原子力情報 The information of Nuclear Power

女川原子力発電所3号機定期安全レビュー(第1回)の実施結果について

平成24年 2月24日

   当社は、女川原子力発電所3号機(定格電気出力:82万5千キロワット、沸騰水型、宮城県牡鹿郡女川町および石巻市)の第1回定期安全レビューを実施いたしました。

 

  定期安全レビューは、「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則(実用炉規則)」および「女川原子力発電所原子炉施設保安規定」に基づき、運転開始以降10年を超えない期間ごとに、原子炉設置者が保安活動の実施状況の評価、保安活動への最新の技術的知見の反映状況の評価および確率論的安全評価を実施することにより、原子力発電所の安全性・信頼性を総合的に評価するものです。

 

  平成14年1月に営業運転を開始した女川原子力発電所3号機は、平成24年1月に運転開始から10年を迎えており、当社は、「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則(実用炉規則)」および「女川原子力発電所原子炉施設保安規定」に基づき、平成14年1月から平成22年3月までの保安活動について定期安全レビューを実施いたしました。その結果、当社の保安活動は、継続的に改善する仕組みが機能しており、安全性・信頼性の維持向上が図られてきたことを確認しました。

  さらに、内的事象を対象に確率論的安全評価を行い、安全性が十分確保されていることを定量的に確認しました。

 

  なお、女川原子力発電所については、現在設備の健全性確認を継続して実施しており、全所員が一丸となって復旧に向けた取り組みを展開しております。

  また、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の一連の事故に関して、対応すべきものについては、速やかに対策を実施しているところですが、今後、新たな知見が得られた場合は、適切に対応し、安全性の向上を図っていくこととしております。

 

 今回の定期安全レビューの概要は、以下のとおりです。

 

1.保安活動の実施状況の評価

  以下の8つの観点から、各種データの推移、設備や保安活動等の改善状況を調査し、国内外原子力発電所の運転経験から得られた教訓等が適切に反映されているか調査しました。その結果、保安活動における改善活動を適切に実施してきており、改善する仕組みが機能していることを確認しました。

(1)品質保証活動

(2)運転管理

(3)保守管理

(4)燃料管理

(5)放射線管理および環境放射線モニタリング

(6)放射性廃棄物管理

(7)事故・故障等発生時の対応および緊急時の措置

(8)安全文化の醸成活動

 

2.保安活動への最新の技術的知見の反映状況の評価

  以下の3つの観点から、女川原子力発電所3号機の営業運転開始以降に得られた軽水炉の安全性に関連する重要な技術的知見を調査し、それらの保安活動等への反映状況の確認および未だ具体的に安全規制・規格基準等に反映されていない技術的知見の調査・評価を実施しました。その結果、原子炉施設の安全性を確保する上で重要な設備等に最新の技術的知見が適切に反映され、安全性・信頼性の向上が図られてきていることを確認しました。

(1)安全研究成果の反映

(2)国内外の原子力発電所の運転経験から得られた教訓の反映

(3)技術開発成果の反映

 

3.確率論的安全評価

  女川原子力発電所3号機の特徴を総合的に把握することおよびアクシデントマネジメント策の効果の確認を目的として、確率論的安全評価(PSA)手法を用いて、内的事象に係わる以下の2つの評価を実施しました。その結果、安全性が十分確保されていることを確認しました。

(1)炉心および格納容器の健全性の維持に関する評価

(2)プラント運転時および停止時のリスク重要度評価

 

以上

 

※  確率論的安全評価は、発生確率が極めて小さく、事象の進展が多岐にわたる事象を検討する上で有効な方法です。原子力発電所で発生する可能性のある異常事象を想定し、事象がどのように進展していくかを安全装置の故障確率などから計算することで、炉心や放射性物質を閉じ込める原子炉格納容器の損傷頻度等を評価するものです。

 

「プレスリリース本文のPDFファイルはこちら」印刷用PDF