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5月定例社長記者会見概要平成21年 5月28日 ○高橋社長からの説明事項 ○仙台火力発電所4号機リプレース計画について まず、仙台火力発電所リプレース計画の「目的」ですが,従来の仙台火力は3機、52万5千kWの石炭火力発電所で、松島湾に3本の煙突が立っているので有名です。今般の計画は、当社におけるCO2排出量の削減、およびコスト競争力強化、の観点から、運転開始から50年近く経過し、保守・運用コストが割高となった、これまでの石炭火力を廃止あるいは撤去します。そして新たに4号機として、天然ガスを燃料とする、高効率コンバインドサイクル発電設備を建設します。 当社では、CO2の排出削減に向けた取り組みとして、まず、安全を最優先とする原子力発電の利用率の向上をその対策の柱としています。また、この高効率コンバインドサイクル発電設備の導入についても、その主要な取り組みの1つと位置づけているものです。 新たに建設する仙台4号機の発電出力は44万6千kWで、一昨年(平成19年)11月に本格的に工事を開始し、来年 (平成22年) 7月の運転開始を目指して、現在鋭意工事を進めています。発電に使用する天然ガスは、石油資源開発(株)が所有する「新潟・仙台間天然ガスパイプライン」を約6km延長して活用することとしています。 ○高効率コンバインドサイクル発電について 高効率コンバインドサイクル発電は、まず、天然ガスを圧縮空気と混合して燃焼させ、その燃焼ガスの力で、「ガスタービン」を駆動させて発電を行います。そして、さらに、そのガスタービンから排出された燃焼ガスを回収し、その回収した熱を利用して蒸気をつくり、その蒸気の力で「蒸気タービン」を駆動させて発電を行う、というものです。 このように、この発電方式では、燃料の持つ熱エネルギーを二度にわたって有効利用するので、従来型の火力発電と比較すると、熱効率が高くなります。このため燃料の消費量が抑制され、ひいてはCO2排出量の低減を図ることができます。ガス火力のCO2排出量は、石炭火力の約60%となっています。これが、高効率コンバインドサイクル発電になると、さらにCO2排出量を低減することができ、当社の東新潟火力4号系列では、CO2排出量が従来の石炭火力の約50%となっています。 さらに、このたびの仙台4号機では、当社が東新潟火力へのコンバインドサイクル導入などで培った知見などをもとに、ガスタービンの改良や新しい技術の採用・導入など行い、さらなる熱効率の向上と、CO2排出量のより一層の低減を達成できる見込みです。 なお、ご参考まで申し上げますと、現在、国内では、20基以上の大容量ガスコンバインドサイクル発電設備が稼動していますが、日本で最初の大容量ガスコンバインドサイクル発電設備は、当社東新潟火力3−1号系列(昭和59年12月に営業運転開始:109万kW)であり、以来、四半世紀に及ぶ運転実績を有しています。また、平成11年より18年度までに順次営業運転を開始した、東新潟火力4号系列(合計161万kW)においては、当時としては、世界最高レベルの熱効率・約56%を達成しています。 次に、仙台4号機における熱効率向上に向けた取り組みについて説明します。 ガスタービンは、燃焼器での燃焼ガス温度が高いほど、より効率的に、燃焼ガスのエネルギーを電気エネルギーに変えることができます。今回採用するガスタービンは燃焼温度が1400℃級のものであるが、現行の同じ型の機種に比べ約20℃ほど、高くなるような設計となっています。 1つ目は「燃焼ガス温度上昇のためのガスタービンの改良」です。空気は圧縮すると温度が上がります。この性質を利用して、今回採用するガスタービンでは、燃焼器に送る空気の圧縮率を高め、温度を上げるための改良を行っています。具体的には、空気圧縮機の動翼の1段から6段までの高さを、同じ型の機種のものよりも約10%程度高くして、これにより燃焼器へ送る空気量を増加させています。 次の「燃料温度上昇のための燃料ガス加熱システムの導入」についてですが、燃料である天然ガスを、排熱回収ボイラの熱を利用した燃料ガス加熱器であらかじめ加熱した後に、燃焼器で燃焼するというものです。このシステムで事前に燃料の温度を上げることによって、燃料消費量を抑えることが可能になります。こうした取り組みによって、熱効率の向上を図っています。 以上が仙台4号機における熱効率向上への取り組みの具体的な事例です。こうしたことによって、仙台4号機の熱効率は58%と、東新潟火力4号系列と比較して、約2%程度の向上を見込んでいます。 次に、今後のコンバインドサイクル発電設備の構成比率ですが、これまでご説明したように、東新潟火力3号系列と4号系列に高効率コンバインドサイクルを導入しており、その合計出力は270万kWで、当社火力発電所全体に占める割合は約25%となっています。これが来年(平成22年)7月に仙台4号(44万6千kW)が運転開始すると約29%になります。さらに新潟火力5号系列(平成23年3月運転開始予定:10万9千kW)、新仙台火力3号系列(平成28年7月半量運転開始、平成29年7月半量運転開始:合計95万kW級)が全量運転を開始すると、合計出力で約420万kW、比率では約38%まで増加します。 ○建設工事の進捗状況について 次に、仙台4号機の建設工事の進捗状況についてお話します。 そして、先般4月9日には、仙台4号機の心臓部とも言えるガスタービンや蒸気タービンが兵庫県にある三菱重工業の高砂製作所から搬入され、このほど据付けしたところです。新設工事の現在の進捗率は24.9%となっています。 一方、4号機の新設工事と並行して、1、2号機の本館や煙突の撤去工事も平成19年8月から行っており、今年12月に終了する予定です。こちらの進捗率は93.4%となっている。特に120メートルの煙突の撤去工事はいろいろ工夫を施して実施しています。 現在、建設現場では、発電所の新設工事と撤去工事が同時並行で進むという珍しい現場となっており、安全を第一に、当社社員52名( 兼務者を含むと79名)、工事会社社員約530名が作業を行っているところです。 発電所の様子は、リプレース前の状況と比べると、リプレース後は非常にコンパクトなイメージになります。 また、工事の実施にあたっては、民家に近いこともあり、発電所工事の周囲に防音シートを張り、また、低騒音・低振動の機械を使用するなど周辺の環境に配慮しながら行っています。さらに、廃止した仙台3号機の冷却水の施設をそのまま有効利用することや、発電所本館基礎の施工にあたって、旧3号機の基礎を再利用するなど、効率的な工事の施工にも努めています。 そしてさらに、仙台火力発電所が特別名勝松島第2種保護地区に立地していることを踏まえて、タービン建屋やボイラ等の主要構築物については、松島の自然環境と調和するよう、日本建築の代表的な手法である白壁と瓦葺屋根の蔵をイメージしたデザインとしています。 以上が、仙台4号機の建設工事の進捗状況です。振り返ると、仙台火力発電所は、昭和34年に当時最新鋭のGE社製で第1号機を運転開始して以来、約半世紀にわたり、当社管内の電力の安定供給の一翼を担ってきました。これからは、今回のリプレースを経て、再び最新鋭の火力発電所として生まれ変わり、当社管内の電力の安定供給と、地域社会の低炭素化の実現に貢献するものと期待しているところです。 なお、現段階の工事は、ガスタービンや蒸気タービンなどの主要機器を据付けしたところであり、建設工事の時にしか目にすることができない設備が多くあります。報道の皆さまには是非建設工事の状況をご覧いただきたいと考えていますので、後ほど、事務局からご案内を差し上げます。よろしくお願いします。 本日、私からは以上です。 以上
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