○高橋社長からの説明事項
本日、私からは、「今年の経営展開にあたっての対応上の力点」、ならびに「平成21年3月期 第3四半期決算の概要」と「平成21年3月期 業績予想の修正」について説明させていただきます。
○今年の経営展開にあたっての対応上の力点について
まず初めに、「今年の経営展開にあたっての対応上の力点」について申し上げます。当社では平成19年度から平成23年度までの5カ年を対象期間とする、東北電力グループとしての中期経営方針を策定しています。
この中期経営方針では、当社企業グループの目指す姿として、社会から「信頼される東北電力グループ」、お客さまから「選択される東北電力グループ」、質の高い業務を追求する「エネルギーサービスのプロフェッショナル」の3つを掲げ、これに基づき具体的な主要施策を立案、展開しているところです。
今年も、引き続き、この5カ年を対象とする中期経営方針をベースに、経営を展開していきますが、昨今の経営環境の変化などを踏まえ、今年は次の4つの点に特に力を入れて取り組んでいくこととしています。
まず1点目は、「安全最優先・業務品質の向上と安定供給の確保」です。
これは当社の事業運営の要であり、現行の中期経営方針において最も力を注いでいるものです。今年は当社のモットーにも「安全を尽くして 安心を皆さまに」と掲げ、「安全の確保」に確実かつ愚直に取り組み、これにより、お客さまや地域社会からの信頼を得ていくという強い決意をもって臨むこととしています。
振り返りますと、当社では、平成18年からこれまで約2年半にわたり、全社をあげて原子力品質保証体制の強化、ならびに事業活動全般にわたる業務品質の向上に継続して取り組んできました。こうした取り組みによって、安全を最優先とする意識、あるいは業務品質の向上に対する意識は着実に定着しつつあると考えています。しかし、さらに高いレベルを目指して、労働安全、設備保全、原子力安全等、業務全般にわたる安全確保を最優先に、業務品質のさらなる向上と安定供給の確保に取り組んでいきます。
そして、プルサーマル計画を含めて原子力の推進に向けて、地元をはじめ地域の皆さまのご理解と当社に対する一層の信頼を得てまいりたいと考えています。
力点の2つ目は「経営基盤強化に向けた経営効率化の推進」です。
今年度の当社の収支は、後程「業績予想の修正」のところで詳しく説明させていただきますが、損失幅が前回予想より縮小する見通しです。しかし、昨年の異常な燃料価格の高騰などの影響により、当社単体で600億円の経常損失となる見込みです。
来期(21年度)については何としても黒字回復したいと考えていますが、東京電力の柏崎・刈羽原子力発電所1号機の運転再開見通しがまだ立っていない状況にあります。また、燃料価格は足元では軟化基調で推移していますが、先行き再び高騰するかもしれないという不透明感は依然として残っています。こうした状況に加え、国内外での経済情勢の悪化の影響が当社管内の電力需要にも顕著に現れ始めています。
このような厳しい情勢のもとで黒字回復を果たすためには、徹底した経営効率化努力が最重要課題となります。
当社では、昨年9月に社長を議長とする「経営効率化推進会議」を設置し、安全の確保と安定供給という当社の基本スタンスは維持しつつ、全社体制で収支改善や経営基盤の強化に向けた経営効率化策の検討を進めてきたところです。
その結果、火力発電所の効率的な運転などによる燃料費の抑制など、現時点で様々な効率化策が積みあがってきています。
今後は、収支の改善に向けて、これらの効率化策を具体的に実行に移すとともに、火力発電所の熱効率や利用率の向上、設備の運用・補修面の見直しなどの、中長期的な原価低減策や生産性の向上策について、さらに検討を深め、強靭な経営基盤を構築してまいりたいと考えています。
3点目は「経営環境や市場動向の変化を踏まえた販売活動の効率的展開」です。
近年、環境に対するお客さまの関心が一層高まっています。こうしたお客さまの意識の変化やニーズを的確に捉え、引き続きお客さまに最適なエネルギーサービスの提供をしてまいりたいと考えています。具体的には、環境性や省エネ性の高い高効率機器の普及拡大に取り組み、お客さまのエネルギー効率の向上に寄与する提案活動を積極的に展開していきます。
最後の4点目は、「環境配慮型経営の推進による地球環境問題への的確な対応」です。
3点目の取り組みでも申し上げましたとおり、国や世界レベルで、地球環境問題への対応、あるいは低炭素社会実現に向けた取り組みが加速しています。当社としてもこうした動きに的確に対応していきますが、CO2排出削減に向けては、何と言っても原子力発電が対策の柱となります。安全を大前提とした原子力発電の利用率の向上に引き続き努めていきます。また、現在建設中の仙台火力4号などコンバインドサイクル発電の導入拡大により、火力発電所の熱効率の向上を図るとともに、電力使用面の取り組みとしてヒートポンプ式高効率機器の普及促進にも努めていきます。
さらに、当社では昨年11月に、大山副社長を委員長とする「低炭素社会検討委員会」を設置し、低炭素社会の実現に向けた当社の中長期的な対応の方向性や具体的な取り組みなどについて検討を進めているところです。
このうち、太陽光発電について、電力業界では国内における太陽光発電の普及拡大に弾みをつけることを目的に、業界をあげてメガソーラー発電の導入拡大に取り組むこととしています。当社としても、この業界大の取り組みにあわせ、現在、具体的な地点や開発時期などについて鋭意検討を重ねているところです。具体的な計画が固まった際には、皆さまにあらためてお知らせしたいと考えています。
以上4つが、「今年の経営展開にあたっての対応上の力点」です。こうした4つの力点を強く意識しながら、当社企業グループ全体がベクトルを合わせ、中期経営方針に掲げた3つの「目指す姿」に近づけるよう、努めてまいりたいと考えています。
○平成21年3月期 第3四半期決算の概要、業績予想の修正について
次に、「平成21年3月期 第3四半期決算の概要」と「平成21年3月期 業績予想の修正」について説明させていただきます。
そのうち、私からは、「平成21年3月期 業績予想の修正」について、ご説明させていただきます。
当期の業績予想ですが、昨年後半からの原油価格の低下による燃料費の減少や、世界的な景気後退を背景とする昨年11月以降の大口電力需要の落込みなど、当社の収支に影響する情勢変化が続いています。このような至近の収支動向を踏まえ、当期の業績予想を算定しました。
その結果、平成21年3月期の業績見通しは、昨年10月31日に公表した予想と比較して、今年度の損失幅が縮小する見通しとなりました。資料2枚目の上の表、連結ベースの数字をもとに申し上げますと、売上高は、景気後退の影響により、当社管内の製造業などにおいて減産の動きが広がり、大口電力需要が大きく落ち込んでいることなどから、前回予想より売上高は300億円減少する見通しとなりました。一方、営業損益ならびに経常損益については、女川1号機の定期検査の延長など(1月下旬→4月中旬:▲170億円)や、出水率の低下(96%程度⇒93%程度)による火力発電所の焚き増しなど(▲60億円)といった収支悪化要因があります。一方、昨年後半以降の燃料価格の低下による影響(530億円)が大きく収支改善に寄与し、営業損益ならびに経常損益ともに、前回予想より300億円改善し、70億円の営業利益、350億円の経常損失となる見通しです。また、当期純損益は前回予想より190億円改善し、240億円の当期純損失となる見込みです。
なお、個別の業績予想については、説明は割愛させていただきます。
○仙台市ガス事業民営化について
最後に、仙台市ガス事業民営化に関してお話させていただきます。
先週1月20日(火)に皆さまにお知らせしたとおり、東京ガス株式会社、石油資源開発株式会社、そして当社の3社は、仙台市ガス事業民営化に関して、昨年10月来、仙台市との競争的対話を通じて、事業内容の調査や事業採算性の評価、契約諸条件の精査など、応募提案への対応に向けた検討を行ってきました。しかしながら、昨年11月頃からの急激な経済情勢の変化などにより、今後の見通しが極めて不透明となり、現時点では譲渡価格の提示が困難であるとの判断に至り、1月20日(火)に仙台市に参加辞退届を提出させていただいたものです。
仙台市ご当局には、私どもとの協議に惜しみないご協力をいただき、改めて感謝申し上げる次第です。このような急激な経済情勢の変化という私どもでは如何ともしがたい外部要因によるものとはいえ、仙台市や地元の皆さまのご期待に沿うことが適わず、当社として残念に存じています。
しかしながら、当社はこれまでもガスの原料供給などを通じ、仙台市ガス局と協力しながら天然ガスの普及・拡大に努めてきました。今後とも、こうした協力関係を通じて、エネルギーの安定供給や地域経済の発展に貢献してまいりたいと考えています。
本日、私からは以上です。
以上
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