています。

 具体的には、東京証券取引所の有価証券上場規程に基づく開示義務(売上高の変動10%、利益の変動30%)に該当するものではありませんが、連結、個別ともに、第2四半期累計期間および通期の売上高について、当初の予想から200億円減額する見通しとしています。

 以上が、平成22年3月期 第1四半期決算の概要です。

○今夏の需給見通しについて
 続いて、この夏の電力需給見通しについて、説明させていただきます。

 先日(7月23日)、仙台管区気象台から発表された東北地方の3ヵ月予報によると、今年は冷夏となる可能性が高いとのことです。そうした予報ではありますが、この夏(8月)の気温が平年並みで推移するとした場合、この夏の最大電力は1,428万kW程度と想定しています。

 これに対する供給力は、合計で1,542万kWを計画しており、8%程度の予備率を確保できる見通しです。

 仮にこの夏の気温が見込みより高くなったとしても、自社設備の最大限の活用や卸電力取引の活用などにより、安定した電力供給を行うことができるものと考えています。

 一方で、この夏は西日本において、集中豪雨など不順な天候による大きな災害も見られます。こうした災害への備えも万全にしながら、夏場の安定供給に努めてまいる所存です。

○新潟火力5号系列について
 次に、当社が新規に建設を計画している新潟火力発電所5号系列が、まもなく工事開始の段階を迎えますので、紹介をさせていただきます。

 当社では、CO2排出量の削減、ならびにコスト競争力強化の観点から、老朽化した火力プラントを廃止または撤去し、新たに高効率のコンバインドサイクル発電設備を建設する、いわゆるリプレース計画を進めています。

 現在、具体的にリプレース計画を進めているのは、仙台火力4号機(出力:44万6千kW、運転開始:平成22年7月)のほか、新潟火力発電所、新仙台火力発電所の3地点です。

 このうち、新潟火力5号系列の新設計画については、運転開始から40年以上が経過した既設の新潟3号機(出力:25万kW、燃料:天然ガス・重油)を廃止し、その代わりに、新たに5号系列として、天然ガスを燃料とするコンバインドサイクル発電設備を建設するというものです。

 新潟火力5号系列の設備概要については、発電方式は、コンバインドサイクルということで、ガスタービン1台と蒸気タービン1台および発電機1台を1ユニットとして、これを2ユニット設置します。

 使用する燃料は天然ガス、発電出力は合計10万9千kWであり、プラントの効率を示す熱効率は約50%と、同じ出力規模のプラントでは最高水準の効率を達成する予定です。

 これにより、従来の設備に比べて、年間のCO2排出量を2割程度削減することができます。また、燃料費についても年間2割程度削減できる見通しです。

 工事開始の時期については、現在の3号機は、今年7月1日に既に廃止としており、8月下旬から撤去工事を開始する予定です。一方、新設する5号系列については、新潟火力発電所の設備内容を変更することになるので、「電気工作物変更届出」を昨日(7月29日)、国(経済産業省)に提出しました。また、明日(7月31日)には、工事計画を国(関東東北産業保安監督部)に届出し、8月末には、工事を始める予定です。

 建設工事、撤去工事にあたっては、安全第一で進めることはもちろんですが、新潟火力発電所が住宅地に近いということもあり、周辺環境に十分配慮した工事の施工を行うこととしています。工事を開始する際には、あらためてお知らせさせていただきます。

 なお、現在建設工事中の仙台火力4号機については、総合進捗率が約40%と順調に工事が進んでいます。今年秋頃から主要な機器ごとに起動試験あるいは試運転などを行い、来年2月以降は実際に発電をしながら総合的な試運転を行う予定です。仙台火力4号機についても、進捗状況にあわせ適宜状況をお知らせしたいと考えています。

 本日、私からは以上です。

以上

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