プレスリリース

「送電線新設工事における不適切な対応」に関する要因と再発防止対策について

平成30年 2月23日

 当社は、岩手県内の北上東線新設工事に関して、送電鉄塔の基礎据付工事時に実施する施工検査、および送電線の運用開始時に実施する社内総合検査において、当社社員による不適切な対応を確認し、平成29年12月6日、経済産業省に報告いたしました。
 また、不適切な対応に至った要因の分析および再発防止対策の策定、他の送電線新設工事における不適切な対応の有無に関する調査を進め、平成30年1月末までに同省に報告することとしておりました。           

 (平成29年12月6日お知らせ済み)


 その後、社内に設置した「調査検討委員会」のもと、要因分析および再発防止対策の取りまとめを進めるとともに、他の送電線新設工事における不適切な対応の有無について調査を進めておりましたが、その過程において、詳細な調査が必要になったことから、調査結果等の取りまとめについては、2月末までに行うこととしておりました。

(平成30年1月30日お知らせ済み)

 本日、他の送電線新設工事に関する調査結果、不適切な対応に至った要因および再発防止対策について取りまとめ、経済産業省に報告いたしました。
 報告した概要は以下のとおりです。

 

【他の送電線新設工事に関する調査結果】
 東日本大震災以降に建設した送電鉄塔2,027基※1を対象に、不適切な対応がなかったか調査を実施いたしました。
 具体的には、平成23年4月から平成29年12月末までに実施した鉄塔基礎据付の施工検査に携わった当社社員および工事会社関係者を対象に、不適切な対応の有無について聞き取り調査を行いました。
 また、現地にて鉄塔基礎据付寸法を再測定※2のうえ、施工検査記録との照合を実施いたしました。
 この結果、新たに以下の1件の不適切な対応を確認しております。

 

≪送電鉄塔の中間検査※3における不適切な対応(平成26年4月)≫
 上ノ山線(山形県山形市)の鉄塔建替工事※4に関して、送電鉄塔の基礎据付後に実施した中間検査において、当社社員は、基礎据付寸法の測定値が社内検査マニュアルに定める判定値を超過していたにもかかわらず、判定値に収まる値を記録に記載し、社内に報告しておりました。
※1:平成29年12月6日に公表した北上東線69基を除く。
※2:積雪の影響により現地測定できない鉄塔245基については、雪解け後に現地調査を実施する予定。
※3:当時は、工事会社の施工完了報告に基づき当社社員が書類にて検査(施工検査)を行った後、一部を抜き取りし、社員による現地検査(中間検査)を実施していた。なお、平成26年3月に中間検査を取り止めし、工事会社が現地検査を実施する際に、社員が一部立会いをしたうえで検査(施工検査)を行う体制としている。
※4:送電鉄塔周辺の公園造成等による保安確保を目的として、鉄塔建替により高鉄塔化する工事。
 
【不適切な対応に至った要因】
 北上東線の新設工事および上ノ山線の鉄塔建替工事において確認された不適切な対応について、関係者に対する聞き取りなどを行い、背後要因を分析した結果、「技術者としての倫理観、および保安規程と社内検査マニュアルの関係性の認識の不足」など、以下の要因を抽出いたしました。

 ≪人の資質と組織の体質に係わるもの≫
A.技術者としての倫理観、および保安規程と社内検査マニュアルの関係性の認識が不足していた。
≪組織の体質に係わるもの≫
B.社内検査マニュアルの記載が不足していた。
C.設計や施工ノウハウの共有化が不足していた。
D.技術的な問題が発生した際の相談窓口が有効に活用されなかった。
≪仕組みに係わるもの≫
E.不適切な測定に対する牽制が働かなかった。
F.工事会社が工事関係者以外に相談できる手段について、有効に活用されなかった。
G.検査における測定誤り等を防ぐ手当てが十分ではなかった。

【再発防止対策】
 不適切な対応に至った要因を踏まえたうえで、「技術者倫理意識のさらなる強化、法令・保安規程遵守意識の向上」など、以下の再発防止対策を策定いたしました。

 ≪人の資質と組織の体質を高める取り組み≫
A.技術者倫理意識のさらなる強化、法令・保安規程遵守意識の向上
≪組織の体質を高める取り組み≫
B.社内検査マニュアルの見直しと周知
C.建設工事トラブル事例等に関する共有化の拡大
D.技術相談窓口利用の活性化
≪仕組みづくり≫
E.検査における牽制機能の強化
F.工事会社の声を吸い上げる活動の強化
G.検査実施者への教育の強化
H.電気主任技術者の関与の充実
≪評価・改善≫
I.再発防止対策の検証・評価および改善

  このほか、全社大の再発防止対策として、全社および企業グループ会社に対して、今回の不適切な対応に至った要因・再発防止対策を周知するとともに、技術部門共通で実施している「技術者倫理教育」の実施内容を見直すなど、「技術者倫理意識の向上」および「企業倫理・法令遵守の徹底」、「類似の不適切事案の未然防止」に継続して取り組んでまいります。
 当社といたしましては、電力の安定供給という責務を担う会社として、安全確保の徹底と業務品質の向上に向けた取り組みに注力している中、不適切な対応を行い、地域の皆さまにご心配をおかけするとともに、信頼関係を揺るがしかねない事案を発生させてしまったことについて、大変重く受け止めております。
  今回策定した再発防止対策を確実に実施していくことで、二度とこのような事案を発生させないよう全力で取り組んでまいります。                  

 

以上
 


≪参考≫北上東線新設工事の概要

 1.区間 

 東花巻変電所(岩手県花巻市)〜北上変電所(岩手県北上市)

 2.こう長

 20km

 3.鉄塔基数

 75基(既設流用鉄塔6基含む)

 4.電圧

 15万4千ボルト

 5.回線数

 2回線

 6.着工

 平成28年 5月31日

 7.運用開始

 平成29年10月25日

 

  

 

≪参考≫上ノ山線鉄塔建替工事の概要

 1.区間

 NO.6〜NO.9鉄塔間(山形県山形市)

 2.こう長

 0.6km(工事こう長)

 3.鉄塔基数

 2基(建替2基)

 4.電圧

 6万6千ボルト

 5.回線数

 2回線

 6.着工

 平成26年 2月17日

 7.運用開始 

 平成26年 5月18日


   
 

 

「プレスリリース本文のPDFファイルはこちら」印刷用PDF

←← 東北電力トップページ ← 元のページへ戻る