プレスリリース

5月定例社長記者会見概要

平成20年 5月29日

○高橋社長からの説明事項
 本日私からは、当社が三菱電機と共同で開発しました高圧瞬時電圧低下対策装置「COMPACT」について説明させていただきます。

○高圧瞬時電圧低下対策装置「COMPACT」の開発について
 今回開発した装置の説明に入る前に、瞬時電圧低下、ならびに瞬時電圧低下対策装置について簡単に説明します。

 落雷や樹木の接触などにより送電線にショートが発生すると、瞬間的に大量の電流が流れてしまうことがあります。このため、当社の変電所の保護装置により、ショートした送電線への送電を瞬時に遮断しショートを解消します。このとき、0.07秒から1秒程度という、ごく短い間ではありますが、ショートした送電線や近傍の送電線の電圧が低下します。この短時間の電圧低下を「瞬時電圧低下」、略して「瞬低」と呼んでいます。

 瞬低が発生すると、一般のご家庭などでは照明が一瞬暗くなる程度の影響しかありませんが、工場などのお客さまにおいては製造ラインが停止するなど、大きな影響を受ける可能性があります。このため、当社としては、架空地線や避雷器を設置するなどの設備対策を行い、安定供給に努めています。
 しかしながら、電力系統は厳しい自然環境にさらされており、また、雷は莫大なエネルギーを持っていることから、このような対策を行っても瞬低を完全に防ぐことはできません。このため当社では、瞬低により多大な影響を受ける恐れのあるお客さまには、ご自分の重要設備に瞬低対策装置を設置するなどの対策をお願いしています。

 次に瞬低対策装置について説明します。平常時は、瞬低対策装置の「切換スイッチ」が投入されており、電力系統から「切換スイッチ」を通じて、重要負荷に電力が供給されています。一方、落雷などにより瞬低が発生すると、「切換スイッチ」を開放することで、電力系統からの電力供給を瞬時に遮断します。そして、その代わりに、あらかじめ充電されていた「蓄電部」から電力が供給されることで、瞬低の影響が最小限に抑えられる仕組みとなっています。

 それでは、今回開発した瞬低対策装置について説明します。

 今回開発した装置は、当社が、平成17年度から研究開発を進めてきたもので、平成18年度からは三菱電機と共同で開発に取り組んできました。具体的には、当社において、お客さまニーズなどを踏まえながら、基本となる開発コンセプトを取りまとめ、三菱電機が有する技術力をベースに、共同で設計や試験に取り組んできたものです。

 今回開発した装置は、「コンパクト化」、「省エネ性」そして「切換えの高速性」において、世界最高レベルを実現した画期的な製品です。

 まず、「コンパクト化」についてですが、この装置の大きさは、切換スイッチに高性能の半導体素子を採用することなどにより世界最小レベルを実現しました。容量が3,000kVAの場合、横幅は4.8m程度となりますが、これは、従来の三菱電機社製のものと比較すると6割程度の大きさとなります。これにより、これまで設置スペースが確保できず導入を見合わせていたお客さまにとっても、導入の可能性が拡がることとなります。

 次に、二番目の「省エネ性」についてですが、瞬低対策装置を設置すると、切換スイッチなどにおいて電力のロスが発生します。この電力のロスがどの程度生じるかを表したものを「運転効率」と呼んでいますが、この運転効率の値が高ければ高いほど、電力のロスが少なく省エネ性が高いことになります。
 今回開発した装置においては、切換スイッチに高性能の半導体素子を採用したことや、蓄電部の充電制御方式を改良したことなどにより、99.5%という世界最高レベルの運転効率を達成しました。従来の三菱電機社製装置の運転効率は99%程度でしたので、0.5ポイント程度向上したことになります。わずか0.5ポイントではありますが、大口のお客さまにとってはかなりの差となって表れてくることとなります。また、電力のロスが少ないと瞬低対策装置から発生する熱も減少するため、装置を冷却するための空調設備が縮小でき、この点でもコスト低減がはかられるというメリットがあります。

 次に、三番目の「切換時間」についてですが、切換スイッチに高性能の半導体素子を採用したことで、1000分の1秒という、同規模の装置においては世界最速レベルの切換時間を実現しました。切換時間とは、瞬低発生後、電力供給が電力系統から瞬低対策装置に切り換わるまでの時間を指します。従来の三菱電機社製装置の切換時間は1000分の5秒程度でしたが、切換時間が速くなったことで、お客さま設備への影響を最小限に抑えることになります。

 これらが、今回開発した瞬低対策装置「COMPACT」の主な特長ですが、この装置は、三菱電機で販売するとともに、当社企業グループにおいても、関係会社の東北エネルギーサービスが取り扱うこととなっています。

 以上申し上げたとおり、この装置は従来品に比べ高性能な中身となっていますが、価格については既存製品を下回るレベルで販売を予定しています。

 当社では、現行の中期経営方針において、「お客さまから選択される東北電力グループ」を目指す姿の1つに掲げています。当社は、こうした技術開発などを通じたサービスの向上によっても、「お客さまから選択される」よう努めてまいりたいと考えています。

○原子力品質保証体制について
 最後に、当社の原子力品質保証体制について若干触れさせていただきます。

 当社は、一昨年7月、国から、原子力品質保証体制に係わる総点検指示を受けました。当社では、この指示を重く、厳しく受け止め、私を委員長とする「原子力品質保証体制総点検委員会」を立ち上げました。そして、その背景にある企業風土や組織要因にまで踏み込んだ徹底した総点検を実施しました。

 以来、これまで2年近くにわたり、経営層ならびに社員、協力会社社員が一丸となって、その時に掲げた17項目にのぼる再発防止対策に懸命に取り組んできました。

 こうした全社運動とも言える取り組みの結果、今年3月に実施された原子力安全・保安院による保安検査において、「17項目からなる再発防止対策は実行計画どおりに実施され、改善のための仕組みが構築されている、また、既にこれらの仕組みにより、組織として改善する新たな課題を抽出することができており、品質保証体制が機能する仕組みとなりつつあるものと判断する」との評価をいただきました。
 また、5月13日に、女川原子力発電所で開催した、第5回「原子力の安全と信頼に関する顧問会議」において、委員の方々に発電所の現場を直接ご視察いただき、現場での改善が着実に進んでいるとの評価をいただきました。
 さらに、5月20日に、私が原子力安全・保安院長と面談した際、院長より、「東北電力の品質保証システムの改善は進んでおり、これを継続してほしい。今後は、通常状態の中でゆとりを持って行う時期にきている」との評価をいただいています。

 そのようなことから、2年前に緊急に立ち上げた「原子力品質保証体制総点検委員会」の業務は、6月1日をもって、社内の常設機関である「原子力安全推進会議」に移管することとしました。そして、この中で、再発防止対策を更に定着させ、また、原子力品質保証体制のより高いレベルを目指して絶えずPDCAサイクルを回すなど、しっかりと改善をはかってまいる所存です。

本日、私からは以上です。

以上

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